第7章 第23話
「VersuchSpielerのリアルについては、さっぱり分かりません。」
『まぁ、さすがに1週間じゃ無理だよな。』
「いえ、おそらく時間をかけても分かりそうにありません。」
HoneySwordがきっぱりと言い放つ。
「VersuchSpielerという名前は、リアル側に全く露出していないですね。
調べてみようにも、とっかかりすら見つからない状態です。」
「ギルドにも未所属。ランキングにも無縁で戦績は平凡。
ダンス内での動きもさらってみましたが、そもそも動き始めたのも、ここ1ヶ月くらいのようです。」
『1ヶ月か…俺たちの1ヶ月前って何してた頃だ?』
この1ヶ月を記憶の中で遡りながら、指折り数えてみる。
『…第6エリアでバトロワやってた頃か?』
「そうねぇ。厳密にちょうど30日前という訳では無いでしょうし、その辺でしょうね。」
「私も色々と考えたのですが、仮にVersuchSpielerが内臓コントローラに関係のある人物で、かつフィーアトさんに埋め込まれている事もしっている人物だとした場合。
おそらく、これまで変人としてしか知られていなかったフィーアトさんの名前が、強いプレイヤーかもしれないという噂になり始めたのが気になって、様子を見に来たのではないでしょうか。」
『さらっと人の事を変人って言ってくれるなよ。』
「その戦績は変人以外の何者でも無い。」
ErsterSpielerの呼び捨て事件もあってか、いつも以上にHoneySwordの言葉がきつい。
「あたしは君たちの事、全く知らなかった時期だなぁ。」
「それが今や結婚だなんて、スピード婚ですねー!」
「全くだ。人生何があるか分からないなぁ!」
ErsterSpielerとドリッピーがきゃっきゃと盛り上がっているが、無視してHoneySwordに続きを促す。
「エアスタ様。VersuchSpielerの活動は、おそらく第7エリアから始まってますが、杉田さんがプレイされてた頃に第7エリアまで進んでいましたか?」
「あ、あぁ。あの頃はあたしがダンスに入り浸りだったから、正美さんのプレイ時間が短い中でかなり頑張って着いてきてくれてて、当時の最新エリアだった第7エリアまで進んでいた。それは間違いない。」
「そうですか。エアスタ様の友達リストの事から考えても、やはりコントローラは当時の杉田さんの物を思っていいじゃないでしょうか。
エアスタ様の他に、VersuchSpielerを友達リストに残していそうなプレイヤーはいませんか?」
「いな…くは無いな。ギルドの古株に数人。リストに残してあるかは分からないが。」
「では、その方達にも協力をお願いして、可能であればメッセージを送ってもらえないでしょうか。たまたま名前を見かけたとかなんとか、適当な理由で。
エアスタ様からのメッセージには間違いなく無反応でしょうけれど、他のプレイヤーからのメッセージに対する反応を知りたいです。
エアスタ様との繋がりはあるので、警戒される可能性もありますけれど。」
「分かった。頼んでみるよ。」
「私はもう少しこのまま調査を続けてみます。今のやり方ではリアルの特定は難しいですが、別のアプローチは出来そうですので。」
『ありがとう。助かるよ。』
HoneySwordを声を掛けてみるものの
「別にあなたの為ではありませんから。」
フンッと顔をそむけるHoneySword。
「おっ、ニードさん、それツンデレ?」
ドリッピーがニヤニヤと突っ込んでいるが
「リッピー。どうみてもこれはツンデレじゃないわ。ただのツンよ。」
Seregranceの冷静な突っ込み。
「あははは!こんな状況なんだけど楽しいな!」
一連のやり取りを見て楽しそうなErsterSpieler。
「情報集めるのにも少し時間もかかりそうだしさ。
今日はもう遅いからアレだけど、明日は気分転換でみんなでダンジョンでも行かないかい。」
「おー、行きたい行きたい!夕方からなら空いてまーす!」
「私も夕食が終わってからなら。」
『俺たちは時間はどうとでもなるよな。』
Seregranceと顔を見合わせて頷きあう。
「じゃぁ、19時に集合して一狩り行こうか!」
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