世界は愛で満ちてたっぽい。~脳天狙撃から始まる反青春ラブコメ~

浜野 蒼平

プロローグ

プロローグ 恋愛なんてクソくらえ!! 

 人は恋をする。

 それは性欲と独占欲と承認欲求をラッピングした醜悪極まるものであろうがとにかく人は恋をする。


 昨今の世の中では「いじめ」「汚職」「過労」などなど人間のクズっぷりが暴かれる事件が多数発生しているが、それはすべて人間がいるから生まれるものである。


 では、人間は何から生まれるか。


 そう、両親である。

 例外もあるが、ここは「関係を結んだ男女」というくくりで両親とする。

 さて、両親はなぜ子供を作るのか。

 性欲は最たるものとして、今日の恋愛結婚が主流となっている状態を鑑みるに「お互いの愛の証明」なのではないかと個人的に思う。


 愛は目に見えない。目に見えないということは存在が確定されないということだ。そんな不確定な愛に不安を感じ、形を与えて目に見えるようにしたいと思う。それが「子供」である。


 では、両親の独善であり醜悪極まる我欲によって生み出される子供は、どうなるか。 



――人間は、決して完全ではない。

 それは両親も同じことだ。

 未熟な両親が、子供を産む。

 その子供が、未熟な両親によって育てられる。

 未熟なまま、他人と関わる。

 するとどうなるか。

 簡単だ、他人を傷つけるのだ。

 そうして、他人を傷つけながら成長し、いずれ「あの時の俺は未熟だった」とか言いながら、恋愛して、結婚して、子供作って、また、未熟なまま子供を育てる。

 そうして、未熟な大人から生まれた子供は、誰かを傷つけていく。

 

 傷つけられた側は、一生傷が癒えない。

 程度の大小こそあれ、自殺する人も出るだろう、引き籠る人も出るだろう、けれど、どうしようもない。


――だがしかし、根幹から正すことができたなら。

 

 人間という種が、一人残らず消えたならば。


 誰かを傷つけなければ生きていけないのなら、生きていかなければ傷つけずに済む。


 全人類が、一人残らず幸福になるとき。

 それは、全人類が、一人残らず消えたときである。

 

 そんなもの、幻想で、到底実現不可能なことであるとそう唾棄した。


 けれど、そう思った日からずっと。



 恋が、できない。  


 

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