第1218話 41枚目:状況解析
一応ログイン中だった他のメンバーに許可を取り、いないメンバーには掲示板に書き込んで事後報告として、【調律領域】と【王権領域】を展開した状態で隅々まで島を見て回った。
結果? こっちもレベルアップした感じの爆弾がいくつか見つかったよ。30は島を調べた上でいくつかだから、本当に性格の悪さが良く出ている。調べなければ被害が出て、しかし調べても徒労感の方が勝つという相変わらずの絶妙さだ。
ただ、そうやって調査していると、ルウがいなかった理由が分かった。どうやら周囲の海をうろうろする知らない船があったから、様子を見に行っていたんだそうだ。
「で、その船はどこに?」
「ちょっと離れた島に止まったかラ、ルイシャンを呼んで乗ってた全員に雷を落としてもらったヨー」
「死にました?」
「たぶん生きてるんじゃないかナ?」
という事で、捕虜が追加だ。なおその船を調べたところ、私が見つけたのと同じ爆弾が出てきたから黒で確定である。
しかもこちらは
もちろん司令部、というか、元『本の虫』組の対『バッドエンド』対策協定を結んで管理している人たちに引き渡した。何か情報が出てくればいいんだけど。
「かなり時間を使いましたけど、その間にどうにか戦争も終結させられて良かったですね」
「そうですね。戦争開始からほぼ最速でちぃ姫さんが素材を集めてくれましたから、必要数は十分揃った状態で仲裁に動けたようですし」
どうやら素材調達は間に合っていたようだ。良かった。
で、そんな会話をしているカバーさん(本物)だが、どうやら素材を司令部に届けてこちらに戻る途中で、襲撃を受けたんだそうだ。予想通りか、と言えば、予想外だな。襲撃程度で止められる人じゃないだろカバーさんは。1人でも大概どうにもならないのに、司令部の人(=最前線に出れる
の、だが。その襲撃の規模っていうのが、どうも最低で数百人はいたんじゃないか、というレベルだったらしい。それも
「……おかしいな、違和感が全くない」
「どうされました?」
「何でもないです」
ちょっと素が出てしまったがともかく。人数だけでも相当なのだが、その襲撃が発生した瞬間、周囲を何らかの領域スキルが覆ったらしい。恐らく私の領域スキルの逆バージョンだろう、との事だが、数人の
そしてダメ押しのように、終わりが見える程度に襲撃者を倒すとモンスターの群れが襲い掛かって来たそうだ。それも、明らかに通常よりも強化された状態で。そしてモンスターに対処している間に襲撃者が立て直し、死に戻りから合流して、袋叩き再び……というのが、延々繰り返されたようだ。
カバーさんと司令部の人達も奮戦したのだが、どうやらその領域スキル、微量だがスリップダメージも積み込んできていたらしい。それと掠りダメージで削り切られてしまった、との事。
「応援は呼ばなかったんですか?」
「一切の連絡が取れない状態になっていました。それに加えて能力が制限されている事を考えても装備に違和感がありましたので、恐らく善あるいは中立に属する神の加護を封じる効果があったのではないかと」
明らかにレイドボスを相手にする時の戦略と準備だが、流石にそこまでされれば限界も来る。ただ絶対に殺すという目的は明白だったので、カバーさん達は戦闘をしながら、大事な装備を全部インベントリにしまい込んだんだそうだ。……途中から予備武器で戦ってそこまで奮戦してたの?
なので襲撃者の装備を回収する事は「あんまり」出来なかった、と、カバーさんは悔しそうだった。
「……あんまり?」
「えぇ。あちらはそれこそ決戦のようにしっかりとした装備を身に着けていましたので、利用している流通経路を特定する重要な手掛かりとなり得ます。向こうから来てくれたのですから、この際に補給線を断っておきたかったのですが」
……。うん。まぁカバーさんだし。というか、それで戦争が終わったのに最前線へ
という訳で装備は守ったとはいえ、押し切られたカバーさん達。だが、倒されても死に戻り転移が発動しなかったらしい。ただ目の前に『復活待機時間を終了しますか?』というウィンドウが出て、それの「YES」が押せない状態だったようだ。
既に爆弾情報が混ざっている訳だが、そこから幽霊状態でただ様子を見守っていると、倒れているカバーさん達の
「そしてその人物が禍々しい剣を突き立てると、魔物種族の方々と同じく、その場に推定我々由来と思われる素材が発生しました。そこでようやく通常の死に戻り手順が発動し、帰還する事が出来たのですが……スキルレベルの低下に加え、明らかに死に戻りしたタイミングよりも時間が経過していました」
という事で……ヤバいな。ヤバさしかない。
「
「少なくとも、こちらが把握している範囲では一切ありません」
っていう事だし。
それにルールが見破れなかった変装。もしかしなくても、「本人の素材」を使ったからだな?
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