13.9

 今日はルッツがよく眠っていてくれたから、ヤンと二人で軽い打ち合いをした。

 しばらく運動を控えていたからと簡単な準備運動のようなものだけに留めたのだが、ヤンの剣術の腕は鈍ってなどいなくて、何だか嬉しくなってしまった。本当は俺がヤンを守り、ヤンが剣を取ることなど無い方が良いのだが、二人で戦いながら旅をした頃も楽しかったのは事実だ。あの頃が戻ってきたようで、擽ったい気持ちになった。

 今、家族として幸せに過ごせているのも決して失いたくない時間だ。ヤンも俺も、二つの人生を歩んできたと思う。旅に出るまでの日々と、結婚してからの日々。どちらもかけがえのないものだ。

 俺の幸せは、ヤンの隣で叶うものなのだと改めて思う。俺に幸せをくれるヤンを、もっと幸せにしたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る