323ページ目…攻城戦?【1】
クズハ、ローラ、アリスをレスターさん達の護衛として、後方での待機…と言うか退避させると、僕とプリンは魔族領側の砦…の、門までやってきた。
ここまで来ると、僕の気配感知能力でも、相手の魔力の数や大きさもしっかりと感じ取れる。
つまり、先程までは漠然と大きな魔力と感じているだけであったが、門まで来た今では大小合わせて6つの反応を感じ取れる様になっていた。
ちなみに、大小合わせてと言ったが、この数には下級魔族であるレッサーデーモンの数は入っていない。
それは理由があり、レッサーデーモンみたいな雑魚ではなく、本当に脅威となるほどの反応で…と言う事だったりする。
そして、その反応の中でも明らかに上級魔族の物と思われる物が含まれていた訳である。
「さて、プリンさんや…どうしたら良いと思いますか?」
「そうですね…明らかに上級魔族だと思われる反応がありますから、この前みたいに、不意打ちで私達がやられる事が無い様に、今回は最初から全力で行くのが良いんじゃないかな~?と、思います。」
「と、言う事は…アレですか?」
「はい、アレです♪」
そう言って、にっこり微笑むプリン…そう、僕達の言うアレとは、プリンの〖融合〗と言うスキルを使い、僕とプリンが『文字通り』一つになる事だったりする。
そして、何故か、僕とプリンが一つになるとあり得ないほどの能力が向上する…だけでなく、容姿までも変化するのだ。…
その為、僕達はその変化を〖魔王化〗と呼んでいた。
だが、プリンの言う『この前』の出来事により、僕は自分自身の意思で〖魔王化〗する事が出来る様になった。
まぁ、他の人から見れば、それだけでも十分にチート過ぎる能力ではあるのだが…ただ、僕自身が〖魔王化〗出来る様になった事により、プリンとの〖融合〗に、もう一段階上の変化を手にする事が出来た…。
「んじゃ、いっちょやりますか…プリン!」
「はい、
「「〖魔神化〗ッ!!」」
僕とプリンの声がハモる。
その瞬間、プリンが〖融合〗を発動させ、僕とプリンの身体が別の物へと変化していく…。
そして、刹那の時間を経て、禍々しいオーラを纏った一人の姿があった…。
「さて、行くとしよう。」
〔はい、ご主人様♪索敵開始、各種防御魔法発動、更に迎撃用の触手展開…各種装備を無限庫インベントリより取り出す準備完了…いつでも行けます!〕
「うっしゃ!プリン、フォロー任せたぞ!」
そう言うと、俺は、目の前の砦の門を軽く押した。
『ドガンッ!ギギギギ…バタン!』
「…………。」
〔…もげましたね…。〕
そう…先ほども言ったが、俺は門を開ける為に軽く押しただけ…。
にも関わらず、開けようとした門は、普通に開くのではなく押した時の衝撃で
まぁ、そのまま倒れた所を見ると閂が刺さったままだったのだろう…とは思うが、よもやの自体に唖然とする。
いや、だって考えて欲しい…時代劇とかのドラマなんかで城を落とす時、丸太とかで門を叩き、門を開かせる場面なんかを見た事があると思う。
ああ言う場面では、閂が折れて門が開かれるのだ。
故に、僕は西部劇などの扉みたいに、門が『バーン!』と開く事を想像していた。
つまり、今回みたいに門自体が内側に倒れ込むなんて言うのを予想していなかったのだ。
「そ、そうだね…これは想定外だったな…って言うか、〖魔神化〗って、ここまで強いんだな…。」
〔そ、そうみたいですね…ビックリしました。〕
実は、この時は気が付いていなかったのだが、前回、〖魔神化〗した時に比べて、俺とプリン…二人のレベルが段違いに上がっていたのを考えていなかったのだ。
その為、普通の〖魔王化〗でさえ通常の10倍ほどまで跳ね上がるのに、更に上の〖魔神化〗になった時の上昇率を考えていなかった。
その為、俺達はあり得ないほどのパワーアップをしている事に気が付かなかったのだ。
「ま、まぁ…門は無事?開いたって事で…先に進もう…。」
〔そ、そうですね…ご主人様、力加減を間違えて床を踏み抜かない様に気を付けて下さいね?〕
「ぜ、善処します…。」
こうして、俺達の攻城戦…城じゃなく砦だけど…が、始まったのだった…。
☆ ★ ☆ ★ ☆
〔ご主人様、前方二時の方向、15m程の所にレッサーデーモンと思われる反応…数5です〕
「了解…〖スキル:
掛け声と共に放たれるのは紫色した一筋の光線…。
ただし、〖魔神化〗のスキルが、只の光線で済む筈はなく…柱の後ろに隠れていたレッサーデーモンと思われる物達は、その姿を見せる事もなく消滅する。
もっとも、消滅したのはレッサーデーモンだけではなく、隠れていた柱までも音もなく消滅している。
そう、このスキル…触れた物は音もなく消滅する攻撃だったのだ!
「ちょッ!?あいつ、こんなスキルを教えてきたのかよ!」
そう…今回使ったスキルは俺の中にいるもう一人の俺…魔王と呼ばれた
しかも、隠れた敵に対処しようとした瞬間、脳裏に閃いた所を見ると、『魔王・
そして、そんな威力に俺が驚いた事が面白かったのか、何となくではあるが、もう一人の俺が笑った様な気がした。
「まったく…頼むから、教えるなら、もっと安全な技スキルか魔法を教えてくれよ…。」
〔あ~…たぶん、無理かと思われます…。〕
あいつの代わりにプリンが答える…まぁ、〖融合〗している限り、プリンにも同じ感覚があるから『魔王・零』の感情を代弁したのだろう。
まったく、厄介な力だ…とは言え、この力のお陰で『あの時』、プリンを助ける事が出来たのは僥倖だと言えよう。
そして…今は、この力のお陰で、上級魔族すら倒す攻撃も出来る様になったのだから、文句を言うのはお門違いと言う事か…。
〔前方0時、敵影1…魔力の大きさから中級魔族か上級魔族かと思われます。〕
「了解!〖スキル:魔王剣〗…を、双剣にて発動ッ!!」
次の瞬間、〖魔神化〗により、闘気剣の
ただ、闘気剣みたいに赤や青の光剣ではなく、その剣は黒一色で禍々しいオーラを携えた闇の剣だったりする。
まさしく、外見だけで言えば、〖魔王剣〗と呼ぶのが相応しい剣だったりする。
「喰らえッ!!」
『ザシュッ…ドパンッ!』
俺の叫び声と共に、振るわれる2本の剣…次の瞬間、中級魔族か上級魔族か分からなかった…が、そのまま霧散する。
とはいえ、魔力の強さは高めではある物の、今までの経験から強さから判断するに、先程の魔族は、中級魔族だと思われた。
何故なら、そもそも上級魔族は精神体な為、精神にダメージを与える攻撃しか効かず、物理攻撃だけでは攻撃そのものが無効化されてしまうのだ。
もっとも、敵を斬り裂く時に気合いを入れれば、もしかしたら
とは言え、まだまだ力を持つ物の反応はある。
故に、俺達は一番強い反応を持つ物の所へと走っていくのだった…。
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