第1685話 58枚目:ロスタイム

 さて、金曜日の夜はそんな感じだった訳だが、進捗はというと。


「数が数ですから覚悟はしていましたが、減りませんね……」

「のう。やはりこの石臼を斬った方が色々と早いと思うんじゃが」

「ダメです」


 そこから1日が経過した土曜日の夜でこの調子だ。本当に数が多いな。一応ギリギリ上の平らな部分には何も無くなり、投入口の上は開いているのだが……ちょっと中を除いたら、まだ穴の中に仕掛けが溜まってたからなぁ……。

 どうやら他のステージで検証したところ、投入口には不思議な力が働いていて、穴の中に入った物は決して出てこないようだ。そして一応これでも安全装置に当たるのか、生き物は入る事が出来なかった。

 なお生き物には、霊体種族、物質系種族、精霊を含む。そうだな、ルージュで例えると、本体は穴に入れない。操っている手足扱いの武器も入れない。だが操作するのを止めて持っているだけになった武器は入る。って事らしい。


「つまり、私の鱗を始めとした体の一部、普通に言うなら生物素材は入るんですよね」

「ここに来て初めて空間が分かれていて良かったと思ったである」

「むしろその為に分かれた可能性までありそうじゃの」


 流石にそこまで極端な理由ではないと思うが、素材狙いの誰かから攻撃されることを警戒しつつ動かなきゃいけない事にならないのは助かるんだよな。もちろん他のステージではピリピリと警戒の空気が高まっているようだが。

 5つ巴が6つ巴~ただの乱戦になりそうな爆弾要素が判明したから、司令部もちょっとわたわたしていたらしい。まぁそうだな。いい加減味方ぐらい一丸にさせろよ運営。その連携や協力を積極的に壊す奴はいるけど。


「小さい奴の増え方を見る限り、あの穴に残ってた分だけで、最初に見えていた山がもう1つ出来そうなぐらいはあるんですよねぇ……」


 だからモンスター由来の時短アイテムを使ってるし、実は時々、時短アイテムの調達も含めて資材集積場に攻撃を仕掛けていたりする。流石にここまでくると資料の類はほぼなくなり、「富める欠片」ばかりが積まれているんだが。

 いくらイベント空間と言っても、山積みにしてあるだけでは「小さな模造の魔臼」にはならないようだ。なると困るどころじゃないからいいんだけども。


「既に使った臼と欠片を一緒にインベントリに入れていても、欠片を吸収して臼が修復される、とかいう事にはならないようですし」


 もちろん新しい臼は出来るんだけどな。当たり前だが外には出せないし、かといって【錬金術】を使えば液体だって入れ物に入った状態で増やせる。元より増えると言ったって、たぶん販売用のお札を作るぐらいにしか使わない気がする。

 またしても金策が捗ってしまう訳だが、まぁそれはさておき。本気で間に合わない気がしてきたんだが、臼の解析をして増やしたものを消す手段とかが欲しくなってきたな。無いだろうけど。

 戻り際にモンスターの側のギミック山を確認してみたが、進捗状況はほぼ同じか、ややモンスターの方が早い状態にあるようだ。まぁ手数が違う上にあっちは時短アイテム使い放題だしなぁ。


「……。ギミックの解き方も同じという事は、モンスターも何らかの手段で他のステージと情報を共有している事になりますね?」


 この場でだけは体の一部がスライム状になってるモンスターと、一部が歯車の機構になっているモンスターが譲り合って協力しているのを見てから、仕切りとなる壁系魔法の強度を確認し、追加で設置しなおして作業に戻る。

 で、ちょっとそんな事が頭によぎった訳だが……まぁ、うん。今更と言えば今更だな。でないとここまでの戦略的な動きや学習スピードが説明できない。信仰のようなものがあるなら、当然、加護や祝福に近いものもある、というのは、既に検証班によって確定された事実だし。

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