ライアン・バーネル子爵

 ライアン・バーネル子爵邸はそれはそれは広大な面積を持つ家で、すぐにはやつを見つけられそうにはない。ただ、暗殺をするつもりもない。


 俺は扉を蹴破った。時刻は2時皆が寝静まった時間である。

 突然の訪問にも関わらず、何人かの人間は起きていた。


 俺は即座に撃ち殺した。一人を残して。


 メイドはビクビクと震えながら俺を見ている。

 俺はメイドの襟首を掴むと尋ねた。


「主人はどこにいる。案内しろ」


 メイドは「はいぃ」と消え入りそうな声を出して、俺を案内した。


 時折執事や使用人が現れたがそのたびに一瞬で始末した。バリスタは矢が細くなったとはいえ弦の強度は変わらない。恐ろしい速度で飛び出す矢を避けきることなどできない。


「なにごとだ!」


 と叫ぶ声が聞こえた。おそらくこの部屋だろう。メイドは用済みになったので頭を魔法兵器で粉砕した。


 俺はドアを蹴破った。ライアンはどこぞの娼婦とともにベッドに横たわっていた。そのブクブクと太った体、醜い顔、こんな人間がマーラとレイを殺したのか。

 俺は娼婦を撃ち殺すと、ベッドの上に立ち、ライアンの顔面に蹴りを食らわした。


「くそ! 俺を誰だと思っている。早く誰か来い。こいつを始末しろ」

「誰も来るわけ無いだろ。ここに来るまでに廊下にいた奴らは殺してきた。まあ来てもすぐに殺してやるが」


 俺はまたライアンに蹴りを入れた、鼻がひん曲がり、蛇口を捻ったように鼻血が出る。


「くそ! くそ! 何が目的だ」

「どうして獣人の村を襲った?」

「獣人? ああ、今日廃棄したあの村か。ある人物からそこに村があると言われてな。騎士を送ったんだよ」

「なぜ?」

「しらないのか? 王が獣人は抹殺せよとお触れを出しただろ」


 俺は舌打ちした。


「その村を知らせた人物はだれだ」

「ふっ、ある商人だよ。結界を外すことができると宣っていたな」


 嫌な予感がした。彼は確か、直前の仕入れのとき大量の服を俺から買っていった。


「……名前は?」

「ダニエルだ」


 また、背中がどっと熱くなった。

 気づけば魔法兵器とバリスタが同時に発動していて、ライアンは両腕を失った。


「ぎゃああああ!! 誰か、早く来い! 早く助けろ」

「ああ、助けてやるよ」


 俺は中級ポーションをライアンの両腕にかけた。半分の量で、両腕の傷はふさがった。


「次は足だ。先に股の間にあるクソきたねえそれを外してやってもいい」


 俺は脂汗を浮かべて全力疾走後のように息をついているライアンに顔を近づけた。



「選択しろ。股の間にあるものを切り取られるか、右足を切り取られるか、左足を切り取られるか。どれがいい」



 ライアンはこの世のものとは思えないものを見る目で俺を見た。










 俺は、














 笑っていた。



「狂っている。お前は狂ってやがる!」

「選択が遅いぞ。命令には従え」


 ライアンの右足が魔法兵器の弾丸によって吹っ飛んだ。

 ライアンはまた悲鳴を上げた。


 入り口から使用人が剣を持って現れたが意識する前にバリスタが発動して、首を跳ね飛ばした。


「ほらポーションだ。まだたっぷりあるぞ」


 俺はローブのポケットから3本のまだ新しいポーションを取り出した。


「次の選択だ。股の間にあるものを切り落とされるか、左足を切り落とされるか」


 選択を続け、ライアンは両腕両足と性器をなくした状態で嘔吐していた。


「きたねぇな。おら、これを飲め」


 俺は特級ポーションを無理やり口の中に入れた。

 なくなったはずの両腕両足、股の間の汚いものがもとに戻る。


「じゃあ、最初から始めようか。どこから切られたい? 選択しろ」


 ライアンは最期、発狂した。

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