14話 あの日の答え
アルストロメリアの《世界つむぎ》で元の世界に帰る。マリーがメイド達と過ごした元の世界だ。
「んじゃあ、オレはここで行くとしよう」
王宮の門前でアルストロメリアはお別れを言う。
「なんで?一緒に来てよ」
「オレは世界に愛されてねぇんだよ。そう言う性分だと思ってくれ」
《世界つむぎ》によって、様々な世界、様々な時間を渡れるアルストロメリアにとって、一つの世界に留まるという。その世界に対する愛着心は、とうの昔になくなっていたのだ。
アルストロメリアはそういうと《世界つむぎ》によりどこかの世界に行ってしまった。別れの最後に彼女はこう言った。
「まあ、用が合ったら呼んでくれや。その妹なんだし、助けになるぜ。お、お姉ちゃん……」
◇
マリーは王宮に帰ると暫くぶりのメイドたちと再会した。
「あら、マリー様。今日はお早いのですね。まあ!そのティアラ!お可愛いこと!」
マリーのその頭には王たる証の黄金のティアラがあった。それはアマリリスの想いの詰まったティアラである。
「いいでしょ!どうよ、お姫様らしくなったでしょ!」
その誇らしげ言うその姿はどこかアマリリスを連想させた。
いつもの俗事のルートを辿って床に就く。
「明日は玉座の方に行ってみようかしら?座ってみたかったのよね。玉座」
なんて浮かれているとドタドタと騒がしい音が聞こえてきた。
「何かあったのかしら?」
――はて、今日は何日だっけか。
いつもは図書館に行っていたマリーはアルストロメリアのきまぐれによりこの日に飛ばされたのだ。
「嫌な、予感……」
そう呟くと、ゆっくりと自室の扉が開けられた。
そこに立ってるのは自分。
あのとき、図書館から帰ってきた自分である。
「あの――」
そのもう一人のマリーが床に就いたマリーに話しかけようとすると、もう一人のマリーは水面のように波打つと
「そうか。あの時みたのは、確かに私だったか。てか、これ全部アルストロメリアのせいだからね!あとで絶対叱るんだから!」
《不当なる観測者の権限》、もとはアマリリスが世界を跨またぐために創った《想いの力》であったが、〈本人の意思に関係なく勝手に〉世界を跨またいでしまう力になっていた。
もう一人のマリーが消えていったのはこの力のせいである。
床に就いたマリーはメイドに説明するのが面倒になったいたのでそのまま眠る。
久々にフカフカの布団に包まれると泥のように眠るのであった。
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