第22話 ……いいよ(おまけ)


ある日の事務所

西野さんから次のステージが決まったと聞いた。場所は自宅から割と近い場所にあるショッピングモール。これは知り合いがくるかもな。

事務所のHPには次回のステージ予定がでかでかと書いてあった。

ステージでの歌の披露は2回目だけど、CDショップには毎週のように足を運んでいる。もちろん販促の為だ。

店頭で歌を歌ったり、CDを手売りしたりと地道な活動を行っている。ファンの子もちらほら見かけるようになった。何故ファンと分かったか?ファンレターを手渡されるからね。

事務所にいた彩奈に次のステージの話をした。

「学校からわりと近いから、誰か知ってる人に会うかな」

「別にいいんじゃないのかしら。いつかは知れる事だしね。それより次の曲決まったんでしょ?私、楽しみだな」

楽しみにしてくれるのか。今はまだ2曲しかないからね、これからどんどん増やさなきゃ。

「かっこいい千秋がまた見れる。はぁ、みんなに自慢したい。私の彼はこんなにも素敵なんだって」

「ありがとう。カッコいい姿を見せれるように頑張るから」

自分の為にも彩奈の為にも気合い入れて頑張るぞ。



「ねぇ、千秋。あなた今週末は仕事入ってなかったよね」

「入ってないよ。西野さんがゆっくりしたらって言ってくれた」

彩奈は2枚のチケットを取り出した。

「私がよく仕事を請け負ってる事務所の社長から貰ったの。箱根温泉の宿泊券で空きがあればいつでも泊まれるって。週末行ってみない?」

恥ずかしそうにキュッと手を握られた。嬉しいけど2人で箱根なんて正気が保てないだろ。

「彩奈と2人で?もちろん嬉しいよ。嬉しいけどさ、俺も男だからね。温泉上がりの彩奈をみたら襲っちゃうよ」

俯く彩奈の顔は少し赤くなってる。

「……いいよ」

え?ええっ?


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