みかんを見つけた

ホールに着くと、受付に並んでいる人が数人いた。


 よかった。座席を探す時間とかを考慮しても、大丈夫だ。


 僕はポケットから招待状を出した。


 二枚あるそういえば。


 さて……どっちを使うか……。


 よし、二枚とも使おう。


 受付が僕の番になったとき、僕は二枚の招待券を出した。


 あれ? という顔をされたが、プログラムと座席券をくれて、中に入ることができた。


 ちょうどはじめの言葉的なのが終わった所みたいで、まだ会場が明るいままで、出入りも制限されていない。


 僕は特に目立たずに、自分の席を見つけて座ることができた。


 プログラムを開いてみると、一つ目の公演までも、五分くらいある。


 トイレにでも行っておこう。


 僕は席を立って、後ろの出口から外に出た。




 トイレから帰る途中、ダンスのユニホームを着た集団が少し離れたところにたくさんいるのに気づいた。


 ちょうど舞台裏や楽屋へ行く通路に繋がる扉の前のようだ。


 みかんたちの出番は三番目だから、みかんたちもいるかもしれない。


 探してみると……みかんたちを発見。


 ……衣装が……すごい寒そう。寒そうというのは、スカートがとても短くて、おへそも出ているからだ。


 よくあんなに露出度高いの学校許可したな。


 僕はどうしても太ももが好きなので、なんとなく立ち止まって眺めていた。



 それと、他の学校もとても可愛い格好をしている。


 みかんたちが着ているのはオレンジだが、隣に固まっている学校は、ピンク。さらにその隣は、水色だ。


 とてもカラフルだ。


 みかんたちはどうしてオレンジにしたんだろうか。やっぱりミカンがオレンジだからかな。


 そんなどうでもいい推測をしていると、水色の人がひとり、オレンジのみかんたちの集団へと向かっていったのが見えた。


 なんだろう。話しかけに行くのかな。社交的だな。


 僕は水色の人に注目する。


 ショートカットでとても姿勢がいい。胸は少し小さいのかな……うん、そういうところ注目するのやめよう。


 賢そうな顔をしている。これが、水色の学校のキャプテンというか部長というか……なのだろうか。


 その人は迷わずにみかんのところへ行った。もともとみかんが部長だって知っているのか。


 ……あ。


 その人がみかんに話しかけたとき、僕はわかった。なぜなら僕は二人が話しているところを昔たくさん見たからだ。


 あの人。全体的に大人っぽくなってるけど、そうだよ。




 小学校の時、ダンスクラブでみかんと一緒だった、牧本ここなだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る