第18話 スケベなお姉たま?
上官であるお姉たまをお出迎えしに、町の外に設置してあったゲートへ赴くと、おっかなそうな面持ちの魔族が隊列を組んでいた。
圧巻の魔王軍を前に、警備に当たっていた兵たちが腰を抜かしている。
無理もない。
大剣を担いだ人狼に、鋭利な鉤爪を有するハーピィなど、その数ざっと一万である。
この数が一気に王都に攻めいって来た日には人溜まりもない。
「なんだ……妾が来てやったというのに出迎えは下僕のお主だけか?」
「とんでもない! これは一種のパフォーマンスですよ。お姉たま」
と言いながら、煙管を吹かすお姉たまの柔らかそうなおっぱいをツンツンしてみると、
「痛っ!?」
「無礼者っ! 気安く妾に触れるでないわっ!」
煙管で手を叩かれてしまった。
お姉たまは俺に御執心のはずなのに……あっ! 照れてるのか。
なんて可愛いんだ♡
「ムフフ……意外と初々しいんですね」
「何のことじゃ?」
「またまた、この照れ屋さん♡」
「は……?」
俺は照れ屋なお姉たまたちフォクシー軍を引き連れ、王都の門をくぐり抜けた。
すると、盛大にラッパの音が蒼天を駆け抜ける。同時に音楽隊の派手な演奏が町に木霊する。
「ほぉ~、下僕にしてはよい歓迎じゃの。誉めて遣わす」
「ええ、王都をあげてのお出迎えですから」
町の者たちも皆予定通り、城までの大通りを埋め尽くして歓迎している。
この日のために王都在住すべての者に、少しではあるが給付金を渡しておいたからな。
しかもっ! 魔王軍がこの国の発展に貢献し、さらなる発展を遂げた暁には、ベーシックインカムと題して毎月少額の国民配当を支給すると……大嘘をついてやった!
もちろん爆発的に国が栄えたなら、毎月は不可能だが、極たまになら給付金を与えて経済を回すのも悪くないかもなしれない。
つまり、いまの王都は金に目を眩ませた者たちで溢れ返っており、魔王軍大歓迎というわけだ。
パレードは滞りなく順調に進み、王の間にフォクシーお姉たまがやって来ると、チャームで魅了された貴族一同が跪いてお出迎え。
そこへ透かさず公爵家令嬢ユリアナ・アスタロッテが花束を贈呈する。
エクセレ~~~ントッ! 我ながら完璧な流れだ。これなら誰も文句を言えまい!
この日のために沢山苦労をした甲斐があったというものだ。
「あはははっ――気に入ったわ! まるで妾が魔王さまとなったようではないか」
「喜んでいただけて光栄ですよ。なんたってフォクシーお姉たまは俺のそくし……妃みたいなものですから」
二つ並べた玉座に腰をおろし、ご機嫌なフォクシーお姉たまにプリティーなウインクを送ると、
「妃じゃと……?」
一瞬凍りついたような声音がお姉たまの口から漏れ、その綺麗なお顔に影が落ちる。
「妾が下僕の妃と申すか?」
「ええ、嬉しいですよね? 好きなんですから」
俺の問いかけに応えるように顔をあげたお姉たまから、凄まじい殺気が放たれる。
他を呪い殺してしまうほどの狂気に、この場に居合わせたすべての者たちが震えあがっていく。
「戯けぇ――っ!! 人間無勢が図に乗るでないわっ!」
ヒュゥーッ、ヒュゥヒュウーッ♪
早速飛び出たお姉たまの罵りプレイに胸が高揚して参りました!
堪らず心の中で黄色い声をあげてしまう。
「ムフフ――わかってます、わかってますとも。SMプレイがお好きなんですよね?」
「は?」
「安心してください。俺はSもMもどっちも得意なんですよ♪」
と、言いつつ。ドSのお姉たまをベッドの上で服従させることに興奮しているとは……まだ秘密だよ。
ドSな女をドMに目覚めさせる快楽を知る俺にとって、まさにフォクシーは最高の側室となることだろう。
これほどまでの悦楽は久々かもしれん。
たとえるなら禁欲生活半年を乗り越えたあとにやって来るマスターベーション。
いや、至高のハーレムプレイとたとえた方が正しいか……どちらにせよ堪らんっ!
「下僕……貴様妾を……女衒のフォクシーと恐れられた妾を舐めておるのか?」
ん……どういう意味だろう?
女衒……早い話が奴隷商人のような者のことだよな?
ああっ! そういうことか……読めたぞ!
つまりフォクシーお姉たまは長ったらしい挨拶などどうでもいいから、いますぐにでもおっぱじめたいと言っているのだろう。
要約すると、ドSな妾はここで貴様に羞恥を与えることこそが至福の悦び、そんな妾を夜まで待たせるつもりか? 舐めておるのか、貴様は……ということらしい。
この……ドスケベめっ!
「別に構いませんよ、俺は」
「……構わぬとはどういう意味じゃ」
「ここでお姉たまとおっぱじめても構わないと言っているんですよ」
おおっ、スケベに興奮して身震いしている。
溜まっているのかな?
でも、女の人でも溜まるのか?
あっ……!? これが動物的な発情期というやつか。
ミラちゃん納得♪
「殺すぞ……貴様っ……殺すぞっっ――!!」
バタンッ――おや?
興奮し過ぎたお姉たまの魔力圧に耐えきれず、バタバタと皆気を失っていく。
情けないやつらだな。
立ち上がったお姉たまが俺を眼下に睨みつけている。
SMプレイ開始というわけかな?
望むところだ。
お姉たまにドMの快楽を叩き込んでくれよう。
気持ちよすぎて気を失うなよっ!
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