第810話 24枚目:イベントのお知らせ
イベントの間にある空白期間は例によって、準備期間として装備の更新をしたり消耗品を補充したりする時間だ。まぁ私の場合はお札とポーションの生産作業なんだけど。
ただイベント報酬からの推測はあったので、アラーネアさんの所に行って白モフ装備の更新をお願いしてきた。……同じ予想をしたらしい
まぁともかく、一時的に体温を上げるポーションとか、寒さ耐性を上げるポーションとかも作りながら時間を過ごし、月が替わった所でイベントのお知らせが届いた。
「探索系と予想はしていますが、一体どこを探索させられるのか、と……」
今日は都合が合わずフライリーさんはいないのだが、どうやら私の頭の上というのは霊獣や属性精達の人気スポットになっているらしく、クランハウスである島にいれば大体誰かしらが乗っている状態だ。
何処で何を学習したのか、大きい子から小さい子が順番に乗ってタワー状態になっている事も多い。いや重くはないけどさ。バランスをとって歩く事も随分慣れたもんだ。
ついでに言うとマリーは近いタイミングでログインしてきたらしく、いつの間にか我が物顔で私の膝の上を占拠した上ですっかり寛いでいる。私はソファーかなんかか? 可愛いからいいんだけど。
「ところでマリー、訓練の方はいいんですか?」
『バトラーが翼を怪我してしまいましたので、本日は中止ですわ』
「翼を。……【浮遊】の訓練中に落下したとかでしょうか」
『模擬戦の流れ弾に当たったと聞きましたわね』
見た目は相変わらず白くてふわふわの子猫がひにゃーと鳴いているんだが、【魔物言語】を鍛えたお陰か通常の会話なら支障が無くなったようだ。しかし模擬戦の流れ弾か。誰だ?
まぁ私の状態はともかく、イベントのお知らせだ。ざっくり読み進めると、やはり探索系で合っているらしい。舞台となるのはこちらも予想通り北国の大陸。だが、氷の大地はそもそも
で、問題は何を探すかだが……ちょっとこれは、そうくるかー、という感じだな。とりあえず、バックストーリーを確認してみよう。
大陸に起こった異常の原因と言ってほぼ間違いない相手からの攻勢。それを凌ぎきって安堵の息を吐いた神々は、大陸のどこかから、その動きに応じるような力の高まりがある事を知った。
しかしその力の位置は、神々をもってしても判然としない。それでもしばらく調べてみた結果、どうやら未だ大陸に根強く残っている、この世界に由来しない雪が原因である事が分かった。
位置を特定する事は、少なくとも神々の側からでは非常に難しい。しかし決して放置していい物ではない。この難題に対して神々は議論を繰り返し、提案を出し合い、その結論を託宣として召喚者へ下すのだった――。
うん。つまり、ほぼほぼ丸投げって事だな。神々からでは分からないから、
一応補助として神々からの加護や祝福というスキルが強化されるらしく、それらのスキルのレベルが高い程その「何か」の感知は上手くいくようだ。それでも範囲はそこまでではないらしいので、大陸中を歩き回る必要はあるようだが。
流石に当てもなく歩き回るのは厳しいどころではないが、今回は
「……「第一候補」は移動力に難がありますからね。しかも今回は
『人数を投入すれば宜しいのでしょう?』
「マリー。現在は最初の大陸で、主に秩序属性の神々の支持基盤が穴ぼこだらけにされているという混乱の最中なんですよ」
『あぁ、例の人間だけをやたらと優遇する神ですわね? 自業自得なのですから、自力で何とかして頂くのが筋だと思いますわ』
「それをやると更に付け込まれるのが目に見えているんで、外から手を入れざるを得ないんですよね」
『なんてこと。情けない神々ですわね』
マリーはこの通り、私の知っている通りに喧嘩腰で過激派な事を言いつつ欠伸をしているが、本人はまだ極寒の地域で活動できないので今回も不参加だろう。ま、以前の生まれたての子猫状態よりは大きくなっているから、順調に進化は出来ているようだ。
……まぁ私も、ポリアフ様に許可を取って【王権領域】を最大展開した状態のまま探索してやろうか、ぐらいは考えてるけど。
だってテスト期間とほぼ丸被りしてるから、今までになくログイン時間が制限されるのが分かり切ってるんだよ。もたもたしていたらまた何か妨害されるかもしれないんだし、決着を早く付けられるんならその方が良いに決まってるんだから。
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