第11話 ツインテール
「見てみて〜」
とある日、A子がなにやら見せたいものがあるらしく、B子を呼びます。
「今度は何よ?」
B子はいつものように、仕方ないといった感じで、振り返ります。
「ツインテール〜」
そこには長い髪を二つに分けて垂らす、A子の姿がいた。
茶色がかった髪なので、少しだけ地味な印象を受けますが、これはこれで中々いいものです。
「それで?」
しかしB子にはA子の可愛さが伝わらなかったようです。
「それだけだよ?」
「え?」
「ただツインテールにしてみただけ」
…………A子さん、あなたツインテールにしてみただけでどうやってこの話を盛り上げようとしたんですか。
思わず全力でツッコみそうになりました。
「なんで急に……」
それもそうです。
A子はあまりオシャレに敏感といった性格ではないように感じられるのに、一体どうして急に髪型を変えるような事をしたのでしょうか?
「イメチェン?」
そう言ってA子は首を傾げます。
自分でも髪型を変えた意味がないのでしょうか、本当にA子は相変わらずの様子です。
「どう?似合ってる?」
しかしA子はかかさずB子に訪ねます。
「……まぁ、似合ってるんじゃない。可愛いと思うわよ」
B子は軽くあしらうように感想を言ってすぐにA子から興味をそらします。
「…………そう」
しかしB子が目を離した瞬間、A子がツインテールにした髪を口元にあてるようにして顔を隠しました。
ちょっとB子さん!今、A子さんがあなたに可愛いと言われてデレてますよ!
なんて必死の叫びも届かず、B子はA子の方を向くことがありませんでした。
A子もA子で、すぐに表情を戻し、いつものように呑気なA子に戻ってしまいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます