二、村民と鯨
その村の浜辺には、ときどき巨大な
恐ろしがって近付かないでいると、数日後にそれは村民が跳び上がるほどの爆発音を立てて破裂した。現場は五臓六腑が散らばって悪臭が漂い、地獄絵図そのものだった。だがそれも嵐と鳥と海がさらっていった。それらの出来事によって、巨大な化け物と、それをもたらし片付けた自然への畏敬と恐怖はさらに深まった。
そこから時代を経て、村の思慮深い者たちが、後世の村民の恐怖を
それからは、鯨が打ち上がると村民協働で爆発する前に即座に解体し、肉も筋も、およそ食せるところはすべてなくなるまで数日間にわたって食し、穫れた米からつくった酒をあおって踊り、神への感謝を表明した。その慣習が始まって二度目には、頭蓋骨を祀ろうという話になった。
三度目以降、鯨が打ち上げられると村民はそれを食して祝祭をし、頭蓋骨は社に運ばれ、それまで納められていた先代の頭蓋骨と入れ替えられた。不要になった頭蓋骨は
二十五代目の頭蓋骨が祀られていたころ、村の中の利発な若者、
二平はこの発見に驚喜し、跳ね上がって親しい村人たちに報告しに行った。村の長もそれを耳にし、二平を呼んで直接説明をさせた。その晩、二平は村民を前に世紀の大発見を雄弁に語り、多くの者の感心と敬服を勝ち取った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます