第40話氷の女王と終わり
「起きろよ」
「起きてるよ」
「そっか。準備しろよ」
「へいへい」
林間学校3日目。と言っても3日目は帰りの準備と、少しだけの自由時間で終了だ。
黒兎達の男子班は、朝のうちに帰りの準備と部屋の掃除を始めていた。
「今日は朝ごはん食べたらほとんど終わりだよな」
「そーだな。いやー、3日間って意外と早いよな」
「確かに。色々あった分、早く感じるな」
ある程度整理を終え、朝ごはんの為に食堂へ向かう。
そこには雫達の女子班がもう、ご飯を食べ始めていた。
「あれ?咲良?もう、食べ始めてんの?」
「そうだよ」
「冬矢達は片付けしてないのか?」
「ええ。後からやっても間に合うしね。それに今日は帰りの準備したらほとんど終わりじゃない。3日間というのは、早いものね」
「だな。俺らもご飯貰ってくる」
今日のご飯は味噌汁、炊き込みご飯、卵焼きの卵焼き定食だ。
昨日の朝と同じように食堂おばさん達に挨拶して、ご飯をもらう。
黒兎達が女子班のところに帰る時には雫はほとんど食べ終わっていた。
「冬矢、あんまり急いで食べるなよ」
「急いでないわよ、いつものスピードよ。それと、人が増えてきたから呼び方を変えないかしら?」
「おっおう。そーだな。んじゃ俺たちもら食べるか」
「そうだな」
黒兎達がご飯を食べ始めて少しすると雫達は全員食べ終わったようで先に部屋に戻って片付けをしてくるそうだ。
「ごちそうさま」
「ごち」
「ごちそうさまでした」
黒兎達も食べ終わり、部屋に戻る。
部屋はほとんど片付けが終わっているので後は帰りのバスを待つだけだ。
それまでは部屋の中でごろごろして過ごした。
午後0時
クラス会で昼食とこの後の説明をされ、残すところはあと1時間程度だ。
午後1時
片付けをしたり、林間学校最後の学年集会をしたりして、もう、バスの時間だ。
「これで帰れるー。な、黒っち」
「ああ、やっと自分の家だ」
「なんだ?さっきまで早かったなとか、ちょっと寂しいなんて言ってたのに」
「切り替えだよ、切り替え!」
「何事も切り替えが大事って言うだろ?」
「言うけどそういう事じゃないだろ……」
バスに乗れば行きと同じだ。
適当に雑談したら学校に着く。学校からは各自解散になり、そこからは家に帰るだけだ。
バスは学校に向かって走っていく。
色々あった3日間。なんだかんだで楽しく、そしてとても疲れた。
聡はもちろん、行きは雑談していた陽と黒兎すら、バスの揺れが心地よく、夢の世界に旅立ってしまう。
「起きて!聡!」
「うんうんうう……」
「起きなさい。月影くん」
「うーんんん……」
「はぁ、聡!起きないと……」
「月影くん。起きないと……」
パァーン!聡が叩き起された。文字通り。
その音を聞いて黒兎は飛び起きる。何だか雫が自分を起こそうとしていたように思う。
(ってことは次、叩き起されるのは俺!?)
飛び起きるとそこには手を振りかぶって今頬を叩かんとする雫が見えた。
「おっ!起きた!起きたか」
パァーン!起きたのに叩かれた。
「起きてたのに……酷い」
「すぐに起きなかったのが悪いのよ。それにほら、目が覚めたでしょ」
「まあ。目は覚めたけど……ってかそんなことして大丈夫かよ!周りに人がいるのに俺たちがあんまり親しくしていると……」
「もう一度叩いてあげようかしら?」
「なんで!?」
「周りみてご覧なさい」
「周りって……あれ?俺たちだけ?陽と優心は?」
「あの2人なら、陽さんは優心に叩き起されて先に帰ったわよ」
やっぱり陽も叩き起されたんだと思いながらもこれで本当に林間学校が終わったんだなと少し寂しく思う。
「ほら、聡!帰るよ」
「おかんかよ、咲良は」
「おかんじゃない!今日は聡の家泊まるから!」
「ああ、そうだったな。よし、帰るか」
聡達は先にバスを出ていく。
「帰るわよ月影くん」
「おかんかよ」
「おかんじゃないわ。今日は月影くんの家泊まるから」
「いつも通りじゃねぇか」
バスの運転手さんに変な目で見られたが、そんな目を気にせずバスを降り、帰路につく。
「帰ったらお昼ごはんね」
「今何時だ?」
「えっと、午後3時ね」
「おやつだな」
「そうね。パンケーキがいいわ」
「しゃーねぇな。パンケーキミックス買って帰るか」
「あら?一緒に買い物は、まずいんじゃない?」
「なら今、こうやって一緒に帰ってることもまずいだろ」
「それもそうね。楽しみだなーパンケーキ。きっと絶品なんだろなー」
「おい!ハードル上げんな」
「それより、来週はテストよ」
「せっかく楽しい気分だったのに……嫌なことおもいださせるんじゃねぇ」
林間学校も終わりを迎えこれからはまた日常が始まっていく。
この話に特にオチはない。
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