第2話 初遭遇

さて。自己紹介のあれから1時間くらい歩いた。


もう正直変わり映えしない景色に飽きた。

歩くのにも疲れた。腹も減った。


そこからまた1時間くらい歩いた。

遠くに馬車が見える。そう、馬車。

車ではなく馬車。異世界ですね。はい。

疲れたせいかテンションも上がらない。

大きな声を出して呼んでみる。


「すみませーん!」


向こうは訝しげにこちらを眺めながら大きな声で返す。

「どうしましたかー?」と。

「道に迷ったみたいでー!良かったら近くの街まで乗せて行ってもらえませんかー?」

「どこから来たんですかー?」

え、この大声で会話…?喉潰れるわ。


なので向こうに歩いて近づいて行く。

「足止めしてすみません。俺菊地尚人って言います。」

「私商人のボルと申します、こんな所でどうしたんですか?」

「いや…なんというか…その…ここってどこなんでしょうか?」

「それはどういう事ですかな?」

「いや、気付いたら草原にたってて歩いて歩いてボルさんに会って…」

「なるほど、迷い人でしたか」

「迷い人?」

「たまに異なる世界から迷い込んでくる人達のことをこの世界では“迷い人“と呼んでいます。召喚される人を“異世界人“などとも呼びますがね」


異世界人は多くはないけどいるみたい。


「近くの街まで乗せていってもらっても良いですか?」

と聞くとボルさんは快く「もちろん!」と答えてくれた。


馬車に揺られ街へと向かう。

今更ながらボルさんがいい人で良かった…

盗賊とかに会ってたらと思うとどうなってたんだろうか。怖いので想像しないけど。

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