クマさんと、心配する人たち その2
どうにかミリュウをベッドの脇に移動させることが出来たことで安堵した僕だったのですが……
『ダーリン、大丈夫!?』
今度は、ミリュウがすごい勢いで部屋に駆け込んできたんです。
部屋に入ってくるなり僕に抱きついてきたミリュウ。
『ダーリン、死んじゃいやなの。ミリュウがいっぱい看病してあげるの』
そう言いながら、ミリュウは僕の上半身を抱きしめてくれたのですが……
僕の顔がミリュウの豊満な胸に挟まれた格好になってしまいまして、その結果、今の僕は呼吸困難で死んじゃうんじゃないかって……
「クマ氏!?」
「クマ!?」
『ダーリン!?』
そんな、ポリンカ・アジョイ・ミリュウの声を聞きながら、僕は
「はらほろひれぇ……」
と、目を回していました。
元凶のミリュウはまったく気がついていません。
……こ、これはもう、一か八か……
ミリュウの胸の感触にこのまま埋もれていたい誘惑にかられながらも、僕は必死になって両腕に力をこめました。
必死になったおかげでしょうか……
「ぶはぁ……」
どどど、どうにかミリュウから離れることが出来ました。
……しかし……な、なんといいますか、ミリュウのあの胸はやばいです。
すごくマジでやばいです。
ミリュウの上半身は、着脱可能な硬い鱗で覆われています。
ただ、その鱗は、ミリュウの背中から前方に駆けて伸びていて、ミリュウの豊満なおっぱいを外側から包んでいるんです。
そう、外側から……
つまり、その内側……胸の谷間側は生の肌なわけです、はい。
その生の肌が露わになっている胸の谷間に挟まれた僕だったわけですが……そのポヨンとした二つのやわらかいメロンが僕の顔を左右から包み込んでいたわけで……そのまま窒息しそうになりかけていた僕の目には、ミリュウがマリア様みたいに見えていたわけでして、
……あぁ、この柔らかさに包まれて逝けるのなら
なんてことを一瞬本気で考えてしまったほどでした。
荒い息を繰り返しながらも、ミリュウの胸の感触を思い出していた僕。
そんな僕に、
「クマ氏大丈夫っすか!?」
「クマ、大丈夫!?」
『ダーリン、大丈夫なの!?』
ポリンカ・アジョイ・ミリュウが再び心配そうに声をかけてきました。
「あ、あぁ、大丈夫、大丈夫だから……」
ぜぇぜぇ荒い息を繰り返しながら、僕は3人へ視線を向けました。
3人は、揃ってベッドの端から僕に向かって身を乗り出していた……んだけど……
前屈みになりすぎて、服の隙間から豊満な胸の谷間がはっきり見えているポリンカ。
だぼっとした服が下に垂れて、体の前面が再びご開帳状態のアジョイ。
僕を抱きしめていた豊満な胸を、無意識に『だっちゅーの』ポーズになって超強烈な格好になっているミリュウ。
そんな3人が僕に向かってにじりよっていたんです。
3人とも、心配そうな表情をしてくれてはいるものの、僕の視線は3人のあんなとこやこんなとこに釘付けになっています。
見ちゃ駄目だ見ちゃ駄目だ見ちゃ駄目だ見ちゃ駄目だ……
心の中で念仏のようにそう唱え続けている僕の意思とは裏腹に、僕の視線は言うことを聞きません。
「だー!」
ここで、僕は一声あげると頭から布団を被りました。
もう、こうなったら強制的に視界を遮るしか手段はありません。
「クマ氏!?」
「クマ!?」
『ダーリン!?』
ポリンカ・アジョイ・ミリュウがびっくりした声をあげました。
そんな3人に僕は、
「ご、ごめん、ちょっと猛烈に眠たくなちゃって……すすす少し眠っちゃうね」
布団の中からそう声をあげると、少し間をあけてから、
「……ぐぅ……ぐぅ……ぐぅ……」
寝たふりの寝息をたてました。
我ながら、わざとらしいことこの上ないというか、こんな寝息じゃすぐに狸寝入りだとバレてしまうよなぁ……と思っていたのですが。
「クマ氏、あっという間に寝てしまったッスね。しっかり休んでくださいっス」
「クマ、おやすみ!」
『ダーリン、またあとでね』
布団の向こうの3人は、そんな優しい声を僕に向かってかけてくれまして、そのまま部屋を出て行ってくれたんです。
しばらくして……布団の隙間から室内をうかがってみると……室内には誰もいなくなっていました。
「……よかった……助かった……」
僕は、安堵の息を吐き出しました。
布団から顔を出した僕は、改めて体制を整えてから再び目を閉じた。
……色々あったけど、みんなも僕なんかの事をこんなに心配してくれているんだもんな……しっかり休んで早くよくならないと……
僕はそんな事を考えながら目を閉じていた……のですが……その時、僕の股間がとっても元気になっていたんです……
ま、まぁ……あれだけのすさまじい波状攻撃を受けてしまったら、こうならない方がどうかしていますよね……と、自己弁護していた僕なのですが……
シュルシュルシュル……
「ん?」
なんだろう……気のせいか、窓の方から何か音が聞こえたような気が……
そんな気がした僕は、目を開けてそちらへ視線を向けようとしたんだけど、その瞬間に、
「はう!?」
すっとんきょうな声をあげてしまいました。
足下から入ってきた何かが、僕の元気になっているあれに触れてきたんです。
『うふふ~、クマさん~、楽にしてあげましょうか~?』
そんな僕の脳内に、神の耳魔法でそんな声が聞こえてきたんです。
その声を受けて、慌てて窓の外へ視線を向ける僕。
その視線の先……窓の外に……なんと、ドラコさんの姿があったんです。
羽を羽ばたかせながら宙に浮かんでいるドラコさん。
あぁ、そっか……ドラコさんもお見舞いに来てくれたんだ……
「って、ここって村のど真ん中じゃないですか!?」
『大丈夫です~、隠蔽魔法を使用していますので~、この姿はクマさんにしか見えていませんよ~』
そう言っているドラコさんなんですけど……よく見るとですね、その舌がにょろんと伸びて、窓の隙間から室内にはいってきていて、そのまま僕の……
『こんなになっていたらお辛いでしょう? 私がすっきり……』
「あぁ、いえ!? もう、そのお心遣いですっきりですから、はいぃ」
『そうですかぁ? 遠慮しなくてもいいんですよ~、クマさんは私の大切な人ですから~……うふふ~』 」
そんな言葉を伝えてきながら、ドラコさんはその舌を引っ込めてくれました。
なんというか、不意打ちでこられたもんですから、相当色々やばかったです。
* * *
その後、僕はドラコさんと神の耳魔法で会話をかわしました。
その会話から、ドラコさんが本当に僕のことを心配してくれたのがひしひしと伝わってきました。
股間にアレをしたのも、ドラコさんなりに僕の体を気遣ってくれたからっていうのも分かったのですが……とりあえず、あれは今後は控えてもらうようにお願いしておきました。
「じゃあ、私はそろそろ帰りますけど~、お見舞いってことで回復魔法をかけてあげますね~」
ドラコさんの右手が光りました。
同時に僕の体も光っていきました。
その光りに包まれていると、本当に体が楽になった気がします。
この調子だと、一眠りしたら元通りになれそうです。
『じゃあクマさん、また狩りでご一緒いたしましょう~』
そう言って、ドラコさんは帰っていきました。
そんなドラコさんを、僕はベッドから上半身を起こした状態で見送りました。
その後、ドラコさんの回復魔法のおかげなのか、すごく眠くなった僕は、そのままベッドで横になり、深い眠りにつきました。
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