第83話 7枚目:イベント準備

 まぁ、やる事としては変わらない。素材を集める為には野良ダンジョンに潜らなければならないんだし、出来るだけたくさんの野良ダンジョンに潜りたい以上、海神様が野良ダンジョンをかき集めてくれているというのは渡りに船だ。

 そんな訳で人魚族特有の魔法……スキルとして入った名前は【古式歌唱魔法】だった。おい何かまた出て来たぞー? ……を勉強させてもらいつつ、素材をどさどさと売っては宝石を買ってもぐもぐ。

 魔力、じゃなくてマナの流れとかいうのがある場所では定期的に宝石が採れるらしい。だから掘りつくすことは無いそうだ。ただし前述の理由通りその希少度は現実より高い。


「お嬢ー」

『なーにエルル』

「ここの王にも託宣が来てたみたいで、追加依頼来たぞ」

『わぁい』


 という生活をしていると、エルルが呼び出されていった。で、戻ってきたらこれだ。内容? 予想通り海神様の神殿に奉納してほしいってさ。神殿強化のイベント報酬とは別についてくるから、まぁ目的とも違わないし受けてもいいだろう。

 それに、こちらも予想通り「第一候補」から神殿建造のススメみたいなのが届いていた。というか、掲示板に発表されていた。その中にちゃんと“神秘にして福音”の神ことボックス様も入っていたので異論はない。

 ……そして、おそらくいずれかの神に直接聞いた可能性が高い情報があった。こーれは頑張らないとなー。


「で? 俺は結局どう動けばいいんだ?」

『いつも通りで。素材に関しては私に渡すか、神殿に持っていくかかな。その辺はエルルが手に入れたものだし好きにしたらいいと思うよ』

「そうか」


 生産スキルも生産道具も一通りそろっている。いやーインベントリって便利だねほんと。いや全く。マジで。ここで生産系のスキル経験値を稼いでしまおう。……ドラゴンが生産? とか言うな。

 そもそも【人化】しないと道具が使えない気もするが……そこは、【浮遊】と【緻密動作】で何とかしたいところだ。【浮遊】のレベルが上がると、自分以外の物も操作できるみたいだから、上手く行く……と、いいな。

 …………先にある程度練習しておこう。


「で、どうだった?」

『んーまー……不可能ではない?』


 結論として、出来なくは一応なかった。生産作業。ただ、かなり時間かかるしあんまり上手くいかないけど。……ドラゴンがちまちましてんじゃねぇってか。生産ぐらい許してほしいんだけど。竜合金とか素敵な物があるんだし。

 いいんだ。【緻密動作】の経験値が美味しいから。ついでに何か【魔力掌握】も上がってるからいいんだ。


「……普通はその辺周りに任せる筈なんだけどなぁ……。つーか流石にその年から道具使うのはねーんだけど……」


 エルルは何かすごいもにょってる感じの顔で、集中して生産作業をしている私を見ていたが、しょうがないじゃないか。イベント(啓示)なんだから。それにほら、頑張ってたらちょっとずつ作れる精度と速さは上がっていくんだし。

 これがあるからゲームはいいよね。スキルの数字として目に見えて自分の力量が上がっていくから。で、実際の動きに即座にそれが反映されるのもいい。モチベーションが上がる。


「ふつーは触るにしても【人化】してからだからな?」

『その【人化】までにどれだけかかるのさ』

「…………まぁそりゃそうなんだが」


 納得したんだったら、そのだまし絵を見てるような顔はやめようかエルル。




749.第一候補

そう言えば、検証班からも要請があったぞ


750.第四候補

検証班の方から?

めずら……しくはないか。ないな

で、なんて?


751.第二候補

まぁ、珍しくは無いじゃろう


752.第五候補

よくある事よね~


753.第一候補

うむ

あちらはあちらで情報を集めているようでな

住民の神官から「この神の神殿は建ててくれるな」と言われたのだそうだ


754.第一候補

こちらに一覧を置いておく故、留意してもらえると助かる

*アドレス添付*


755.第三候補

……ざっと見る限り軒並み生贄や世界滅亡関係のエピソードがある邪神なのですが?

妥当では?


756.第二候補

あー、うむ

ほぼ一瞬でそれが読み解ける「第三候補」も大概じゃが

妥当じゃろう


757.第五候補

ほんと早かったわよね~

でも、妥当じゃないかしら~?


758.第四候補

「第三候補」は異世界の神の研究者か何か?

とりあえず、りょーかい。気を付けるー



『誰が研究者か』


 ファンタジー好きの嗜みですが何か?

 というか誰だよ、フリアドの神の中にク○ゥルフ神話関係の神を入れたの。隠しステータスにガチでSAN値があるのか。

 SAN値って基本的に回復しないじゃないか。神話生物との遭遇におびえるファンタジーとか嫌だぞ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る