5.6

 明日でルッツが生まれて丸一ヶ月になる。過ぎてみればあっという間でも、ルッツにとっては必死に生きた一ヶ月だ。何かしらで祝いたい。

 こうして考えてみると、誕生日はその一年を無事に生きられたことを祝うものだという母の言葉がよく理解できる。そう言われた当時は俺もまだ子供で意味が分からずにいたが、自分が親となった今、子供が一年もの間無事でいてくれたことを祝いたい、感謝したい気持ちがあるのは確かだ。

 とはいえ、ルッツの誕生日はまだまだ先の話だ。まずはヤンの誕生日、使用人達の誕生日を盛大に祝おうと思う。


 少し気恥ずかしさはあるが、俺自身の誕生日も大切にしたい。今の俺なら、以前よりずっと自分を大切にできる。

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