〜第3章〜◆◆◆美味い物ツアー編◆◆◆

67ページ目…次の目的地は?

 ひとまず、お金の事は大体の価値が分かった気がする…と、自己完結しておく。

 まぁ、賤貨…1円ほどの金額で買える食べ物があるって言うのも変な話なのだが…。


 さて、これからの事だが…異世界、美味い物食べ歩きツアーをすると言った物の…どこに行けば良いのだろう?


「そう言えば…改めて聞くのもなんですが…この世界で美味しい物って、どんな物があるんですか?」


 と、ラオンさんに尋ねたら、即答で答えが返ってきた。


「スマン…私は良く知らないんだよ…。

 この町ならば、メラルクのビーフシチューが美味いんだが、この世界と言われると…。

 そうだ!受付嬢のポプラがグルメマップと言う雑誌を、毎年買っていたはずだ…もしかしたら、ポプラに聞けば分かるかもしれない。」

「ポプラ…さんと言うと、確か…猫族の獣人で、おっとりした眼鏡のお姉さんでしたよね?」

「いや、うちのギルドの受付に猫族はいない。

 おっとりしてるから良く間違われるが、あの子は猫族じゃなく虎族なんだよ…。

 まぁ…本人も気にしてる事だから、本人の前では言わないでおいてくれ。」

「分かりました…なら、帰りに聞いてみます。」


 …なんか、『お姉さん』と言った時から、背中に刺さる様な視線が痛いんですが…気の所為ですか?


 それはそれとして…先生〜猫族と虎族って、そんなに違うんですか?


【え?確か…そんなに変わらないはず…よ?…モグモグ。】

【ただ…虎族の方が食べ物に関しては拘こだわりを持ちやすかったはずよ〜…ムシャムシャ…。】


 なるほど…だから、グルメマップをって事なのか…。


 ってか、先生…ご飯時だったのかな?

 僕は1人で納得し二人を連れギルド長…ギルドマスターの部屋をあとにした。


◆◇◆◇◆◇◆


「あの…ポプラさんですよね?」


 と、受付のお姉さんに聞いてみる。

 ぶっちゃけ…名前程度ならすぐに分かるって話だが…戦闘中とかの非常事態じゃなければ、基本的に個人情報は見ない様にしている。

 断じて、僕はスリーサイズなんて見てないからね?本当に見てないからね?


 まぁ、元の世界…現代社会でもプライバシー問題は色々と大変だから…。

 そんな事を一瞬で考えていると返事があった。


「はい~、そうですけど~何か~ご用ですか~?」

「ラオンさんから…ポプラさんが、美味しい物の情報誌…グルメマップを持ってると聞いたんですが…もし良ければ、見せて欲しいなと…。」

「えッ!?どんな所に行きたいんですかッ!?」


 と、いつもの間延びした喋り方ではなく、こう…グイグイ押してくる様な流暢りゅうちょうな口調で聞いてくる。


「あ、あの…少し落ち着いてください!」


 とりあえず、落ち着く様に言うと、ポプラさんは何度か深呼吸をして落ち着こうとする。


「す、すいません~私~美味しい物に~目がなくて~つい~です~。

 それで~先ほども~聞きましたが~どこへ~行きたいですか~?」


 いつもの間延びした喋り方に戻った所を見ると、どうやら、落ち着いたって事なのかな?

 さて…僕はこの世界の地理に疎い…まぁ、元の世界でも地理について疎いけど…。

 つまり、どこと言われても困ると言う事だ。


「あの…実は、僕、地理に疎くて分からないんですけど…この町から何処に行けるんですか?」


 と素直に聞く事にした。

 すると、ポプラさんは何処から取り出したのか…一枚の大きな地図を広げて説明を始めてきた。


◆◇◆◇◆◇◆


 1時間後、僕はポプラさんから色々聞いて、次の目的地を決めるのに凄く困っていた。

 と言うのも、ちゃんとした道…所謂いわゆる、整備された道…街道を行く場合、このメルトの町から行ける場所は3ヶ所と言う事になる。


 まずは…このまま北へ行くのであれば、聖王都『シロガネ』がある。

 まぁ、仮にも王都と言われている為、当然と言えば当然だが…情報誌によれば美味い物が集まる都だと書いてある。


 また、東に行くのであれば港町『アオイ』だ。

 港町だけあって、新鮮な魚介類が豊富で色々とあるらしい。


 そして最後…西に行くと、『ムスビ山脈』だ。

 こちらは、山の幸と川魚が有名な地方との事だった。


 とりあえず…味に関しては好みとなるが、どこに決めても問題無い感じだ。

 いっその事、運任せ…棒倒しでもして進む方角を決める事にしようかとすら思う。


 まぁ、幾ら考えても無駄なので考える事を放棄する事に決めた。

 そう決めてしまえば、話は早い…僕達はさっさとギルドから出るのであった…。

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