第十四話『満月の会話』
満月の夜を見上げる様に、二人は向かい合っていた。
その両者とも、金髪を携えたレジスタンスの一員。
もう一人は、その頭領。
片方は、頭領の幼なじみの男であろう。
「……リベン姉さん、本当にあいつを引き入れて良かったんですかい?」
憂いを込めた声と共に、横の男が頭領に呟く。
頭領は小さく愛想笑いをした。
「まぁ、喜んで……って言う訳じゃねぇな」
「じゃあ何で入れた?」
「勘だよ、勘。あいつはその身に確かな復讐心を持ってた、だからかな」
「確かに、そこら辺の奴には出来ないギラッギラした眼持ってたなぁ」
男の声に頷くと同時に、リベンは呟いた。
「……それに、あの銃だ」
「銃?……ああ、姉さんが取り上げるな、って言ったアレか?」
「そ。あの銃は五年前以上前から採用されてたくっっっっっっそ古臭え銃だ。
でも今は技術変化が起きて、全て馬鹿みてぇな威力してる銃に置き換わったろ?」
「まぁそうだが、なんか関係でも?」
リベンは再び笑った。
「アリアリだ。そもそもあの銃は塗装もされてない。
市場には一般に流通することのない出来立てホヤホヤの銃って訳。
しかもあの銃は埃被ってた。……そんな銃を、あたし達は前に見かけなかったか?」
「……あ」
男が目を開く。
その姿にまた、リベンは笑った。
「はっは。まぁそんな隠れてる訳じゃねぇし、誰か見つけると思ったがねぇ」
「盗みって訳じゃねぇか!?今すぐ取り上げた方がいいんじゃねぇか?」
「あたし達のモンでも無いが……とにかく、それは得策じゃねぇ」
焦り散らす男。
けれどリベンは冷静に、それを断った。
「エクセルってのは、二十年も前から始まった戦争に、最初っから最後まで参加して生きてた猛者なんだ」
「あ、ああ。頭も俺も十七ってこたぁ、生まれてもねぇ時だな」
リベンはその言葉に深く頷いた。
そこには、懐疑な表情も混ざっていた。
「……でもあいつはまだ、あたしらと同じような年齢に見える。
不老だとか馬鹿みてぇな話じゃなけりゃ、おかしい話だ。
だが───純シエル民には『まほう』とか言うのがあったらしいじゃんか。
それならば少し納得も行くし……その分警戒もしなきゃ行けない、と。そう言う事だ」
男はリベンの語りに、深く息を吐いた。
立った椅子に座り直した所を見るに、納得した様だ。
「でも頭、思うんだが───」
「ああ、分かってるよ。……あいつは、上手く使えば最大の武器になり得る
あたしらは、それを上手く見極めなきゃ行けねぇんだ。
───家族の、為にもな」
そしてリベンは席を立った。
「どこへ行く?リベン」
「……馬鹿はそこで静かにしてろ」
「はっ、そうか」
男を睨み付け、黙ったのを確認して小さく笑う。
そしてリベンは木柵の簡易な入り口の上に立ち、そこを通ろうとする人影に声をかけた。
「───なぁ、どこに行くつもりだ?エクセル第一王子?」
銃を腰に下げ、リベンは微笑を浮かべながら告げる。
煽りと威圧を込めた尋問である。
そんな中、彼は言った。
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