第286話 レティシア・シンセリティとトーレ・シンセリティ

「メーネアさま、先程も申しましたが、私が今生きてメーネアさまと再びお会いすることができたのも、あの時無理にメーネアさまが留学させて下さったお陰ですわ。何しろメーネアさまが国を脱出し、戦争が起こり、我がシンセリティ家も私と弟以外全員死んでしまいましたし。」

「そうは言っても向こうで苦労したでしょう?」

・・・・さっきメーネアと喋ってたのはその事だったのか?

「メーネア姉さま、そんな事はありません!」

・・・・きっとその弟とかなんだろう。

「トーレにも苦労を掛けたわね。シンセリティ家の事もあるでしょうに。」

「民あっての国ですし、領地です。父と兄が生きていればよかったのですが、次男の私が生き残ってしまいました。」

「いえ、貴方が生きててくれてよかったわ。貴方なら何を成せばよいかわかるでしょう?それにレティシアも居る事ですし。」

「メーネア姉さま・・・・」

・・・・そういえばメーネアからメーネアの母方の事聞いた事あまりなかったな。

自分の母と兄の事だけか。

うーん、実家は貴族かな?何せ国王の元に嫁いだぐらいだから、きっと貴族と言っても侯爵とか公爵なんだろうな。


「なあ、あんたらがメーネアのいとこってのは分かるけど、いまさら何をしろっていうんだ?ひょっとしてもう王族がメーネアしかいないから国に戻ってほしいっていうのかい?」

「お察しの通りでございます、閣下。」

「えっとレティシアだっけ?はいそうですかと簡単にメーネアをあの国に戻すわけにはいかないんだよ?分かるかい?」

「その件に関しては、申し訳ございませんとでしか言いようがありません・・・・」

「まあいいや。ところでさ、おっさん達戻ったばかりだから少し休みたいんだよね。それに君達にも休息が必要みたいだし。今はここまでにして、後に話し合いなり何なりしたいんだけどね。」

「は!申し訳ありません、侯爵閣下。それではそのように致します。」

最初に話してきたやつだな。事実上奴が取り仕切ってるのか?

で、おっさん何も言わずに後ろに控えていたジスラン君を手招きし

「ジスラン君、後は任せたよ。ちょっと休んでくるよ。彼らには客間を用意してあげて。宿泊する部屋も頼むよ。後は・・・・随分汚れてるようだからまずは入浴と・・・その前に食事を。入浴が終わったら店の服を適当に選んでもらって。料金はこっちで持つから。」

「シラカワさまそのように致します。」

「ああ、それに護衛?の人たちも同じようにしてあげて。」

「わかりました。」

「じゃあそういう事で、何かあったらジスラン君か、ジスラン君がそば付きの人を用意するからその人に何か言って。」

そう言っておっさんメーネアとウェンディを連れて一度部屋を出たよ。

ウェンディは見守るだけで何も言わなかったな。

メーネア守ってくれてたみたいだし。

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