第155話 カバンを強奪された・・・・(予定通り)

そしてさらに1週間が経った頃、いよいよ動きがあってね、どうやらロートレック公爵領に正体不明の不審者の目撃情報があってね、既に買取を終えた農家に誰に買い取ってもらったのかとか色々聞いてくるらしく、しかもかなり威圧的なんだって。

農家の人に被害がなければいいんだけどね。


そしてさらに1週間ほど経過した頃、とうとう、行動という形で奴らは現れたんだよ。

奴らは、リュシエンヌが買い取り終えて農家から出てきて暫く街道を歩いていた時に、突如茂みから現れたようなんだよ。

ようなんだよってね、おっさんはその場にいなかったし、リュシエンヌの報告を聞いただけだからね。

どうやらモーヴェ商会はどっかの賊を雇ったらしく、リュシエンヌの進路をふさぐように現れ、背後にも表れて逃げ道をふさいでね、こう言ったらしいんだ。

「よう別嬪なねーちゃんがた、命が惜しければそのカバンこっちに寄こすんだな!」

そう、あほなのかなんなのか、カバンの事を隠そうともせず、いきなりカバンを寄こせって言ったらしい。

リュシエンヌは驚いたふりをして、

「こ、これはシラカワ商会の大事なカバンです。失う訳にはいかないんです。」

って言ったらしくてね。

そして賊は目的の物があるのを確認できたのか、ニマニマしながら

「ほーシラカワ商会の収納カバンが何でこんな所にあるのかな?ちょっと俺らに教えてくれないかな?」

とか何とか言ったらしく、リュシエンヌはこう答えたみたい。

「シラカワ辺境伯の命により、周辺の農作物を買い求め、このカバンで持ち運びしているのです。なのでこれは私の物ではなく、シラカワ辺境伯の物なのです。出来れば見逃していただきたいのです。お金はあるだけ差し上げますので。」

そしたらね、一瞬金に反応したんだけど、どうやらカバンを奪う事を厳命されてるらしく、

「残念だが、俺らはそのカバンに興味があってね、それを置いて行ってくれたら嬢ちゃん達見逃してあげるから、こっちにくれよな!」

そして迫ってくる賊たち。

カトリーンに言わせれば雑魚らしかったんだけど、こんな相手でも戦闘に関しては素人同然のリュシエンヌにあまり近付けたくなかったので、カトリーンが前に出たそうな。

そして、賊はあろうことかカトリーンに剣を突き付けてね、

「こいつの命が惜しかったら、素直にカバンを置いてきな。」

カトリーンならそんな剣では怪我すらしないんだけど、リュシエンヌはカバンを手に取り、

「そ、その人を解放してください。カバンはここです。」

そう言ってカトリーンの開放を要求してね。

カトリーンに剣を突き付けるのを賊が止めたのを見計らって、リュシエンヌはカトリーンにカバンを渡し、カトリーンがカバンを明後日の方向に思いっきりぶん投げちゃってね、賊がカバンに気を取られている間に、リュシエンヌ達は大急ぎで逃げてきたんだって。

賊がカバンを手に入れて追いかけてきたんだけどね、カトリーンが上手く賊との死角にリュシエンヌを連れてね、リュシエンヌを抱えてあり得ない速度で走り去ったんだって。

同行している紅渚は夜叉っていう魔族で、こちらも足がかなり速くてね、カトリーンに難なく追いついて賊の追尾から逃げ切ったそうな。


そして、最後はカトリーンが竜化して2人を乗せてロートレック公爵の屋敷に戻ってきたんだよね。

その後はゲートを使いおっさんの元へ。

いやあーよくやったよ。

こんなに上手くいくとはね。


そしてね、ほぼ同時にジョスリーヌも襲撃を受けてね、こちらは十六夜が上手くフォローしてくれて、ジョスリーヌはゲートで逃げてきてね、ゲート自体は十六夜が回収してくれて、無事に戻ってきてくれたんだよね。


おお!一度にに両方襲撃するとは、なかなかやるねえ。

ただし、今後どうなるかは予想してないだろうな。

さて、モーヴェ商会がおっさん達の企てに気が付かないまま上手く事が進めばいいんだけどね。

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