第17話 異世界の高級宿

「なあメーネアちゃん」


「何でしょう?シラカワ様」


「あの猫?が寝てるような絵の描いてある看板って何かな?」


「はい、あの看板は、安心して寝る事のできる場所という意味ですね」


「??つまり宿?」


「そうですわ。」


「メーネアちゃん、おっさん宿探してるの分かってたならそういうのは早く教えてほしかったよ~」


「ごめんなさい。失念しておりましたわ。」


「まあいいや。とにかく泊まれるか聞いてみようか?」



・・・・建物も立派だけど、中も立派だな。あ、受付の人、こちを見てぎょっとした顔したな、今。あ、どこへ行くんだ・・・・・・・・あ、何か渋いおっさんが出てきたぞ。



「ようこそおいで下さいました。当館へは宿泊を希望でしょうか?」



・・・・・・うーん、見事におっさんスルーされた。


「支配人様お久しぶりですわ。シラカワ様は宿泊できる宿を探しておられます。」



・・・・メーネアちゃん、ここ来た事あるんかい!


色んな意味で大丈夫かいな!


で、この支配人?は何かおっさんの事を警戒してるんか?




お、エントランスホールがあるんか。ふー、一息つける。




「お初にお目にかかります。当館の支配人を務めております。以後お見知りおきを。


本日は・・・・お忍びでしょうか?」


「ああ、うん、ここに来た事は他言無用でお願いしたい。」


「かしこまりました。当館はやんごとなき方々がお忍びで来館されることもありますので秘密は守ります。何かご要望はありますか?」


「この国に来たばかりでこの国の事はまるで分らなくってね。この国の常識もわからないから、変な事を言ってたら指摘してほしいんだけど、この宿には風呂はある?」




「勿論ございます。」


「それはよかった。部屋にあるのかな?それとも共同の風呂?」


「??おっしゃっる意味が分かりかねますが、風呂は部屋にてご用意できます」




・・・・今ので何かおかしい事言ったんかいな?やはり異世界は日本と違う・・・・



「できれば3人とも同じ処で過ごしたいんだけど、部屋はひとつしかないとかないよね?」


「3人共に別の部屋での就寝をご希望でございましょうか?」


「そうしてもらえると助かるけど、あるのかな?」


「無論ございます。ただ、それなりに値段がかかるお部屋となりますが大丈夫でございましょうか?」


「ちなみにおいくら?」


「1人金貨4枚でございます。3人ですと金貨12枚となりますが、サービスで金貨10枚となります。」




・・・・めっちゃ高いやん!高いよね?それともこれが普通の値段?今は手持ちがあるからいいけど・・・・


あかん、おっさんあんまり考えるの得意な方じゃないから知恵熱が出てきそう。


「じゃあそんな感じで頼みます。」


「畏まりました。」



・・・・

・・・

・・


「やっと宿確保した・・・・おっさん兎に角風呂入りたいんや~香苗ちゃんもメーネアちゃんも、一緒に入らない?」


「・・・・・」


「流石に恥ずかしいですわ」



・・・・無理だった。


・・・・

・・・

・・


あかん、美女の湯上りって凶悪やわ。


バスローブみたいの着てるけど、上気した肌とかうなじとか、おっさんメロメロやわ。


そしてほのかに香る石鹸の匂い。


みんなごめんよ。とーちゃん異世界でおかしくなりそうやわ。←既におかしくなってます





結論から言って、ここの石鹸と洗髪する洗剤とか、碌なのがなかった。


仕方ないので石鹸とリンスとシャンプーを購入。


メーネアちゃんはリンスに驚いてたな。


「シラカワさま、このりんすというものは素晴らしいですわ!髪の毛がしっとりとして油を髪の毛に塗らなくてよいとか信じられませんわ!」



・・・・この世界ではリンスはないみたい。代わりに髪の毛に油を塗っているみたい。


ああ、そんなに近付いてくるとおっさんおかしくなりそうやわ。


みんな、とーちゃん駄目かもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る