第555話 21枚目:イベント仕様
『恐らく、熱を用いての除雪にここまで過剰な反応があるのは、どちらかというと仕様なのだと思われます。その筆頭である火山の女神を、ふさわしい時が来るまでは絶対に目覚めさせないという強い決意の表れなのでしょう』
『だからと言ってこの吹雪は流石に酷いと思うんですよ。そもそも情報の出し方へたくそか? 案件だと思うのですが、その辺どう思いますか「第一候補」』
『出来ればコメントを差し控えたいところではあるが、そちらも恐らく理解不足とやらかしであろうな。探した筈の必要な情報が足りないのもいつもの事である』
『とりあえずこちらで可能な限りの要望と改善案は送信しておきましたので、対応の結果に期待しましょうか』
まぁそうなるよなー、という結果が出て、その後掲示板上で交わされた会話がこれだ。上から順にカバーさん、私、「第一候補」、パストダウンさんである。ちなみに「可能な限りの」とは「人数」の事だと注釈を入れておこう。
三度竜都が埋まるんじゃないかという大雪には、どうも竜都の対雪設備を稼働する事で対処するらしく、私にはお城の半地下みたいな部屋に移動して、そこにあった施設へと魔力を注ぎ込む指示があった。
さてまぁ見事に事態は悪化した訳だが、そうなると正攻法で除雪をしなければならないという事になる。が、それならそれで、もうちょっとこの雪がマシじゃないだろうか、という疑問が出てくる。
「そうなると、その有るべきヒントと掴むべき情報が、一体どこにあるのかという話になる訳ですが」
今の所「第一候補」のあちこちへの問いかけにそれっぽい答えは返ってこず、この吹雪で変化したものはあまりない。カバーさん達が
吹雪そのものの傾向も調べられ、北に近い程一度に降る量が増え、東に近い程除雪が大変だという事だった。まぁここまで調べて分かった事を考えると何も疑問は無いな。
じゃあ何だ、という話なんだが、あと残るのは氷の大地ぐらいじゃないか? でも、そっちも特に変わった事は無かった筈だ。掲示板も覗いてみたが、かなりの数の雪像型モンスターがいて数に押される、イベントでテイムした雪像を連れている場合は間違われないように注意、とかいう話ぐらいしか出てなかったと思う。
「……分かりませんね。大人しく普通に除雪するしかない、そして雪の原因は
うん。やっぱり、
第四陣どころか第三陣もまだ
どれだけ経験者が語った所で、イベントは問答無用で
「で。そういう奴に限って、やらかす訳ですよね」
更に言えば、そういう奴を扱うのが大得意な、シナリオブレイクを目論む奴が暗躍している可能性だってある。だって、動いてない訳が無いんだから。今どこでどうやって、っていうのはさっぱり分からないけど。
ま、それでも検証班の本気を舐めちゃいけないよね。
『イベント中に発生する降雪の強度について』
例によってログイン前に確認した『アナンシの壺』のページのトップに、どこかで見た様な感じの赤い大文字に下線までがついた大見出しが載ったのは、イベント開始から3日目の夜だった。早いんだよなぁ。
ともかく確認してみたその内容によれば、あの吹雪はどうやら「氷の大地で雪像型モンスターを倒した数」によって増えていき、「北国の大地に積もっている雪の量」を係数としていたようだ。つまり、分厚く雪が積もっている場所ほどたくさん雪が降るって事だな。
なるほど、確かに第三陣はまだ氷の大地に踏み入れられる程鍛えられていない。人数比的にも丁度いいだろう。問題があるとすれば、除雪をするという行動に、個人的なメリットが思い当たらないという事だが……。
「なるほどそういう事か」
先月イベントが終わってから雪像を作ると、結構質の良い捧げものとして扱われていた。そして「支援」の一環なのか、このイベント中はそこから一歩進み、雪像を捧げると、その評価に応じた時間だけ、評価に応じたランクの神様の眷属が行動を共にしてくれるそうなのだ。
何が出来るかは雪像を捧げた神の得手不得手、もとい権能に寄るし、どんな眷属が出てくるかは雪像を捧げて見なければ分からない。そして追加で雪像を捧げると、新しく眷属を願うか、今いる眷属の同行時間を延長するかが選べるとの事。
ちなみに「氷晶の核」を埋め込み【絆】でテイムした雪像は“雪衣の神々”の眷属として扱われるらしく、除雪した雪を持っていくと、現在の本人(?)のレベルに応じた雪像を作ってくれるらしい。そして【契約】でテイムした場合は、周囲から雪をかき集めてくれるんだそうだ。
「これは是非とも気合を入れた雪像を捧げないと」
ナヴィティリアさんとの再会チャンス(個人で建てた神殿で会うのは除く)じゃないか! 気合も入ろうってもんだよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます