第15話




「リビア、どうしたんだ?」


 俺が問いかけると、リビアが頬を染めながら、もじもじとこちらにやってきた。


「すみません、もう休まれるところでしたか?」

「いや、まだちょっとやることがあってな」


 俺はちらと、今出しているガチャ画面を見ていた。

 これは他人に見せることができなかったよな、そういえば……。

 色々なスキルを習得したが、今もまだ無理なのだろうか?


 リビアは不思議そうにこちらをみている。


「何をされているのですか?」

「スキルの獲得をしようと思ってな」

「そんなあっさりとできるのですか? さすがですね」


 リビアは目を見開いた後、控えめに両手を叩いていた。

 俺が座っていたベッドの隣に腰掛ける。


「まあ、あっさりってわけじゃないんだけどな」

「それでは、結構大変なのでしょうか?」


 そう聞いてきたリビアに、俺のガチャについて簡単に解説してみた。

 感心した様子でリビアが腕を組む。


「つまり、新種の魔物を探して倒し続けないと強くなれないということですか」

「まあな。今はポイントがたまっていたんで、それで強化しようと思ったってわけだ」

「なるほど……知らない間にそんなに魔物とも戦っていたのですね」

「いや、名前をつけた魔物が倒してもポイントになるんだ。だから、今回のガチャはほとんどゴブリンやワーウルフたちが稼いでくれたポイントだな」

「えっ!? それは便利ですね。それなら、これからもどんどんスキルが獲得できそうですね」

「まあな」


 ……その新種の魔物がいつかは尽きてしまうかもしれないというのが問題ではあるのだが。

 今すぐに考えるような問題でもないんだが。

 リビアがさらに近づいてきた。そして、両目を輝かせる。


「そのガチャというのは、私も見れませんかね?」

「ちょっと、待ってくれ」


 ……上界にいたとき、俺は自分のガチャを証明するために見せようとしたがダメだった。

 今はどうだろうか? 普通にしていては難しいだろうが、例えば魔物使役や召喚士の力を借りてというのはどうだ?


 色々と考えていた時だった、リビアがわっと驚いたようにこちらを見てきた。

 彼女の視線は俺が今広げているガチャ画面に向いていた。

 できたようだ。


「見えるのか?」

「は、はい。これがガチャ画面なのですね?」


 画面に手を伸ばしているようだが、彼女のしなやかな手は通過するだけだ。

 さすがに操作はできないようだな。


「じゃあ早速ガチャまわして行くかね」

「はい、楽しみです」


 俺はリビアに軽く説明しながら、十一回ガチャを押した。

 ガチャをまわした瞬間、いつものように玉が出現する。

 銅色4つ、銀色3つ、金色3つ、虹色1つだ。


「わあ、なんだか輝いていますね!」

「……ガチャにはレアリティがあってな。一番いいのがこの虹色なんだ」

「それでは、それがたくさん出るのが良いのですね。そうなると、今回はハズレですか?」

「まあ、そうでもないかな」


 不思議そうに首を傾げる。

 ……あとは、ガチャ結果を見ながら説明したほうがいいだろう。

 一気にガチャを確認していく。


 力強化 レベル1

 耐久力強化 レベル1

 器用強化 レベル1

 俊敏強化 レベル1


「銅色は能力強化系だ。一つだとあんまり効果はないが、たくさん集めればそれだけ強化してくれるようになるんだ」

「なるほどぉ……確かにハズレではありませんね」


 次は銀色だな。


 剣術 レベル1

 鍛冶術 レベル1

 採取術 レベル1


 おっ、中々良いスキルだな。


「銀色は様々な技術系だな」

「……確かに、これもハズレではありませんね。戦闘はもちろん、生活基盤を整えるに必要なスキルが数多くあるのですね」

「ああ、次の金色は魔法系だな」

「……魔法。それはまた便利そうですね!」


 土魔法 レベル1

 火魔法 レベル1

 水魔法 レベル1


 出現した三つのスキルを見て、リビアが目を輝かせる。


「こ、こんなに色々な魔法系スキルが一瞬で手に入っちゃうなんて……本当に素晴らしいスキルですねっ」

「……上界にいるだけじゃ、中々機能しないスキルでもあるんだけどな」


 そして、最後は虹色だ。

 今回獲得したのは、召喚士 レベル1だった。


「……これは、あっ、ピックアップ、と書かれていたスキルですね」

「そうだ。最後の虹色はピックアップスキルが出る感じだな」


 これで5000ポイント分のガチャは終わった。

 リビアは……楽しんでくれたようだ。


「なんだかこうしてガチャを見ているの、なんだか興奮しますね」

「それじゃあ、残りも行こうか」


 俺はさらにリビアと10000ポイント分のガチャを回していく。

 ……リビアは毎回俺のスキルについての確認をしてきた。

 

 彼女は初めて聞くスキルについて、とても興味があるようで、何度も聞いてきた。

 ……今回獲得したスキルで新しいものはなかったが、リビアの反応が見ていて楽しかったのでよしとしようか。


 三十三回のガチャで出たスキルをまとめておこうか。


 力強化3つ、耐久力強化3つ、器用強化3つ、俊敏強化2つ、魔力強化2つ。

 剣術2つ、飼育術1つ、鍛冶術1つ、魔物進化術1つ、採取術1つ、釣り術1つ、仕立て術1つ、感知術1つ。

 土魔法1つ、火魔法3つ、水魔法1つ、付与魔法1つ。

 召喚士2つ、魔物指南1つ、魔物使役1つ。


 ……被りしかなかったが、どれも欲しいスキルばかりだったので良しとしよう。

 スキルを組み合わせているときに、なんとなくステータスを見た俺は、そこで驚いた。


 クレスト


 力272(+16)

 耐久力251(+10)

 器用270(+13)

 俊敏296(+14)

 魔力303(+15)


 ど、どういうことだ?

 

 

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追放物のファンタジーです

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