二人の軌跡
@250mg
第1話 出会い
桜の花が舞い散る4月。
今日は高校生活2年目の始業式だ。
1年生の高校生活は可もなく不可もなく。大きなイベントや事件もなく、非常にのんびりとしたものだった。
正門をくぐり昇降口前の看板に新しいクラスが張り出されている。小・中・高と今まで何回も体験してきてるがやっぱりドキドキするな。うん、この緊張感は嫌いじゃない。
2年生のクラス掲示から自分の名前を探す。
……上原千秋(うえはらちあき)
……上原千秋
……
…
あった。
4クラス中の3組か。仲のよかった人はいるかな。
お、敏彦も一緒のクラスか。恵もいる。安西さんもか。
岡田敏彦(おかだとしひこ)は1年の時に同じクラスで仲のよかった友人だ。新田恵(にっためぐみ)は小学校4年間、中学校3年間同じクラスだった。高校生になってからも挨拶や雑談をする仲である。
そして安西彩奈(あんざいあやな)さん。彼女はこの学校でも非常に有名人である。もちろんいい意味で。面識はない。
めちゃくちゃ美人でグラマラス。黒髪ロングのさらさらヘアーで背は高め。両手で支えないとこぼれそうなおっぱい。腰はくびれ、お尻は真ん丸。うん、あれはいいものだ。おまけに成績優秀でもある。
そんな完璧な安西さんは、モデルのお仕事をしている。人気モデルで雑誌やCMなんかにも出ているスパー女子高生。
安西さんと同じクラスなのは嬉しいな。まぁ、彼女のガードは鉄壁で、親しい男子生徒は一人もいないのが有名だけど。毎日眺めることができるので満足しなくちゃ。
今日は始業式なので授業はない。クラスで担任の話を聞き、新しい教科書などをもらって初日は終わった。
「千秋、また同じクラスだな。よろしく頼む」
「俺も仲のいい友達がクラスにいてよかった。よろしくな」
「安西ちゃんと同じクラスでラッキーだな。俺、生きててよかった。マジ美人でマジ可愛い。仲良くなりたいぜ」
「無理無理。だって彼女は仲のいい女子としか話さないって有名じゃないか。アタックしても砕け散るだけだよ。見てるだけで我慢しときな」
敏彦とそんな話をしながら帰り支度をしていた。
「千秋~!また一緒のクラスだね~。仲良くしようね」
声を掛けられ振り返ると新田恵が立っていた。
「おう、恵も久しぶり。よろしくな」
安西さんのせいで話題になりにくいが、恵も非常に可愛い女の子だ。肩まで伸びた明るい髪を揺らし、小柄な体躯に巨乳。中学時代は彼女のファンも多かった。仲の良かった俺は、男共に随分と嫉妬されたものだ。
「千秋は変わんないね。でも前よりカッコよくなったよ。私が男だったら力づくで奪いにいくよ!」
男に力づくで奪われたくないぞ。気持ち悪い事言うな。
「はいはい、ありがとさん。俺も女だったら恵に惚れてたかも」
「そうなの?男でも惚れていいんだよ?おっぱい触る?」
恵は自分の胸を下から持ち上げて突き出す。いいの?本気にしちゃうよ?
恵の軽口は昔からである。他の男とはこんなに口調ではないが、ずっと同じクラスだった俺にはこんな態度だ。
そして他の男共の怨嗟のこもった視線が痛い。
そんな視線を全身に心地よく浴びる俺は、恵の後ろに立っている女性に気づく。
「千秋、安西ちゃんだよ。安西彩奈ちゃん。かわいいでしょー。1年の時のクラスメイトで仲良しの子。私のだからあげないよ」
恵が安西さんに抱き着きながら俺に自慢する。あー、おっきいお胸とお胸がぶつかりあって……眼福です。
「安西さん、俺は恵と友人の上原千秋です。よろしくね」
「安西彩奈です。よろしくお願いします」
そっけなく言われた。
「安西ちゃん、千秋は小学校からずっと仲良しなの。よろしくしてやってね」
男に塩対応で有名な安西さんも、恵に紹介されたせいか多少マイルドなんだろう。だって他の男子に声かけられても目も合わせないし。
恵と安西さんが俺と話をしているのをみた男共が、自分をアピールしに群がってきたので、俺はその輪からそっと抜け出して帰った。
帰り際にみた恵は助けてと目で訴えてるが、そっと視線をそらしてあげた。安西さんは露骨に嫌な顔での塩対応。
恵に頑張れとサインを送り俺は帰宅した。
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