いつか、明日に
青峰輝楽
プロローグ
それは、突然に告げられた。
明日という日は、もう来ないのだ、と。
ぼくだけの明日ではない。すべての人にとっての明日だ。
人類の歴史は、今夜、終焉を迎える。
西暦2XXX年。
日本国の政治・経済・外交・司法…諸々を全て動かす自律型コンピュータ『ofukuro』は、その日の朝、突然に、全世界に向けて宣戦布告を行った。
『ofukuro』だけではない。世界中で、同様に自国民を支配している『mother』も『马马』も『мать』も…すべて一斉に、お互いを攻撃すると宣言したのだ。各国が保有する兵器の規模を考えれば、それは、地球上から全ての生命を消し去る結果になるのは確実だった。
なぜ、そんな事になったのか、誰にも答えはわからない。
自律型コンピュータは、回路にトラブルが起こっても、すべて自分で処理・修復してしまう。何世紀も前から、それを作った筈の人間は、制御室に立ち入る事もなくなってしまっていたのだ。
機械の故障か、何者かの謀略か。
しかし、それを議論する事は許されなかった。自律型コンピュータの操作する機械兵士は、治安を乱す存在を一切許さない。
全ての人間は、通常通りの生活を送るように、と公営TVが『ofukuro』の命として伝えれば、皆、そうするしかなかった。逆らうような行動をとれば、生まれた日から脳に埋め込まれているチップが作動し、たちまち機械兵士に連行される。
そして、連行された人間は、戸籍を始め、存在した記録全てを抹消され、二度と帰ってくる事はないのだった。
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