7:「帰還」
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アルフレッド視点
「おいおい嘘だろ……」
草陰に隠れるアルフレッドは、レイの戦いぶりを見てあぜんとした。
「呪術師だってのに、まさかあそこまで戦えるなんてな」
呪いによって相手の動きを封じつつ、自分にくる反動に耐えながら一方的にモンスターを狩っている。
しかも、一切苦しそうな表情をしていないときた。
「もしかして、スキルを持ってるのか?」
しかし、アルフレッドには思い当たる節はない。
それに、スキルを習得するとどんなスキルなのかまでがわかるというが、仮にスキル持ちだとしたら、それをこの少ない時間で戦闘に生かすまでに成長していることになる。
「というか、スキルがないとあんな動きはできないだろ」
迫りくる狼モンスターの攻撃を、跳び上がって回避。
さらに空中で身体をひねり、追うようにのばされた手を剣で切断。
最後は落下の勢いでそのまま剣を身体に叩き込む。
普通ならば、それは剣系統の冒険職のみが――そのなかでも数少ないもののみがする動きだ。
それをやってのけるという事は、やはりそうなんだろう。
「となるとだな……」
アルフレッドは、またレイの評価を改めなければならないと悩む。
彼が最初、レイの冒険職が呪術師だって知った時は、かなり焦っていたこともある。
それで、それまで考えてたことは全部捨てて、ギルドの受付を任せようかと思っていたくらいだ。
でも、レイはもう大人だ。
自分の知らないところで、着実に成長していたのだ。
「こうやってついて行くのも、そろそろやめないとな」
「――今度はあっちにいくか!」
少し遠くからずっと見守っていたアルフレッドだったが、もう追う事はしない。
声がした方は向かず、レイにばれないようにゆっくりと立ち上がる。
「約束は守る。だから、ちょっとだけ待っててくれよ」
アルフレッドはそれだけ言い残し、一人街の方へと歩き出した。
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あれから街に帰るまで、モンスターに出会う事はなかった。
途中、何人かの冒険者とすれちがったけど、いずれも街から出てくる人ばかり。
「あのモンスター、何をみてたんだろうなあ」
そういえば、力のあるモンスターは自分より格上には手を出さないと聞いた事がある。
それなりの知能があるという事なのだろう。
もっとも、さっき戦ったみみでか兎は違うだろうけど。
「気のせいか、怯えてた気もするし」
わざわざ俺という
思い出すと、不思議でならない。
「あ……まさか父さん?」
今も俺に付いて来ているとしたら、十分あり得る。
父さんの強さなら、並みのモンスターは怯えて逃げ去ってしまうだろう。
なにせ、剣聖だ。
剣を極めたもののみが至るという、極地に立つもの。
「ってことは、そんな強いモンスターだったのか……これ」
俺は、手に持つモンスターの首へ目を向ける。
頭だけで俺の身長の半分くらいありそうだ。
目はまだ充血しており、俺は口からはみ出た牙を掴んでいる。
そんな俺を、道行く人たちは驚いた様子で見ていく。
他の冒険者もこれぐらいすると思うけどな……。
「まあ、ギルドハウスにつけばわかるでしょ」
そして父さんに見せて、認めてもらうのだ。
冒険者になる事を!
「――ただいま戻りました!」
俺は、大きな獲物を手に、ギルドハウスの扉を勢い良く開け放った。
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