第07話「初めて魔法を見た」

前回までのお話

一人称がぼくになった。僕ね!

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 魔力ボールで遊んだ後、お風呂に入ることになった。この異世界にもお風呂があるって知らなかったよ。


 日本人としては嬉しすぎるよ、ナンス家最高!!


 この屋敷にはメイドさんがいっぱいいるのです。フフフ、みなさんお待ちかねの時間ですよ。



「んだっ!!」



 僕ことメンテは元気よく叫んだ。



 ◆



「赤ちゃんのお風呂は久しぶりだから、心配でドキドキしちゃうわ」

「キッサさん、よろしくお願いします」

「久しぶりねメンテくん、今日はよろしくね。今から洗い方を教えるから二人とも近づいて頂戴」



 20人以上余裕で入れるほど大きい風呂場にはいるのは父、母とおばあさんの3人だった。


 このおばあさんは、タクシーの妻のキッサである。小さい子の相手に慣れたキッサがいるだけで安心感がある。先ほどまで一緒だったアーネは一緒に入りたいと駄々をこねたが、危ないかもということで他のメイド達に任せている。


 僕はね、もっと若いメイドの人が手伝いに来ると思ってました……。これはもう残念です。まだお待ちかねの時間ではないようです。力及ばず申し訳ない。



「まずはプールを用意しましょう。お風呂の水は赤ちゃんにとっては熱いの。やけどしてしまうから注意しなさい」



 キッサさんがお風呂に手をかざすと、お湯が小さな玉となって浮かび上がった。そしてキッサさん右手の手ひらのまで飛んできた。お湯の玉は手に触れておらずに浮いている。



「あ、あぐぅ!?」



 何も言わずに魔法が発動して驚くしかない。いったい何者なんだいキッサさん?



「少し冷やしますよ」



 キッサさんが左手をかざすと冷気が発生し、お湯の温度が適温まで下がっていた。



「うぐぅ!?」



 魔法便利すぎてやばい。さっきまで残念な気持ちだったけど今はテンションがめっちゃ上がっている。



「では一緒に洗うからね」



 そういうとキッサと母は僕の体を洗い出した。父はタオルを持って覗き込んでいる。お湯も僕の体も一緒に浮いていて面白いです。このお湯を自由自在な形にできるので溺れたりすることはないそうです。高さも自由だから腰の負担もなさそうだ。



「レディーがいないときもあるだろうから覚えておきなさい」

「わかりました」



 両親ともにもキッサさんを信頼しているようだ。父が頑張るよりメイドさんのほうが嬉しいなんて言えなくなっちゃうなあ。そして、僕の体を洗い終わった。父が僕を受け取ってタオルで拭いていく。お湯の玉は僕が出た後に下に向かって流れていきました。お風呂場だから捨てる場所はどこでもいいのね。


 う~ん、とても気持ちい。そのときです。



「はっ……、ハックシューーーーーーン!!!!」



 キッサさんが僕に向かってくしゃみをしたのです。綺麗になった体にめっちゃ唾が飛んできた。



「「……」」



 僕の両親がキッサさんを無言で見つめる。



「てへっ」



 おばあちゃんのてへぺろなんて見たくなかったよ……。


 そういえばこの一族はポンコツなところがあるんだっけな。まさかキッサさんも同じなんて知らなかったよ。



「まだ服を着せていないから今度はパパが洗うよ」

「う、ごめんなさい」

「いえいえ、いいのよ。パパの練習になりますし」



 お風呂デビューの日に2回も入るとは思いませんでした。さすがポンコツ一族ですな。



「明日はメイド達に体の洗い方を教えようと思います。メンテくん、明日もよろしくね」



 え、まじで?うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお



「あだぁーーー」


「はっはっは、メンテはお風呂が大好きだなあ」

「フフッ。毎日入ろうね~」



 メイドとのお風呂が楽しみじゃあああああああ!



 後日、キッサとメイド達がお風呂に来た。しかし、全員腕まくりだけで誰も脱ぐようなことはなかったというオチ。



 メンテは羞恥プレーを満喫したとかしなかったとかいう。


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