モノログ
あろじぇな
2017/2/23
「今朝、血液検査だったんだ。」
青い空が覗く窓を見ながら、ぼくは言った。
「うん」
彼女は返事をする。
「まぁ、血液検査がない日なんて逆に珍しいけどね。」
「血液検査…」
「痛みはないんだ。なんでこうして自分が入院してるのか、不思議に思うくらい」
そこは簡易にカーテンで仕切られたら四人制の薄暗い相部屋だった。ぼくは二週間ほど前から入院している。周りの三部屋は、三日ほどで人が変わる。長くても一週間ほど。他の人とは話したこともなく、顔を見たこともなかった。
腎臓の病気らしい。
毎年気にすることもなく過ぎていく検尿。
まさかそれで自分が引っかかるなんて思ってもみなかった。
周りのクラスメイトも、蛋白の判定が出てる奴はちょくちょくいた。
でも、ぼくの結果は <潜血 +1>
血が入ってる?まさか。赤くもなかったのに
それが半年前のこと。
最初のうちは急性の腎炎だろうと診断されたが、尿の検査は良くなるどころか、ついに見た目も変化し始めた。
慢性の腎炎と診断され、そして今に至る。
「大丈夫?」
彼女はぼくの幼馴染だ。家は割と近くにあるとはいえ、部活の忙しい高校生が、毎日見舞いに来るのは楽なことではないだろう。でも、彼女のおかげでこの孤独な空間をぼくは対して苦痛と感じることなく過ごすことが出来ていた。
あまり彼女は人と話すタイプじゃないが、昔からずっと一緒にいるぼくとはこうして会話する。
「大丈夫。多分。ありがと。」
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