28.7

 ヤンとルッツと庭の散歩をした。日が強くなってきたから、俺がルッツを抱っこしてヤンに日傘を差してもらった。日傘を手に歩くヤンは高貴な生まれのように見えて、俺の方が萎縮してしまう。ホフマン家の成り立ちもあるが、エドとダグに憧れ真似た幼少期だったこともあって、俺自身は血筋にあまり誇りを持てていないのだ。

 勿論父と母の子であることは俺の幸せだし誇りだ。しかし、自分が貴族であるという実感はほとんどない。普段の振る舞いを考えると、ヤンの方がよほど高貴に思えてしまう。

 俺自身生まれに拘りは無いが、ヤンが名高い家の令嬢と言われても納得するだろう。ヤンにはそれだけの気品がある。何より美しいのだ。

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