事業を再定義する。

ある会合で知ったのだが、

高齢化、人口減少に悩まされる

地方都市に、達社長の会社より

少し先輩に当たる創業80年の

老舗の電気工事会社がある。


同社この10年で、売上や利益を

大幅に増加させることに成功し、

地域で躍進している。


理由は一つではないようだが、

業績に大きく貢献しているのが、

小口工事の事業化だと言う。


コンセントの追加や電球取り換えなど

「地域住民の暮らしの困りごと」

を解決する事業。


金額に換算すると一件数万円程度。


そんな少額工事を中心に取り扱う

領域で、売上高を数十億以上つくり

事業として見事に成立させている。


自社も建設業ゆえ、

電気工事業とは馴染みが深いし、

仕事をお願いする

事業者も少なくない。


そうした協力企業である

工事専業の事業者を観てみると

小口の工事をやる会社は多い。


しかし、

「頼まれたから」つまり


あくまでもサービスの一つで

それを事業化した会社を、

あまり聞いた事がない。


こうした工事事業者の方も

特に若い経営者を中心に

建設会社や住宅ビルダーの下で

下請けとして受注工事に頼る

リスクは、十分に承知している。


それゆえ、

企業向けメンテナンスを直接

請負うなど手をうち始めている


一方、消費者向けに

小口工事を拡大しようと

努力している会社もあるにはある。


しかし、「面倒で儲からない」。


これが、

対消費者向け事業に対する

偽らざる声のように聞いていたし、

達社長自身もそう感じていた。


なぜ、この老舗工事会社は

「儲からない」と言われた

消費者向け小口工事を

事業化出来たのか?


社長就任前から、

この事業を立ち上げ軌道に載せた、

四代目社長は、

そのポイントをこう語っている。


「自社を工事業ではなく、

サービス業だと再定義したのです」。


新人でも簡単に見積りが出来る

ハンディ積算システムの開発。


工事専業の常識では、

ほぼ見たことがない

現場で活躍する工事チームの

顔が見えるプロモーション。


人事・評価システムも変更。


合言葉は「額だけでなく質」


受注額一辺倒だった評価を改め

消費者満足度を毎回確認し、

顧客からの紹介件数あるいは

リピート注文率を高く評価


大型工事の小口盤ではない


「工事業とは

全く似て非なるサービス事業」。


そう考えて、

0から事業を立ち上げた。

それが成功ポイントなのだと。


「工事業ではなくサービス業」


「サービスを事業化する」・・

繰り返し登場するキーワード。


だからだろう。「脱皮とは何か?」

を考えて続けていた達社長。


大きなヒントをもらったと、

ある確信が芽生え始めていた。

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