第12話 幕間 『能力の系統』
「ところで、ミギト・・・。ちょっとオレに付き合ってくれ。」
そう言ってナオト兄さんは僕を連れて、行き先も告げずに、歩いていく。
「あっ!兄さん、待ってよー。」
ナオト兄さんは、釣り道具を持って来て、僕にもそれを渡して来た。
「ミギト!釣りに行くぞ!」
「え!?釣り?」
僕はこの時、正直のんびり釣りなんかしてる場合じゃないんだけどなぁと心のなかで思っていた。
和流石建設のヤツラの動向を探って・・・みんなのカタキを討ちたい・・・そう、僕は復讐を考えていたのだった。
それなのに、釣りだなんて、そんな悠長な場合じゃないんだよな・・・。
だけど、大恩あるナオト兄さんの言うことも無碍にはできないというか・・・。
僕はしぶしぶナオト兄さんに付いていったのだった。
そうして、ナオト兄さんに僕は郊外の山奥に連れられてきた。
ナオト兄さんは、山奥の渓流付近に着いた時、僕に振り返ってこう言った。
「さぁ、始めるとするか。」
一瞬、、、ナオト兄さんの身体が光ったかのように見えた瞬間、周りの生命反応が一切、感知できなくなった。
僕は、戸惑ってしまった・・・が、ナオト兄さんの次の言葉にもっとびっくりした。
「結界を張った。このあたり半径300mってところだ。
今から特訓をする。ミギト、超A・I.はどいつもこいつも信用できないんだ。だからここまで連れてきたというわけだ。」
「え?ナオト兄さん、シルフ系は大丈夫だって言ったじゃないか!?」
「そうだな、セイラに関してはおそらくは大丈夫だ、シルフ系に得になるからな。もし、セイラの秘密がバレたとしてもだ。」
「セイラのIQが本当はもっと高いことがバレてもということですか?」
「そうだな。シルフ系は宇宙工学に力を割いている。だから、賢いセイラを自分たちの影響下、勢力から他に渡すわけがないからだ。」
「では、この特訓については、その類ではないと?」
ナオト兄さんは、黙って頷き、こう言った。
「世の中にランキング鑑定組織、アカシックレコーズという組織が存在している。
その者たちのおかげで、全世界に全ての情報が明るみに出てきているのだが、オレやおまえのような能力のことを、A・B・C能力、またはビヨンド能力というのだが・・・、
この能力使いについての情報は全世界にまだ知らされていないんだ。完全に水面下の世界でしかわかっていない。
そして、超A・I.たちは、この能力者たちが自分たちの存在を脅かすと見ている。なので、能力者の情報はすべての超A・I.たちが機密事項として情報交換をしているのだ。
もちろん、このオレの能力も知られている・・・。」
「そんな事情があったなんて・・・。」
「だから、やつら超人工知能の知るべくもない山奥に来て結界を張り、こうやって話をしているということだ。」
「ナオト兄さん!この能力、ビヨンド能力って言うんだね・・・もっと教えてほしい!お願いします!」
「もちろんだ。そのつもりだから、こんなところまで来たってわけだ。ヤツラ超A・I.ちがオレたちの居場所はわかったとしても、ここで何を話し、何をしているかまではわからないだろう。」
その後、まず、ナオト兄さんはこのA・B・C能力・ビヨンド能力について詳しく説明してくれた。
ナオト兄さんのビヨンド能力は『鬣なびかせてIikeライオン』というらしい。ライオンマスクとしてすでにレスラーとして活躍していたナオト兄さんがその熱い心で、
その能力開花させたときに、すぐにスキル名が強く浮かんだという・・・やはり、スキルは精神に由来する・・・。
まず、チャクラという生物固有のエネルギーがある。これは生きとし生けるもの全ての生物が持っており、ただ、それは恐ろしく小さな素粒子レベルのものらしい。
詳しくは僕の理解力では、ちんぷんかんぷんだったが、要するに、何らかのエネルギーであり、いわゆる生命の源だそうだ。
で、この生命力=チャクラなんだけど、7種類あって(正確にはもう1種類あり合計8つ)そのどれもが、違うチカラを秘めているということだ。
ビヨンド能力には7つ+1つの能力系統があり、様々な特殊能力が存在するが、生命エネルギーを使えない平凡人にはその能力を感じることさえできないという。
このチャクラのうち、どのチャクラの能力を主として使うかによって、ビヨンド使いは区別される。
ファースト、セカンド、サード、フォース、フィフス、シクスス、セブンス、そしてゼロ。
また、複合して使える一段上の能力者もいるが、それは主系統の能力をベースとして、ファーストプラス1や、サードプラス2と言ったように呼ばれる。
セブンス能力者
第七チャクラに対応する色とオーラ:紫色
身体:脳 神経系
性質:神秘、創造性、高貴、信仰、探求、目的意識、カリスマ
第七チャクラとは?
クラウンチャクラ、サハスラーラ、などとも呼ばれ、人間の身体にある七つのチャクラの一つで、チャクラの位置には眉間、頭頂、頭の上など、いくつかの説がある。
一般的に位置を眉間とされることが多い。
第七チャクラは7つのチャクラの中でエネルギーの到達地点であり、眉間に位置し、魂の座とも呼ばれ、人間の神性にかかわり、霊的な最終覚醒に深く関わる中枢である。
ファースト能力者
第一チャクラに対応する色とオーラ:赤
身体:経絡、血液、神経系
性質:怒り、決断、忍耐、衝動、行動、熱意、力、性欲
第一チャクラとは?
ルートチャクラ、ベースチャクラなどとも呼ばれ、人間の身体にある七つのチャクラ中で基底部、尾てい骨にあると言われているチャクラ。
占星術的には土星と火星の影響との結びつきが強く、赤い色のオーラ対応する性質の源になっている。
第一チャクラは7つのチャクラの中で一番下(基底部)に位置し、人間の体内のエネルギーのはじまりの役割を持つ霊的な中枢である。
セカンド能力者
第二チャクラに対応する色とオーラ:オレンジ
身体:自律神経、神経系
性質:想い、活力、健康、友愛、創造性、魅力、自信
第二チャクラとは?
スヴァディシュターナ、セイクラルチャクラなどとも呼ばれ、人間の身体にある七つのチャクラ中で腹部にあると言われているチャクラ。
占星術的には木星と太陽の影響との結びつきが強く、オレンジ色のオーラ対応する性質の源になっている。
第二チャクラは7つのチャクラの中で下から二番目(腹部)に位置し、人間の体内のエネルギーの起動と分配の役割を持つ霊的な中枢である。
サード能力者
第三チャクラに対応する色とオーラ:黄色
身体:関節、皮膚、腎臓、血液
性質:感情、幸福、明朗快活、好奇心、自信、天真爛漫、偽り
第三チャクラとは?
ソーラープレクサスチャクラ、マニプーラチャクラなどとも呼ばれ、人間の身体にある七つのチャクラ中で鳩尾にあると言われているチャクラ。
占星術的には火星の影響との結びつきが強く、黄色のオーラ対応する性質の源になっている。
第三チャクラは7つのチャクラの中で下から三番目に位置し、人間の感情のエネルギーに深く関わる霊的な中枢である。
フォース能力者
第四チャクラに対応する色とオーラ:緑色
身体:心臓、免疫、循環器
性質:愛、癒し、友愛、自然、大器晩成、苦労性、気遣い
第四チャクラとは?
ハートチャクラ、アナハタチャクラなどとも呼ばれ、人間の身体にある七つのチャクラ中で胸の中央にあると言われているチャクラ。
占星術的には金星の影響との結びつきが強く、緑色のオーラ対応する性質の源になっている。
第四チャクラは7つのチャクラの中で下から四番目の胸のあたりに位置し、人間の愛情のエネルギーに深く関わる霊的な中枢である。
フィフス能力者
第五チャクラに対応する色とオーラ:青色
身体:甲状腺、喉、呼吸器
性質:誠実、理想主義、意志、理知、内向、センス、学問
第五チャクラとは?
スロートチャクラ、ヴィシュッダチャクラなどとも呼ばれ、人間の身体にある七つのチャクラ中で喉にあると言われているチャクラ。
占星術的には水星の影響との結びつきが強く、青のオーラ対応する性質の源になっている。
第五チャクラは7つのチャクラの中で下から五番目の喉のあたりに位置し、人間の意志力や理性、思考のエネルギーに深く関わる霊的な中枢である。
シクスス能力者
第六チャクラに対応する色とオーラ:紺色
身体:松果体、感覚器官
性質:誠実、思考的、霊力、直感、二元性、極端、知性、奉仕
第六チャクラとは?
サードアイ、アジナーチャクラ、そして第三の目、などとも呼ばれ、人間の身体にある七つのチャクラ中で額にあると言われているチャクラ。
占星術的には水星や天王星の影響との結びつきが強く、紺のオーラ対応する性質の源になっている。
第六チャクラは7つのチャクラの中で下から六番目の眉間のあたりに位置し、人間の思考や霊力に深く関わる霊的な中枢である。
ゼロ能力者
第0チャクラに対応する色とオーラ:黒
身体:経絡、血液、神経系 ただしこれは自身のチャクラではなく地球のチャクラ。
第0チャクラとは人間の足の裏にあるチャクラなのだ。
人間の身体にある七つのチャクラ中で基底部、尾てい骨にある第一チャクラよりもさらに低い位置にあるため、便宜上、第0チャクラと呼ばれることが多いチャクラ。
センターラインの7つのチャクラと異なり占星術的対応する星はありませんが、より物質的なエネルギーや低位のエネルギーを取り扱うチャクラであるため、つまりは地球に対応するチャクラとなる。
第0チャクラは足の裏に位置し、人間の体内のエネルギーの循環と排泄の役割を持つ霊的な中枢である。
各ビヨンド能力にはそれぞれ、特殊な名前が使われることが多い。
僕の能力は、この世界のあらゆるモノに対して演技力でオリジナルそのものに、成り切ってしまうという能力で、その変幻自在な擬態能力はずば抜けているらしい。
そして、このスキル能力を得たときに、真っ先に浮かんだ名前のイメージがあった。それが『トビウオ二ギタイ『という名前だった。
ナオト兄さんいわく、スキル自体が意思を持っているかのように主人に訴えてくるものらしい。
トビウオ・・・飛び魚のように、海を空を自由に飛び、そして泳ぐ・・・それに擬態する力・・・まさにぴったりのような気がした。
で、僕のこの能力なんだけど、どの系統に属するかというと・・・
この能力系統をまあ測る方法があり、その儀式を色見式という。
それは、空のコップをまず用意し、両手を囲むようにし、太陽からの光を手にかざし、チャクラを込める。
すると、太陽の光がチャクラに呼応し反射する。そして、コップ表面を乱反射し、漏れ出る光の色がその系統の色を現すという。
で、僕がやってみたところ、黒い光が出た・・・。
さらにその跡、光の色が変化し、虹色に輝いた・・・つまり七色・・・。
僕はなんと、ゼロ能力者なんだって。ナオト兄さんの感知によると、他人に成り切るという能力が、まず他人のチャクラデータを地球から得ているらしい。
それをベースとして、全ての身体能力を引き出すため、ファーストからセブンスまで全てを操っているとの見立てだ。
「ナオト兄さん、つまり僕の能力って、ゼロ能力者ってことで、そこにさらに7つプラスされるってことですか?」
「そうだ。つまり、おまえの能力は、最強かつ最凶。ゼロプラスセブンだ・・・。」
「そ、そんな大それた能力だなんて・・・。ヒョウリのチャクラを引き継いだからなんだね。」
「そうだな・・・。そして、おそらくはキャシー先生のチャクラも引き継いでいるだろう。」
「キャサリン先生ってビヨンド能力者だったんですか!?」
「いや、彼女は能力には目覚めていなかっただろう。だが、だが、キャサリン先生は最後にヒョウリに未来を託したんだと思う・・・。」
「そう・・・おそらくは無意識だっただろうな。キャサリン先生は・・・本当に心の底から・・・愛に溢れた方だった・・・。」
そう言ったナオト兄さんの眼には涙が浮かんでいた。
ナオト兄さんもキャシー先生に、拾ってもらえなければ、死んでいたはずの子どもだった・・・。
キャシー先生のことを、本当に母親のように慕っていたと思う。
まぁ、それは僕やヒョウリ、ガストーンも、あのコールカスだって。孤児院のみんなはすべてそうだ。
こうして、僕は山奥でナオト兄さんと、ビヨンド能力について教わり、その特訓をしたのだった。
心の奥底に、復讐の炎をたぎらせながら・・・。
僕が山奥にこもって一ヶ月後・・・修行につぐ修行を重ねていた間、孤児院消失事件について世間からは完全に忘れられてしまった。
警察はただの事故として処理してしまった・・・。警察では調べても何の証拠も出なかったそうだ・・・。
孤児院跡地には、和流石建設の手で、華やかなショッピングセンタービル建設予定地となり、大規模工事が始まっていた。
だが、この間に、闇の世界では、鑑定組織アカシックレコーズが、この事件の背後関係など調査に入っていたということを僕はまったく知らなかったのだった。
~続く~
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