第29話 再会

「美香ちゃん!」


「瑠香っち!!」


 私は美香ちゃんの学校の最寄り駅について改札を出たところで美香ちゃんを見つけた。

 

 私たちは駆け寄って抱きしめう。


「会いたかったよぉ」


「私も!!」


 私たちは数秒後に離れてえへへ、と笑いあう。


「瑠香っち、元気そうでよかった」


「美香ちゃんも。状況は改善した?」


 美香ちゃんはうつむいて静かに首を振る。


「実は……、もっと悪くなってる」


「え……?」


「昨日、部員が——残っていた部員が一気にやめた」


「な、何があったの!?」


「ごめん」


 美香ちゃんは頭を下げる。


「瑠香っちがあそこまで盛んにしてくれた部活、壊しちゃった」


「やめて、頭上げて」


 美香ちゃんは頭を上げて、でも私と目を合わせてくれない。


「美香ちゃん……」


「私の力じゃどうしようもなくて。やっぱり私じゃだめで……、だから、瑠香っち、お願い。私、みんなとまた一緒に部活したいの。瑠香っちに頼りっぱなしで、ごめん」


 美香ちゃんの気持ち、わかったよ。


 私に任せて。


「よし、いこっか! みんなに久しぶりに会いに行くぞー!」


美香ちゃんは少しだけ微笑んでうん、と言ってくれたんだ。



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