176ページ目…聖王都への旅路【7】
途中、休憩を挿みながらゴーレム馬車を走らせる事、数時間…とうとう日が沈んでしまった。
そして、見渡す限り明かりはない…つまり、見る範囲には村や町どころか、民家すらないと言う事である。
「これ以上暗くなると移動するのは危ない…今日はここまでにしよう。」
僕はそう言うと、ゴーレム馬車を止め野営の準備に入る。
とは言え、大した事は何もしない。
そもそも、この場車の荷台には十分なスペースがある為、そのまま寝る事が可能なのだ。
もっとも、荷台に3人も寝たら、いっぱいいっぱいになるのは仕方がない事ではあるのだが…。
「そ、そう言えば…ご主人様、見張りの順番はどうされますか?」
野宿が決定した事により、魔物や盗賊に襲われな様にする為の見張りが必要になる。
だけど、僕達がその心配をする必要は何もなかったりする。
「あぁ、見張りならちゃんと居るから安心して良いよ。」
「ご主人様…どう言う事ですか?」
今度は、プリンが首を傾げて聞いてくる。
「いや、それに関しては、
と、僕は言って笑ったのだった…。
◆◇◆◇◆◇◆
「んじゃ、頼んだよ。」
僕の呼び掛けに無言で敬礼をすると、所定の位置に移動し索敵を始める。
これこそが僕が言った騎士達だった。
何て事はない…今まで馬車を引いてた鎧を着ていた馬型のゴーレム2体。
実は、馬型のゴーレムを完成させた後、更に改造と失敗による破損した部分の修理を随時行い戦闘型へと進化させていた。
そればかりか、今では頼もしい仲間となった獅子型の
その3体により、周囲の警戒は完璧な物となる。
とは言え、レオはともかくとして、只の馬型ゴーレムでは護衛では心許ない。
だけど、僕が言ったのは騎士である…つまり只の馬では無いと言う事だ。
つまり、何が言いたいのかと言うと…僕の『
そして、変形し終わった時…そこには2体の鎧を着た騎士が立っていた。
左肩に馬の顔を模したショルダーカバーを装備した騎士…
それとは逆に、右肩に馬の顔を模したショルダーカバーを装備した騎士…
ちなみに、余談ではあるが僕の馬車は二頭立ての馬車で、エルが左側を、アールが右側を牽く様になっている。
「まぁ、何だ…自分で作っておきながらアレだが、変な物を見てしまった…。」
とは言え、流石に鉄だけで作ったら強度が足りないので、貴重なオリハルコンとダンジョンの壁も素材として少量混ぜ込んであるので、このゴーレムを買うとしたら金額だけで言えば、とんでもない金額になってしまうのではないだろうか?
まぁ、何はともあれ、これで周囲の警戒は安心出来る。
あと、残った問題は、どうやって寝るか…だな。
「ご主人様は、私の横で寝るんですから、クズハさんは端っこの方で寝なさい!」
「そ、そんな…プリン様…いつも、ご主人様を独り占めしているのですから、今日は私の番にして欲しいのですが…。」
「いいえ、誰が何と言おうと私のご主人様なんですから絶対に譲りません!」
「ダ、ダメです…ご主人様は私のご主人さまでもあるんですから、私だって一緒に寝たいです!」
二人の言い争う声が外まで聞こえてくる…ったく、誰かどうにかしてくれ…と思う物の、ここには僕達三人しかいないので、どうにかするにしても僕しかいない訳で…。
僕は恥ずかしいのを我慢して、早くも最終手段を使う事にした。
「って事で、まだまだ先は長いんだから、早く寝るぞ!」
「「はい、ご主人様♪」」
そう言って、両脇に抱える様にして、荷台に倒れ込むと、両隣から同じタイミングでハモる様に聞こえた二つの声に、小さな溜息を付き〖
◆◇◆◇◆◇◆
翌朝、寝不足なまま目が冷めた僕は、逃げる様に馬車の荷台から抜け出し、朝食の準備を済ませると、テーブルに倒れ込む様にして再び寝てしまった。
え?何があったかって?
二人して抱き付いてくるもんだから興奮してしまい…かと言って臆病者の僕には二人に手を出す事も出来ず、ひたすら耐えましたとも…。
結果、碌に寝れず、お陰で寝不足で大変なのですよ…そんな訳で、次の村だか町だかに付いたら、宿を取って、こんな仮眠などではなく、しっかりと寝ようと思う。
もしくは、〖
とりあえず…今は、眠いです。
「結局、ご主人様は私達に手を出さなかったわね…。」
「で、ですが…私達を起こさない様に必死に耐えてましたから…。」
「まぁ、それがご主人様の良い所なんだけどね…。」
と、幻聴が聞こえた気がしたが、おそらく夢だったのだろう…グ~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます