第126話 今度は男共がやって来た

「なあ、何で公爵の娘がメイドなのよ?」


「あ、えっと、実は私の母は普通の町娘でして、公爵の娘と言っても姉のリュシエンヌさまと違い、お屋敷で働かせていただいております。」


うーん、庶子と正室の子の待遇の違いか?


「えらく扱いが違うなあ?」


「とんでもございません!公爵様には感謝しているのです。普通は公爵様のメイドなどわたくしのような立場の者がなれるはずもないのですが、自分の娘だからと特別に取り立てていただいております。今は姉のリュシエンヌさまのお付きとしてこの場に来ておりますの。」


リュシエンヌ嬢、そんな所まで見てたんか?あ、だからか、顔立ちが似てると思ったのは。




どうやら公爵の娘ともなるとメイドは何人も連れてきているらしく、このメイドさんはおっさんのお付きとして、パーティが終わるまで近くいるように言われたんだとか。ありがたいねえ。




そう思っていたら、いよいよ男共のうち若い衆がおっさんの所にきはじめたよ。


どうやらおっさんに取り立ててもらいたい三男四男とかの貴族の息子で、後を継げない面々がこちらにきたっぽい。ここで顔を覚えてもらって、シラカワ領で、シラカワ辺境伯の家臣として雇ってもらおうとの考えらしい・・・・


まあ、当初から予想してたからね。


ただ、貴族の息子ってだけで、取り立てて何もできない輩は勘弁願いたかったから、様子を見る事に。幸い、このメイドさん、おっさんの所に来た貴族の息子の顔と名前が全員分かるらしく、何処何処家の三男ですとか教えてくれるんだよね。


取り立てて特徴がなかったら何も言わないんだけど、要注意人物だと、気を付けたほうが良いとこっそり教えてくれて。


いやマジ、優秀なメイドさんだよ!持ち帰りたい!


というか、おっさんの周りにこんなメイドがいなかったと今更になって気が付いたよ。




そうしているうちに、二人組の男がおっさんの所に来てね、


「ロートレック公爵様の三男と四男でございます。」


と教えてくれてね。


1人は武人という感じでね、身のこなしに隙が無い。もう1人は、知的な感じがしたよ。


「シラカワ辺境伯様、本日はお会いできて光栄です!ロートレック公爵三男、セヴランと申します。こちらは弟のジスランです。」


「君達はリュシエンヌの兄弟なのかい?」


「は!リュシエンヌは姉です。姉はたいそうシラカワさまを気に入った様子。僕たちはそんな姉が気に入ったシラカワさまが、どんな人となりか直接話して確認したいと思い参上したのです。」


「正直だね!君たちのお姉さんは非常に好感の持てる淑女だ。何であんな人が独身なんだ?」


「それは・・・・それは、私達のせいでしょう・・・・」


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