第99話 牛肉

ドサッ



ジュワー…



「ちょっと…、乗せすぎだってば」

「いけるいける~。た~んとお食べっ」



ジュー…



ひょいっ



ちょんちょん



「いただきます」

「ど~ぞ~」



ぱくっ



もぐもぐ…





おっ!



「このお肉、安いけどおいしいっ」

「お? マジで~。やったね~っ」



もぐもぐ…



「アンタも食べてみなよ」

「あ~…。アタシはお酒のみながら、ゆ~っくり食べるからっ」



…?



「そう?」

「どんどん食べちゃって良いよっ。ほらっ、これもっ」



ジュー…



「………」

「ほらほらっ、どんどん焼くよ~っ」



ジュー…



「…なんか隠してるでしょ?」

「えっ!? …そんなことないよ~っ。隠すって何をよ?

も~っ」





ガタッ



「…ちょっと、冷蔵庫見てくる」

「うそっ!? ちょっ!?」



スタスタスタ…



ガチャッ





「この高そうなお肉屋さんの袋は何?」

「…そ、それ~っ? 明日の夕飯用だよぉ~?」



がさがさ…



「…あらあら、ご丁寧にレシートが」

「あ゛っ…」



じー…



「"和牛切り落とし焼き肉用"ねぇ…。へぇ…、明日も焼き肉なんだ…」

「…そう!」



ふっ…



「じゃあ、これは明日で本当に良いんだね?」

「うぐっ…。………、ごめんなさい…。今日ですっ…。それは今日食べたいのっ! アタシの楽しみなのっ! 明日とか無理っ!」



ハッ…



「あたしをお腹いっぱいにしてから出す魂胆とはねぇ…」

「食べましょうっ! 2人でっ! ねっ!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る