第2208話 69枚目:戦線復帰
その後水曜日のログイン時間いっぱいをボックス様の試練で制御訓練というか、セット効果の確認に費やした。その結果分かったのは「ヤバいにはヤバいけど制御訓練をガチでやってれば何とかなる」って事だ。
というのも、このセット効果でステータスに起こる変化は「加算」だ。どうやら敵と味方の種族、人数、レベルがそれぞれ係数になってその数字は上がっていくようなんだが、いくら数字が大きかろうと「加算」である以上、元の数字が大きければ大きい程影響は小さい。
そしてステータスの加算は装備者のステータスの偏り方と同じ。つまり私の場合、ほぼ平均になる。という事はつまり、制御力をちゃんと鍛えていれば、何重にもバフを貰った時と同じ感覚で動ける……筈、という結論になった。
「まぁこれは試練で出来た範囲の事ですから、最前線でモンスターも
「ははは。それはもう各自で注意しつつ検証してみるしかありませんからね」
という事で、木曜日。本来ならだいぶ時間が差し迫っている為、かなりの緊張感と焦りが滲んでくる筈の最前線へ移動して。
「お嬢」
「なんでしょう」
何というか、攻略難易度に対するものとは違う緊張感の中で大人しくしていた。
うん。流石にあの、黒く濁った水で出来た輪の近くまでは行かずに、工事現場と輪の中間ぐらいに移動して、そこで出力は最低限かつ範囲は最大限に領域スキルを展開してみたんだが……。
まぁ、大体分かっていた通り、割と大惨事になった。
「あれは本当に大丈夫なのか?」
「とりあえずギリギリ何とか一応行動事故にはなっていないので……」
「いや、モンスターが勝手に自滅してる方なんだが」
「領域スキルは展開しているだけで、他の能力は使って無いので大丈夫です」
いやぁしかし……阿鼻叫喚だな。自分の動きや攻撃の威力に関しては、流石最前線まで来ている
だがモンスターは別だ。……自動回復スキルの回復量は割合だ。だからステータスが伸びるとリソースの上限が伸びて、結果時間単位の回復量の絶対値が増える。そしてそれをそのまま押し付けると、【調律領域】の吸収能力を発動したかのような有様になる。
流石に自分の動きに気を配りながらモンスターの状態にも全力で注意するというのは難しいらしく、攻撃をする直前でモンスターが勝手に倒れ、結果空ぶった攻撃でフレンドリーファイアが発生しかけていたりした。とはいえ、領域スキルを切ったら意味ないしなぁ。
「……本当か?」
「それを発動させていたら、精霊の姿が無くなってる筈ですし」
なお工事現場からは割と距離がある筈だが、精霊さん達は集まって来て私から魔力を持って行っている。どうやら何とか
まぁ楽になったのは領域スキルの展開だけであり、私も正直自分の行動と魔法に関しては制御が出来ているとは言い辛い。流石最前線。モンスターも
とりあえず誤射だけはシャレにならないので、少なくとも周囲がある程度慣れるまでは、私は再び置物だ。周辺への影響がすごいが。
「……。まぁ精霊に魔力を持っていかれても、無理になってる感じはないが……」
「新しい装備だと、周りが賑やかであればある程回復力も上がりますからね」
まぁそれ以前に、これでもかってぐらい「自動回復」がついてたからな……。
装備にくっついてくる能力の方は固定値だが、その分だけ絶対に回復し続ける。だから「自動回復」付きの装備は青天井な訳だが、それが最終的に+*50とかになってたからな。
普通はこれだけで不死身レベルの回復量なんだよな。……普通は。
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