第27話 3枚目:緊急メンテナンス

 さて、イベント2日目(土曜日)3回目のログイン……と行きたかったところを、緊急メンテとやらが入ってお預けとなった。覗いてみた掲示板は大変な炎上模様だった。私も書き込んだけど。

 と言っても元々夕方だったし、1時間のログイン制限が明けてもしばらくログインは出来なかったのは内緒だ。運営さん、詫び石おくれ! 課金要素はまだ出てないけど!

 で、何の不具合があったのかといつもの夕方から夜の用事が終わってから公式HPを見てみると……。


「一部報酬の引き換えに回数制限を追加?」


 ……なーんか嫌な予感が。

 とか思っている間にメンテナンス終了のお知らせが来る。土曜日もあと4時間ぐらい、引っ掛かりはあるけど、ログインしないという選択肢は無い。

 という訳で後は寝るだけの格好となり、ログインした。

 ら。


「コツ……(やっぱりか)」


 ログインしてスキル上げの為バラバラ白骨死体になりつつお知らせを確認すると、そこには半ば予想通り、嫌な予感が大的中した内容が書いてあった。



『緊急メンテナンス終了のお知らせ


 『イベント:迷宮に齎される神意』におけるポイント引き換え報酬の内、以下の報酬の引き換え可能回数を変更いたしました。

 ・新たな使徒の器作成権 無制限→2回

 ・白紙のスキル書 10回→30回

 ・各種生産キット初~上級 各1回→各3回


 また、以下のポイント引き換え報酬を追加いたしました。

 ・使徒成長解放権 +種族Lv10 無制限

 ・縁石のアクセサリ(任意の形) 無制限


 またイベントを中断する形での緊急メンテナンスとなったお詫びとして

 『獲得経験値上昇ポーション×10』を配布いたします』



「コツ(ナヴィティリアさん)」

『はい。何でしょうか、ルミル様』

「コツ、コツコツ?(ルチルが稼いだポイントの内、恒常存在化を入手してからのポイントは本人に解放できますか?)」

『可能です。が、既に使徒ルチューリルが得たポイントにより、新たな使徒の器作成権を交換済みです』

「………………、コ?(はい?)」


 はい?????


『交換済みです』

「コッ!?(はい!?)」

『また、使徒ルナシールが駆け込みで新たな使徒の器作成権を交換しております。ただし、使徒ルディルの交換はタッチの差で間に合わなかったようです』

「コッツッ!!??(はいぃぃ!!??)」


 ちょっと待て、待って!?

 ……一応確認しておくが、使徒NPCの交換枠というのは、大本のプレイヤー及びそのプレイヤーが作った使徒NPC同士で共有だ。つまり、既にルディル、ルチルと2回の作成権を手に入れた私には、既に作成権を交換する権利は無くなっている筈、なのだが。


「……コツ、コ、コツッ?(それってその、アリ、なので?)」


 思わずそう聞いた。というか、よく修正されてないな。内心ビクビクである。

 ……が。今日も恐らく涼やかな、半透明の画面に妖精のような羽が付いた姿をしているのだろう神の使いは、少しの間沈黙して。


運営大神様からの注意勧告情報はありません。また、一度作成された魂の消去はこの世界の倫理を考える上で、実行されることはまずありません。あったとしても、この作成権は使徒ルチューリル及び使徒ルナシールが得た正当な権利である事を眷属である私、ナヴィティリアが保証します』


 ……まっとうな事言ってるように聞こえるけど、付き合いの長い私には分かる。

 意訳は「緊急メンテでチェックする時に見落とした方が悪いんだからやっちゃって問題なし。作ってから消される事もまぁまず無いから大丈夫。文句? 自分のミスが原因なんだから言えない言えない!」だ。テヘペロ☆ ばりに悪戯っ子な笑顔で、どうぞ。

 …………うーん、この!


「コツコツコツ(相変わらずナヴィティリアさん最高ですわー)」

『ありがとうございます。

 それでは、権利2回分の使徒作成の儀を執り行わせて頂きます。

 よろしくお願い致します』

「コツ(よろしくお願いします)」

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