第746話 22枚目:探索支援
どうやら水路がある場所に出現する黒い線から種を回収する動きでも「“影の獣”の欠片」を削る事が出来たらしく、氷の入れ物と光属性魔法の集中砲火で、1日目の午後の半ばあたりで橋が動くようになったようだ。士気が高いって本当にすごいな。
推定水路の周りに隙間もない程氷の入れ物を並べ、その上空に封印系の魔法が使える
結果? えっとだな。私が参加したらギリギリとは言え押さえ込みに成功したって言うのと、あの空中に設置した封印魔法の箱に纏いつく動き、あれが基本行動の内に入っているというのが分かったかな。
「次の橋を跳ね上げても、地上に広がるより上空に合流する量の方が圧倒的に多いんですもんね。もちろん片っ端から封印してますけど」
今は昼間なので、私の封印魔法を連打する速度さえ間に合うのであればここまでの比ではない速度で「伸び拡がる模造の空間」を削る事が出来る。そこは上手く連絡を取り合って連携すればいい。幸い連絡手段はあるんだし。
そうして日が暮れるかなりギリギリまで粘ってみた所、どうやら橋を跳ね上げて出てくる“影の獣”こと「伸び拡がる模造の空間」の量には上限があったようだ。
出てくる勢いが緩んだ瞬間を逃さず光属性魔法による飽和火力を叩き込んだところ、ようやく橋を覆っていた黒いものが剥がれたのだ。橋だけではなく橋の下に当たる水路も同様で、これでようやくある程度まとまった体力を削る事が出来た、と言う事になるだろう。
「水路が一部とはいえ開いたのだから、際限なく出てきても良さそうなものでしたが……まさか、本気でブロック分けされているとは思いませんでした」
『あぁ、あの境目が空間異常を起こしていた場所と同じ、あの黒い壁で仕切られてたやつか』
とは言え。一度削り方が確立してしまえば、後は力を合わせてその方法をゴリ押せばいいだけだ。もちろん体力が一定値を下回ったとかで、行動パターンが変化した場合は別だけど。
なので現在。夜になったがそれがどうした、と言わんばかりの勢いで、私が空中に設置した空間魔法の箱と、そこに纏いついては封印される“影の獣”もといレイドボスと、封印される片端から強い光を浴びせて種に変える
それに、上空にレイドボスの注意が向いているなら、地上の探索が進められるからね。全体の体積を減らす事はもちろんだが、その体積を大幅に増やしている宿闇石の回収も大事だから。
『だがお嬢、こんなに集めても、流石に俺らだけだとどうしようもないぞ?』
「大丈夫です。今回はたくさんの方に協力して頂いていますから、区切りがつき次第山分けの予定です」
『……なるほど。この人数で分けるのか。それならまぁ、いつもぐらいに収まるか……?』
ちなみに、封印魔法同士の融合と言うか合体と言うか、もっと言えば遠隔操作をし続けたお陰か、大分自由に動かせるようになったので、種が目一杯に詰まった封印魔法の箱だけを上手く取り出す事が出来るようになった。
とは言えあまり遠くまでは動かせないので、近くで別の入れ物を持った誰かに受け取って貰わないと上手く減っていかないのだが。その辺連携できるって大きいよね。
なので種が内部に溜まって困ると言う事も無く、非常に順調に体積を削る事が出来ている。……現在は夜なので、元々潜んでいた分だけでは無く、宿闇石によって増えた分だけ、という可能性も、無くは無いのが、頭が痛いポイントだけど。
「いずれにせよ、夜の間に地上を探索する事が必須かどうかを確認する為にも、そして精霊獣達の巣と見なせるあの積乱雲に手を出している暇を無くす為にも、この調子で“影の獣”を引き付け続ける事は必要です」
『盛大に魔法を使い過ぎなんだよな』
「定期的に魔法無し縛りを自分に課して始祖の試練に挑んでいますから、まぁそこまで能力差が開いてるって事は無いんじゃないでしょうか」
『そんなことしてたのかお嬢!?』
「えぇまぁ。ティフォン様も心得てくれて、ちゃんと避けなければかなり痛いですが、ちゃんと避ければノーダメージで済む上に、物理のみで削り切れる相手を用意してくれますし」
『……あれか!? 時々休憩っつって姿を消してたあれだな!?』
流石エルル、ちょっと考えただけで、私の試練ダンジョンへの挑戦タイミングが分かったらしい。そう、あれだ。皆の所に行ってお茶するか、ティフォン様かエキドナ様の試練に行って主に物理で体を動かすかが私の休憩となる。
だって休憩が必要な程集中する作業って言ったら生産作業しかないし。同じ姿勢で長い事動かないでいると、身体が固まる気がするんだよね。多分気のせいだと思うんだけど。それでも、息抜きは大事だよ?
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