第232話 ナターリヤの敵とは

「えっとその・・・・よろしくね?」

何がよろしくね?なのか知らないけど、先ほどまでとは打って変わってフレンドリーなウェンディ。

「よくわからんけど、よろしく?」

「さあ、私もシラカワの所に連れて行ってくれ。」

「あーどうなの?他国の、侵略してきた将軍を捕虜にした場合の扱いなんて知らないよ?」

「それもそうだな。ではシラカワが私を奴隷にしたらいい。そうすれば私の所有者はシラカワ。他国の将軍だろうと、国の頭は奴隷に関して手出しはできないだろうし。」

「なあエルヴィーラ、そんなのでいいの?」

「旦那さまさえ宜しければ問題ないかと。父もそう目くじらを立てる事はないでしょうし。」

「じゃあ取り敢えず奴隷にはするよ。万が一襲われても嫌だしねえ。」

「よろしく頼む。」


こうしてナターリヤはおっさんの奴隷に。


「なあ、ナターリヤ、どうしてアフェールに攻めてきたんだ?」

「ああ、私が聞かされた話だと、セアリアス帝国はインダルチャンス王国と同盟関係、そして、ガーベージの娘をかくまっていると聞いてな。」

「どういう事?」

「ああ、ガーベージは父の敵だ。あ奴のせいで10年前、わが父は死んだ。その子・孫はわが父の敵だ!」

「あのさあ、メーネアはどちらかと言えば戦争に反対してたんだぞ。それなのにメーネアまで狙うのか?」

「それは知らん。ただ私にとっては憎き敵だ。」

「メーネアは関係ないだろう?駄目なのはあの元国王夫妻だ!あいつらがナターリヤの敵だけど・・・・王都にいなかったのか?」

「いや、見かけなかったな。必死になって我々の追撃から逃げている息子しか見なかった。その息子もこの付近で行方知れずだ。なら、行方が分かりそうなやつから始末すべきとの判断だ!」

「なあ・・・ナターリヤは既におっさんの奴隷なんだろう?メーネアは敵じゃない。敵という認識からメーネアを外せないのか?」

「シラカワがそういうなら敵ではないのだな?中々すぐに認識は変える事は出来ないが、わかった、メーネアは敵ではないと心得ておこう。」

「念の為に言っておくけど、メーネアはおっさんの妻だからな?」

「なんと!ではメーネアは私の上司になってしまうのか?」

「何だよ上司って?その考えが理解できんわ!」

「なるほど・・・・ではメーネアを敵と認識するのはいけないな・・・・同じ夫を共有する同士か・・・」

何だよ同士って。まあメーネアを襲わないならいいんだけどな。


こうしておっさん、ひとまずアフェールの危機を防ぐことができ、帝都に報告に向かったよ。

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