もうすぐ、最後のバスが出る

前編

 13時56分。

 もうすぐ、最後のバスが出る。

 それなのに、オレはツイッターなんてやってる。

 こんなことをしている場合じゃない。それは分かっている。

 でも、つぶやかずにはいられない。

 オレは行くべきか、残るべきか、生きるべきか、死ぬべきか、赦すべきか、赦されるべきか。

 答えなんて分からない。

 いや、答えなんて欲しくない。

 ただ、誰かに知っておいてもらいたいんだ。

 オレの、最後の一日を。


父さんと母さんは骨になってた。母さんはリビングのテーブルに突っ伏してた。お気に入りのコートを着てた。その下にはセーターを5枚も着てた。寒かたんだ。たぶん、灯油が切れちゃったんだ。電気もつかないし。骨yになっても、髪はそのまんまんだね。白髪がかなりまじってるけど。


 送信。

 誤字脱字がいっぱいあるけど、しょうがない。手袋してるから、打ちづらいんだ。

 白骨化した親の前で、ツイッター打ってるオレ。

 おかしいよな。

 イカれてるよな。

 でもさ、仕方ないよ。日本全体がイカれてるんだから。

 スマホで繰り返し聞いてる、アデルのローリング・イン・ザ・ディープ。

 曲の意味までは分からない。でも、今の絶望的な雰囲気にピッタリだ。

 せめて音楽でも聞いてないと、オレがおかしくなりそうなんだ。


倒産はは、布団の中だった。パジャマを着て、寝たまま骨になってた。布団は乱れてなかた。苦しまずに死んだんならいんだけど。どっちが先に逝ったんだろう。父さんが死んでるのを見て、母さんはここで泣いてたのか。母さんが死んでるのを見て、父さんは絶望したのか。


 送信。

 もしかして、二人とももう動けなくなって、それぞれの場所で、それぞれ死んでいったのかな。

 お互いが死んだことも知らないまま。

 それだと悲しい。ずっと一緒にいた夫婦が、最期は別々なんてさ。

 ああ、アデルの歌声。

 切なくて、パワフルな歌声が、まるでレクイエムみたいだ。

 涙でレンズが曇ってきた。

 くそっ。息苦しい。

 落ち着かなくちゃ。防護服のマスクって、ホント、ウザいよね。

 あ、すごい勢いでリツイートされてる。

 そうだよね。日本から脱出する、最後の組の実況中継なんだから。

 全世界が注目してるんだろうな。


二人の骨をbバラバラにしておくのはイヤだったから、父さんの骨を運んできた。布団ごと引きずて。生きてたら、こんな風に運べなかたね。母さんを寝かせようとしガラ、服の中で骨がバラバラになっっちゃって。手首の骨だけ、今もテーブルにある。崩したくないからそのまま。


 送信。

 何とか、父さんの横に母さんを並べたんだ。

 オレが最後にできる、親孝行。

 これで、二人とも、寂しくないと思う。

 天国でも一緒に、幸せに暮らしてますように。

 神様を信じないオレでも、そう思いたくなる。


 14時18分。

 もうすぐ、最後のバスが出る。

 打つ手を休めて、最後の晩餐を思い出してみる。

 最後の夜。

 母さんは、オレが好きな料理を作ってくれた。

 ちっちゃなハンバーグと、缶詰のコーンポタージュスープ。

 ハンバーグの付け合せに、ニンジンのグラッセ、ホウレンソウのソテー。

 デザートにはリンゴのコンポート。

 久しぶりに生野菜を料理して食べた。何か月ぶりだったっけ。

 小さいころによく食べた、懐かしい味のハンバーグだった。

「おいしい」「うまい」、オレは何度も言ったよ。

 父さんも「やっぱり母さんの料理が一番おいしいな」って、褒めた。

 母さんは泣いた。

 父さんも泣いた。

 オレも泣いたよ。みんなで泣いた。


 その日の夜は、三人で布団を並べて眠った。

 オレが真ん中に横たわって、川の字になって。

 そんなの、幼稚園の時以来だった。

 眠れなかった。

 涙が後から後から出てきて止まらなかった。

 母さんも声を押し殺して泣いていた。

 父さんは背中を向けてた。その背中が小刻みに震えていた。

 それが家族で過ごした最後の日だ。


最後に別れてから3年。オレだけ避難所に行けたんだ。父さんと母さんはここに残った。お金がなくて、俺しか逃げられ中田んだ。オレもここに残ればよかた。三人で死ねばよかったんだ。激しく後悔してるよ。


 送信。

 最後の晩餐の翌日、オレは家を出た。

 せめて最後は笑顔で別れようと思ったけど、無理だった。オレは泣きじゃくった。

 一秒も笑顔なんてできなかった。

 バスの中の誰も、そんな俺を呆れたりしなかった。

 みんな、同じように家族と別れを告げていたから。


 窓から身を乗り出して、いつまでも手を握り合っている親子。

 運転手さんに促されても、子供の膝に顔をうずめて泣いている女の人もいた。

 坊主頭のその男の子は、必死で泣くのを堪えてたけど、目は真っ赤だった。

 一人で黙って腕組みをしてうつむいていた人もいた。既に家族を失っていたのかもしれない。

 みんな、それぞれに悲劇を抱えていた。

 なんで、オレらがこんな目にあわなきゃいけないんだよ。

 すべてのものを恨んだよ。原発なんてつくったから、こんな目にあうんだって。


 走り出したバスから見た、父さんと母さん。

 父さんは涙を流しながら、ずっと、大きく手を振っていた。

「元気でな」「会いに行くからな、待ってろよ」、そう叫んでいた。

 母さんは、座り込んで泣いていた。

 今まで知らなかった。

 父さんと母さんが、そんなにもオレのことを大切に思ってくれていたなんて。

 もっと、親孝行をすればよかった。

 もっと、大切にすればよかった。

 いくら後悔しても、もうどうにもならない。

 それが、生きている父さんと母さんを見た最後だった。


 ツイッターにはすごい勢いでコメントがついてる。

「生きろ」「死んじゃダメ」「ご両親は君の幸せを願ってるよ」「全力で逃がした親御さんの気持ちを考えろ」「親に助けてもらった命を粗末にするな」

 まあ、そうだね。正論だよね。

 でも、あんたたちは、今、日本にいないんだろ?

 この絶望的な状況を目の当たりにしてないんだろ?

 それなのに、生きろなんて、簡単に言うなよ。

 死んだ方がマシなことって、世の中にはあるんだよ。

 オレはスマホを叩き壊しそうになったけど、グッと堪えた。

 深呼吸して、落ち着いてからツイートする。


みんなありがとう。大丈夫、ちゃんと逃げるから。


 送信。

 14時32分。

 あ、クラクションが鳴ってる。

 集合の時間だ、行かなくちゃ。

 もう、最後のバスが出る。

 目の前には父さんと母さんの骨。

 ここから逃げる? 二人の骨を置いて。

 ここから逃げる? 行く先には誰も知り合いはいないのに。

 一人ぼっちになって、他の国で生きてくなんて。

 なんで、オレは、ここに残ることを選ばなかったんだ。

 なんで、オレは一人で逃げたんだろう。

 後悔だらけのオレの人生。

 どの生き方を選んでも、結末は絶望だ。

 どの絶望ならマシなのか。

 どの絶望なら後悔しないのか。

 あああ、もうすぐ、最後のバスが出る。


これからバス停に向かう。しばらく中断n。


 送信。

 14時48分。

 結局、オレは、家を出た。

 父さんと母さんの指の骨を一本ずつと、二人の携帯を持って。

 タオルに包んで、リュックの底に押し込んだ。

 検閲で引っかかって取り上げられるかもしれない。

 いいや、もう。

 親の形見さえ持っていけないんなら、オレはここに残る。そうゴネよう。

 バスのターミナルに向かう途中で、ふと思い出した。

 小学校のとき同級生だったトオルと、行きのバスで一緒になった。

「帰りは一緒に戻ろう」って約束したんだった。

 忘れてたよ。危ない、危ない。


 オレはトオルの家に向かった。

 トオルの家はうちから近い。昔は、よく互いに行き来して遊んだ。

 チャイムを鳴らしても誰も出ない。

 何回鳴らしても、誰も出ない。

 もしかして、先に行っちゃったのかな? 

 オレ、出てくるのに時間かかったし。

 念のために、門を開けて中に入った。

 どこかで風鈴が鳴ってる。チリリン、チリリン。

 玄関のカギはかかっている。

 庭に回ってみると、リビングのカーテンが開いていた。

 もしかして、トオルはオレのために開けておいたのかもしれない。

 トオルは、首を吊っていた。

 防護服を脱いで、リビングの窓のサッシに、ベルトをかけて。

 トオルの体の揺れと、風鈴の音色が重なる。チリリン、チリリン。

 なんで死んだのか。そんなの、考えなくても分かる。

 一人で生きていくっていう絶望に耐えられなかった。そうだろ?


 オレは、合掌してから、庭を出た。

 トオル、オレは、死ぬ勇気がないんだ。

 ためらいなく首を吊れるお前が羨ましいよ。

 これでお前は苦しみから解放される。

 安らかに、な。


 15時12分。

 スーパー横のバスのターミナルに着いた。

 ポツンと一台だけ止まっている、青い車体のバス。

 まだ待っててくれたことに、ホッとした。

 オレはゆっくりとステップを上がった。

「名前は?」

 運転手さんに聞かれて、名前を告げる。

 運転手さんは名簿にチェックを入れた。運転手さんも防護服を着ている。

 運転手さんは、時計をチラリと見た。

 出発時間を12分も過ぎてる。

 すみません。もごもごと謝ったけど、きっと聞こえてない。

 座席を見ると、来たときの半分ぐらいしか戻って来ていなかった。

 みんな、防護服を着たまま窓の外を見ているか、うつむいている。

 無言の防護服の集団。シュールだな。

 オレは、来たときに座っていた席に腰をかける。

 不思議なもんだな。とくに席を決められたわけでもないのに、一度座った席は、なぜか落ち着く。


 車内は静まり返っている。

 みんな、家に戻って、何をして来たんだろう。

 何に別れを告げてきたんだろう。

 庭から切ってきたのか、桜の枝を持ってる人もいる。

 花は、いくつかほころんでる。

 ああ、後1週間もすれば満開になったのに。今年は花見をできない。

 いや、もう二度と、日本で花見なんてできない。

 そうだ。この風景も見納めか。

 もう二度と、ここには戻って来れないんだ。

 最後にちゃんと見ておこう。脳裏に焼き付けておこう。

 子供のころ、よくこのスーパーや商店街に買いに来てたっけ。

 そんなことを考えていたとき。


「お兄ちゃん、どこに行くの?」

 くぐもった声で、後ろに座っている人が声をかけた。

 はじめ、オレに話しかけているとは思わなかった。背中をつつかれてようやく気付いた。

 多分、おじさんかな。防護服を着てると、歳が分からない。

 ゴーグルからは淀んだ目が見える。


「お兄ちゃん、どこに行くの?」

「どこって……成田です」

「そうじゃなくて、国のこと。逃げるんでしょ?」

「ああ、フィリピンです」

「フィリピン。いいねえ、まともな国で。オレなんか、ブルキナファソだよ」

「ブ・ブル?」

「アフリカの国だってさ。知らないでしょ」

「ええ、まあ」


「オレだって知らないよ、そんな国。でも、そんな国しかもう枠があいてなくてさ。先進国は、金持ちがとっとと、とっちゃったしさ」

「オレも、ギリギリだったから、フィリピンしかないって」


「まあ、庶民はそんなもんなんだよ。後進国に行けって感じなんだよ。政治家や官僚はさっさと先進国に逃げたくせにさ。国民をおいて」


「でも、なんか、海外で非難浴びてるらしいですよ、逃げた人たち。今はネットがあるから、すぐに顔を調べられちゃって、『あ、こいつ、大臣じゃん』って、分かっちゃうって」


「そりゃそうだろ。全世界の非難の的だよ。国民を見捨てて、自分たちだけ逃げ出してさ。電力会社のトップも、官僚も、みんなさらし者にされてんだろ? ざまあみろって感じ。あいつらが何もしなかったから、4号機は壊れて、日本は終わっちゃったんだから。世界中の海も汚染されちゃったしさ。海外に逃げて、お前らのせいで漁に出れないってボコボコにされてるんだろ? ざまあみろだよ。ホント、ざまあみろ」


 おじさんは段々早口になっていった。荒い息をしてる。


「アジアってだけ、まだマシじゃないか。アフリカなんて暑い国、生きてけるかどうか分かんないんだから」

「ええ、まあ……」

「オレなんかさ、45歳でも独身だから、子供の心配はしなくてよかったんだけどさ。お兄ちゃんのトコも、親が犠牲になってくれたんだろ?」

「……」


「オレの親父とお袋も、オレが九州に脱出するために、全財産を使ってくれてさ。最後までここに残るって言ったのに、親父もお袋も許してくれなくて。ああいうときの親ってのはすごいね。必死になって、受け入れてくれる避難所を探してくれたんだからさ。オレなんかさ、30過ぎてもフリーターで、結婚もしてないし、心配ばっかかけてたのにさ。それなのに、あちこち探してくれてさあ。家に戻ったら、二人とも死んでたよ。こたつの中で。電気なんてもうこなかったから、こたつにあたっても、あったかくないのにさあ、それなのにさあ、体を寄せ合ってさあ」


 段々涙声になっていった。

 他の乗客は、誰一人振り返ることもなく、黙って座っている。みんな自分の悲劇を受け止めるので精一杯なんだ。

 おじさんが嗚咽を漏らした。

 分かってる。オレに話したかったんじゃない。

 ただ、誰かに聞いてもらわないと、耐えられないんだ。一人で、こんな重みを背負うなんて。

 オレも、ホントは誰かに聞いてもらいたい。

 オレは、ここに残っていちゃいけないんだろうか?

 ホントは、今でもバスから降りたい。 

 どうしよう。もうすぐ、バスが出てしまう。

 ああ、出発を告げるクラクションが鳴り響く。


 15時20分。

「えー、出発時間を過ぎたので、出発します」

 運転手さんが、くぐもった声で伝える。

「まだ、戻って来てない人がいるんじゃないの?」

 一番前の席に座っている人が聞いた。女性の声だった。


「ええ、もう、戻って来ないでしょう。いつも、こんなもんです。今日は半分戻って来たから、まだいいほうですよ」

「でも」

「飛行機の時間がありますから」


 バスのエンジンがかかった。

 そうだ、トオルが来られないって伝えるのを忘れていた。

 でも、意味ないか。こんなに戻って来ないんじゃ。

 ドアがプシュッと音を立てて、ゆっくりと閉まる。

 もう、二度と、ここには戻って来られない。

 母さんと父さんの骨とも、もう会えない。

 あの家、生まれてからずっと住んでいた家。


 このスーパーも、あの団地にある公園も、学校も、数え切れないぐらい通った通学路も、子供のころ遊んだ林も、学校帰りに買い食いしたコンビニも、床屋さんも、本屋さんも、歯医者さんも、もう、すべてすべて。さようなら、さようなら。


 オレは、いつしか泣いていた。

 オレだけじゃない。くぐもった嗚咽が、あちこちで漏れる。

 なんなんだ、この悲劇。なんなんだ、この絶望。


 ああ、バスが走り出した。

 これが、最後の成田行きのバスだ。

 10年前の3.11。オレは10歳だった。

 あの日から、すべてが変わった。

 日本は終わりに向けてカウントダウンを始めたんだ。

 原発が津波にのまれた。

 それでも、政府は「ただちに健康に影響はありません」とか言ってたっけ。

 オレらもそれを信じて、ここにとどまったんだ。

 4号機。あれが、致命的だった。

 ある日突然、燃料プールの底がボロボロ崩れ落ちた。

 コンクリートが劣化してたって。予兆もなく崩れ落ちたって。

 それで大量の放射能がばらまかれた。日本中に。世界中に。


 日本は終わった。

 それが分かったとたん、電力会社のお偉方は海外に逃げたって。

 現場の作業員は何も知らなくて、バタバタ倒れたって。

 助けにいった人たちも倒れたって。

 それでみんな逃げ出して、1号機から3号機も放置しちゃって、制御不能になっちゃって、全部めちゃめちゃになっちゃって、4つ分の放射能が拡散しちゃって。

 その後は地獄だったよ。

 子供も大人もバタバタ倒れていった。

 道端で倒れて動かなくなっている人もいた。

 車の中で死んでいる人もいた。

「日本から逃げてください」「日本から脱出してください」、ラジオでずっと流れてた。

 でも、どこに逃げればいいんだ?

 父さんと母さんは途方に暮れてた。

 ガソリンはとっくに切れてたし、電車は止まってた。


 空港には人が殺到した。

 そうなる前に、政治家や官僚たちはとっくに海外に逃げてたんだ。 

 ツイッターやユーチューブで海外に助けを求めた人たちがいた。

 そのおかげで、あちこちの国から飛行機が飛んできた。それでずいぶん多くの人は助けられたって。

 でも、そんな話、ここにいたオレらは全然知らなかった。

 オレらは待ってたんだ。助けが来るのを。


「きっと、誰かが助けに来てくれる」

「見捨てたりなんかしない」

 父さんも母さんもそう言ってたよ。何度も、何度も。

 まさか、見捨てられるなんて、思ってもみなかったよ。


みんな、心配してくれてありがとう。バスに乗れたよ。幼馴染が首吊ってたたあ。行きのバスで一緒になって、一緒に戻る約束してたんだけど。家に行ったら、死んでた。悲しいなんて気持ち、もう麻痺しちゃて、わいてこない。


マメマメさん、ありがとう。フィリピンで迎えに来てくれるなんて。そだね、海外で、日本人動詞で助け合って生きていくしかない。ほかに道なんてないよね。


ヤムチャさん、台湾はいいみたいだね。現地の人たちが、すごく親切にしてくれるて聞いた。日本語話せる人も多いしょ? そういうとこに行けたのは、先発組だね。


ロシアに逃げた人は強制労働ささせられてるらしね。逃げた先でも絶望が待ち構えてるなんて。オレもきっとフィリピンでは土方か皿洗いしかない。言葉が分かんないし、働いたことないし。

 

ソラミミさん、日本で暴動なんて起きてないよ。今は、ここは静かなんだ。みんな、せめて最期は穏やかに暮らしたいて思てるから。オレが避難所出る時も、元気で奈、頑張れ手みんなに言われた。


 立て続けに送信。

 そうだよ、オレらが海外に脱出する最後の組。

 後の人たちは、日本に残ることを選んだんだ。選んだっていうか、そうするしかなかったっていうか。

 若者も大勢いる。オレと一緒に避難所にいたやつらの大半は残る組だ。

 みんな、そんなに長くは持たないと思う。だって、食料がないし、病気の人ばっかなんだから。

 そう、病気の人は海外が受け入れを拒否してる。

 しょうがないよね、そんなもんだよね、人類みな兄弟なんて嘘だよね。

 オレは健康だから受け入れてもらえるんだ。


 静かだ。今の日本は、どこも静かだ。

 日本は静かに終わる。

 こんな日が来るなんて、思わなかった。こんな日が来るなんて。


ごめん、なんか疲れて眠くなってきた。ちょと眠るね。


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