第366話 強い魔王に、スキルの無いおっさんは無力だ・・・・

そう言ってる間にナターリヤが駆けつけてきて。

「ウェンディ、同時に切りかかるよ!」

と言ってウェンディと2人で切りかかったんだけど・・・・

呆気なく2人共吹っ飛ばされちゃったよ。

そしてどんどん破壊されていく書斎。

どうすんだよこれ・・・・


おっさんそう思ったんだけど、今度こそおっさんに切りかかってくる魔王。

スキルがないからどうにもならん・・・・

おっさんあっという間に壁際まで追い詰められ、魔王が

「貴様のそのふざけた服、恐ろしく防御力が高いな!我の攻撃でもビクともせぬとは誉めてやろう!だが、その首はどうかな?」

そう言っておっさんの首に剣をふるう魔王。

何とかカトリーンが防いでくれたけど、やっぱりカトリーンも吹っ飛んで。

いつの間にか勇者君とライナス君がやってきたんだけど、やっぱりふっ飛ばされて。

今度こそ魔王が

「チェックメイトだ!」

とか言いおっさんの首に剣をふるう。

スキルのないおっさんに防ぐすべもなく、気が付けばおっさんの頭はなんかぐるぐる回ってね。

視界の片隅に自分の身体が、首の所から血を噴き出してるのを見たんだけど・・・・

「ハハハ!流石に貴様は死んだだろう!」

という魔王の声が聞こえた気がしたけど。

「主よ!嘘じゃ!」

カトリーンの声か?

ここで意識がなくなっちゃったよ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


だが、魔王はこのひと振りが自身の運命を決定付ける事になったとは気が付いていなかった。

「ハハハハハハ!お前らの主は死んだ!奇跡は起こらぬ!」

そう言って魔王はおっさんが手にしていたプレートを取り上げ

「何かしようとしていたらしいが、フン!」

と言ってプレートを破壊した。



さらにこの行為が自身を破滅に導く事になるとは気が付かずに・・・・



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


この世に出来ない事のひとつに生命の蘇生というものがある。

死にさえしなければエリクサーで何とかなるのだが、一度無くした生命活動は二度と復活させる事ができない。


そのはずなのだが、ここに例外が存在する。

コジロウ シラカワ元侯爵が元居た世界へ帰る直前、魔王と交戦しているが、この時確かに魔王に首をはねられており、その場に居合わせた全員が、コジロウ シラカワ元侯爵の死亡を確認している。


が、その後復活。勇者と共に魔王を討伐している。

そしてもう1人、リューク・キッケルト。

彼もこの戦いで魔王によって首をはねられているが、その後も魔王に戦いを挑んでおり、リューク・キッケルトもこの世の理から外れた存在であるようで、こちらはこの戦いの20年前に、以前の勇者パーティの一員として活動していた時の出来事に由来しているようなのだが、原因は不明である。

否、原因は分かっているが、セアリアス帝国の皇帝に原因の公開を制限させられており、原因は不明という事になっている。

どちらにしても首をはねられてなお生存しているという事実があるが、これ以降そのような事案は発生していない事となっており、この事はセアリアス帝国の最重要機密のひとつとなっている。


なお、コジロウ シラカワ元侯爵の復活に関しては、本人から語られる事はなかったため、どのようにして復活したのかは不明のままである。



マンサナレス歴2248年 シラカワ領の記録より抜粋。


アルフォンシーナ・アフネス・ディアンタ・イフォンネ・ファン・ブルクハウゼン・シラカワ著

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