第4話 夜くる悪鬼

 誰かの呼ぶ声を聞いたような気がして、虎之介は目を覚ました。

 彼はまだ闇の中にいた。夜明けには時間がありそうだった。

 しかし戸のすきまから、わずかに灯りが漏れている。不寝番のものだろう。

 大きな音を立てると隣室にいる彼らが飛び出してきそうで、夜具のなかにおとなしくしていた。虫の音も聞こえない。

 静かだった。

 (誰も、呼んではいないな)

 

 さっきまで彼の見ていた夢では、どこかの見知らぬ廃墟をさまよっていた。過去はにぎやかだったのに、こんなにさびれてしまった。彼を案内する誰かがそう言っていた気もするが、目覚めたとたん内容は急速に記憶から薄れはじめている。

 ぼんやりあたりを見回す。まだ、夢と同じく見知らぬところにいるように感じるのは、ここが生まれてはじめて泊まった建物なので仕方ない。目が慣れてくると、がらんとして天井の高い部屋なのが分かる。

 

 今日は午後から真喜の、そしていまや彼にとっても先祖である藩主一族の墓参にきていて、日が暮れると菩提寺の一角に設けられた離れへと入った。つまりこの場所だ。

 ここは前の藩主、すなわち真喜の父親によって建てられた施設であり、まだそう古くはない。襖や調度品は、彼の一番後に奥に入れた側室の好みだったという。装飾は最低限に留められ、すっきりしている。花鳥画などもない。

 きりっとした顔立ちをし、話し方もてきぱきしていたと聞く側室は、すでに髪をおろし城を出て、この寺とは別の尼寺に移ってしまった。

 京の有名な邸宅を模したという離れの間取りについては、住職に写しをもらえるよう頼んである。真喜に送るためだった。あとはできる限り覚えて帰ろう。


 とにかくもう一度寝ようと、目をつむる。

 しかし、眠れなかった。

 入れられた部屋が広すぎて落ち着かないのか、慣れない環境で気が立っているのか、目を閉じてもふたたび眠気が襲ってこない。

 思いついて、半身を夜具から出し、いつも持ち歩いている文箱を手に取った。

 もれてくる灯りにすかして読んでみる。真喜からの手紙だった。

 文字はぼんやりしか見えないが、自然と笑みがこぼれてくる。

 大胆に描かれた絵ばかりであるからだ。

 真喜は、虎之介が江戸を離れて以降、ほとんど毎日のように、宿場にまで追いかけて文を送ってよこしてきた。

 夫の安否を繊細に気遣うほかは、大半が彼女の見聞きした話の報告であった。

 庭先に飛来した変わった鳥の様子から、どこかで耳にした幕府老中の噂話までさまざまだった。

 とくに脈絡はないが、彼女が耳元にいて話かけてくるようであり、楽しい。


 文のやりとりをはじめた当初は、水茎の跡も鮮やかな文が届き、典雅さに虎之介を感心させたのに、数を重ねるにつれ絵図を足して説明することが増えた。

 そのうち、絵画に字が付け足されているようなことになった。字では意を尽くさず、と文中にあった。このごろは彩色までされている。

 絵師について花鳥画を学んでいるのは知っていたが、彼女の絵はたおやかというより実に真喜らしい大胆な描きぶりで、大津絵も顔負けである。それを見るたび、真喜の細い体の中に燃えるような生命がやどっているのを感じる。


 妻は、虎之介からの報告もせがんだ。国元のあらゆることを知りたいという。

「死ぬまでに一度、国元を見たいものです」

 彼女は繰り返し虎之介にそう話した。

「他国では、そば仕えなら国と江戸をたびたび行き来する者がおるようです。わたくし、ひとたび出家し、その後にそばめになるというのは、いかがでしょう」

 ある日、彼女は真面目な顔をしていい放った。虎之介も、部屋にいた老女も、目を白黒させるばかりだった。

 出立の近づいた朝には、考えごとをしている夫に突然、

「長持ちに潜めば、殿と一緒に国元に参れるのではございませぬか。幸い、私は干物のように身が薄く運ぶにさほど力はいりませぬ」と言った。

 思わず妻の顔を見た。彼女もまた持ち前の大きな眼で、夫を見返した。しばし見合った末、にやっと笑った。

 まるで下々の者のような行為に面食らうともに、虎之介は、理解した。

(かなり、本気だ)

 

 とはいえ、大名の子女として生まれた彼女には、好奇心の向くまま世間を見て回ることなど不可能である。だから、できるかぎりその眼になりたいと、虎之介は考えていた。

 年齢で言えば妻は虎之介よりもさらに若い。見た目はもっとだった。

 首は細く肉付きは薄く、貫禄のある侍女たちに囲まれている姿を知らない者が見れば、ひとり子供が混じっていると思うかもしれない。

 だが、見た目と頭の中身とは別だと虎之介は思っている。

 妻は誰よりも聡い。彼女の内面にたびたび触れる機会を得て、そう実感している。

 豊かな感情の持ち主だがそれに溺れず、観察を積み重ねて結論を導くことができる。世が世なら名軍師になったのでは思ったりもする。

 むろん、大名の女系家族が江戸に集まっている理由を理解できないほど、愚かではない。

 それでも発想がいきなり飛躍するのが、いかにも彼女らしかった。

 

 真喜は、父親である前藩主が、只ひとり正室との間に成した子だった。

 そして虎之介は当初、真喜の婿として分知を受けて、どこかに別家を立てる予定だった。腹違いの兄たちの相次ぐ急死によって、婿が国を継ぐことになってしまったが、

「ただの婿のままだったら、どうだったろう」 

 つい、口から言葉がもれ出た。少なくとも、これほど目まぐるしくはなかっただろうし、真喜と離れ離れになる羽目にもならなかったかもしれない。


「お呼びでございましょうか」

 不寝番から声がかかった。仮眠中かと思ったのに、起きていた。

「いや、すまぬ。独り言だ」

「は。おやすみなさいませ」

 悪いことをした気になり、手紙を文箱に戻した。

 しかし、結局また妻のことを思った。彼女のことを考えると、胸の中に小さくとも陽のように暖かい灯りがともったような感じがする。

 はずかしくて誰にも言ったことはないけれど、二人が出会って以来、運命とか前世の因縁とか人の意思の及ばない力について考えてしまう。

(これは、妄念なんだろうか。いや、そんなことはない)

 少なくとも虎之介にとっては、城持ち大名になったのより、真喜姫に会ってその夫になったほうが幸運だった。比較の対象になどなりはしない。


 れっきとした大名の娘に生まれたとなると、幼児のうちに婚約が整うのも珍しくはない。戦国の世なら女児は重要な外交兵器であった。太平の世であればそこまでは行かないけれども、当人の意思などあまり斟酌してはもらえない。

 しかし似た年齢、似た家格の姫君に婚約話がまとまりはじめても、真喜に耳寄りな話はひとつもなかった。

 後見人である祖母も、彼女自身も特に急く気はなかったので、高田にある江戸屋敷のひとつに機嫌よく暮らしていた。理由に、彼女の心身が一般的でないとの事情があった。彼女は思春期に差し掛かっても、子供のような痩せっぽちの身体をし、同様に心も子供のままと思われていた。

 ただし、それは大名の子女なら驚くようなことではない。

 真喜の母親からしてそうだった。彼女は母親似であり、容姿はもとより、幼いうちから余人が首をひねるようなふしぎな趣味志向をいくつも有していた点も、同じである。

 やや違ったのは、彼女の場合、十代に入っても奇癖はなくならず、それどころかますます加速して、お付きの衆のうちでもとりわけ年配の男性たちを閉口させた。

 

 幾日も平気で口をきかず、突如部屋に篭ってひたすら写経のように絵地図を描き続ける。かと思えば突然、興味を抱いた場所への外出を目論んだり、そこに詳しい人物から熱心に話を聞き続けたりする。お姫様にしては独自的で能動的だった。

 また、彼女は人以外の存在、虫や鳥や動物や物の怪や妖怪を好んだ。怪談も大好きだった。

 とはいえ、広く外部から隔絶された大名・大身旗本の屋敷に怪談はつきものであり、そこに勤める女たちも怪談には慣れ親しんでいるものだ。

 ただ、侍女たちがきゃあきゃあ怖がることによって怪談を楽しむのに比べ、真喜はその真偽や現象の実態を、自らの目でたしかめようとした。

 

 ある年のことだった。

 手狭になった江戸下屋敷についての対策を検討していた鵠山藩は、近所にあって財政に問題を抱えていた某藩江戸屋敷との交換に成功した。

 真喜もまた、ごく短い距離の引越しを経験した。

 そして好奇心の強い彼女は、さっそく屋敷の奥に使われていなかった部屋を発見し、調べた。そこは過去、襖に血のりがべったりついていたなどの気味の悪い怪現象が頻発し、封じてあったいわく付きの部屋であった。

 某藩の使用人の中には、怪異を実見し恐怖のあまり職を辞した者さえいた。真喜が見逃すはずはなかった。  

 彼女に仕える女たちのほとんどは逃げ腰だったが、真喜は気にせず納得するまで念入りに調べた。一度など、この部屋に入ったはずの真喜の姿が消えるように失せたとの騒動があったが、当人は何事もなかったかのようにふたたび姿を見せると、

「使わないのなら、この部屋をもらいます」と宣言した。

 よほど落ち着くのか、そのうちこの部屋へ入り浸るようになった。


 部屋での彼女は、これまで見聞きした地域を、絵地図によって再現するのに熱中した。それに疲れると今度は自作を含む人形たちを使い空想の世界を立体的に構築した。

 複数の国が互いに争ったり融和したり、武家の子女の読む雅な話よりも、おそらく史書や講談の影響下にあると思われる骨太な物語であったが、真喜は飽くことなく綴り続けた。ほかの子供っぽいお姫様のように、世話役の女中たちが介入する余地はなかった。

 

 ここまでの放置には前出の祖母、明信院の存在が大きい。院は真喜のとっぴな行動に驚きはしても一切とがめだてせず、むしろけしかけた。家中でもっとも尊崇されている人物に異論を立てられるはずもなく、真喜の行動は大枠で是認された。

 だが真喜の兄たち、とりわけ国元で惨死した末の兄である克乃進は生前、これらの優遇を含めて妹を嫌った。

「籠の鳥なら籠の鳥らしく、番人に迷惑をかけるな」というのだった。おのれの屈折を、置かれた環境への焦りを、妹にぶつけたかったのかもしれない。彼は決して真喜の個性など認めなかった。一時、藩主になりかかった時など、妹は生まれに甘えすぎて家臣に負担を強いる不届き者である、などともっともらしい理由を挙げて将来の処遇見直しさえ口にしていた。

 その短い生涯のうち、ついに克乃進は妹と親しく語り合う経験を持たなかった。彼に仕えた者たちにもその気分は残り、兄の無残な死を妹が真剣に悼んだことは、墓石にさえ伝えられなかった。


 不仲の兄が生前やらかしたことは他にもあった。彼が悪意を込めて妹の日常を吹聴した結果、変人ぶりが大袈裟に伝わって父である藩主が内々に進めていた婚約話が流れたりした。また、真喜を他国への嫁入りに適しないとする見方は鵠山側にも早くからあり、いつしか方針は婿取りに切り替わった。

 しかし、武家社会というのも案外狭いのか、噂はすぐに広まってしまい、つりあいの取れそうな家の態度が微妙に変わった。それに当時、真喜の兄たちはまだ生きていた。入り婿しても藩主の座はもらえない。噂のせいか、話を進めようとした中には、莫大な持参金を要求された例もあったという。藩の重職たち、とりわけ直接の責任者となった江戸家老は窮した。

 そこで明信院が立ち上がった。


 彼女は即座に虎之介を推挙、周辺の根回しに入ると同時に彼の訪問日程まで決めた。

 もともと院の胸中では二人の縁組は既定路線であり時機をはかっていただけらしく、その後の院の行動になんら迷いはなかった。そして、訪問は一度では終わらなかった。

 殿様や姫様と呼ばれる人種が、互いの顔を知らず婚姻するのは珍しくもない。だが明信院は、真喜が将来の夫に自然と馴染むよう心を砕いた。それは虎之介に対しても同様だった。院にとって代替候補は存在しなかったからだ。


 奇異に思いつつ虎之介が繰り返し屋敷を訪ねるうち、その人柄に心を許したのか、真喜は例の自作の絵地図などを見せてくれるようになった。

 そこには、彼女の見聞きした江戸の街が、びっしりと書き込まれていた。虎之介は面食らいながらその地図をじっくり見て、細かく正確なだけでなく余白に彼女独自の街づくりへの意見や検討案があるのを褒め、さらに妖の所在とその背景まで書き加えてあるのを面白がった。そして真喜姫の内部では現世と妖の世界は連続しているのだな、と感心した。地図には国元のそれもあって、おばけ亀の出るという池はそれが大書してあった。

 その日彼女は、自作の地図については言葉少なに終わった。だが、次に会った時には、自ら地図について話しはじめ、それ以外にもさまざまなことを彼に問い、語り合った。秘密の部屋と人形たちも、解説付きで公開した。


 そのうち、衣装には無頓着だった真喜が年ごろらしい姿で虎之介を迎えるようになり、互いに会う日を指折り数えるようになった。   

 ある日の屋敷の庭では、体格のいい虎之介と、やせっぽちで目ばかり大きい真喜が、町もの男女のようにせわしなく語り合う姿があって、垣間見たお付きの老女が仰天した。

 その老女からはのち、虎之介に対し、

「おかげで姫様の食が進まれるようになり」と感謝の言葉があった。好き嫌いを言わない虎之介の健啖ぶりを見て、「思うところがおありの様子」だったそうだった。


 たしかにいまの妻は、身こそ薄いままでも、はじめて会ったときより三、四寸は丈が伸びたように思える。当人は、

「殿に合わせました」とすましている。

 ともあれ、虎之介が婿となるのは既定路線となった。

 小藩の冷や飯食いを婿にするにあたっては、藩主とその周辺、あるいは兄とそのシンパによる「聞いてないぞ」に類する小さな抵抗は一通りあった。しかしその最中に肝心の藩主が奇病を発して倒れうやむやとなった。そのうち義兄たちも次々倒れ、虎之介は婿ではなく、次期藩主として迎えられた。


 暗闇に慣れてきた目で、妻の描き送ってきた手紙を顔の前に広げ、見た。

 中央に描かれたのは、不動明王らしい。先日、江戸において墓参の際に立ち寄った先で目にした像を、写したもののようだ。夫の災難避けのつもりである。

 闇の中で虎之介は微笑んだ。

 彼にとって真喜は、これまでに会ったどの女性とも違っていて、誰のようだとも分類できず、真喜は真喜、としかいいようがなかった。


 手紙を大切にたたみなおして、虎之介は目を閉じた。

 冗談としか思えないことを真剣に思いつき、検討する。生まれた場所のせいもあって、そのほとんどは現実とはならないが、

「碁を打つようなものです」と、本人はいたって平気だった。「頭のコリをほぐすのです」

 付き合いの薄い人には理解しにくい彼女の持ち前の鋭さ、賢さ。これをどうにか受け入れ、矯めずにのびのびと過ごさせるのが、夫の勤めだと虎之介は婚礼に際して考えた。

 しかし、国元に戻って城主を務めねばならない現状では、それも容易には果たせそうにない。手紙だけはマメに書こうと思う。

 そういえば、夢うつつで聞いた呼び声は、

(真喜よりもっと歳上のようだった。母上でもない。どこの女の声かな……)

 いや、こうはしていられない。早く休まねば。

 明日は、午前の用をすませたら、領内に居を構える御一門の筆頭、真喜の曾祖父の末弟にあたる雪花斎を訪ねなければならない。彼は酒好き噂好きの老人とされ、江戸留守居役の長島は、

「生干しの風流人でございますな」と評した。ふりだけで中身はちっとも枯れていないという意味のようだ。

悟ったような人間は、どうも苦手である。また気疲れしそうだった。

(眠ろう、眠ろう)そう自分につぶやく。

 

 ようやくうとうとしはじめた時、ふいに感じるものがあって、また目が覚めた。

 昼間の出来事のために気が立っているのではない。まさにいま、ここで、

(誰かに見られている。城下で一度感じたのと似ている)

 寝所のなかで息を鎮め、意識を外に向けた。

 そう考えると視線のような、悪意のような、なにかの存在を感じる。

(どこからだろう)

 心気を落ち着け、感覚を研ぎ澄ませて出どころを探った。

 

 不寝番のいる部屋からではなく、その反対側になにかがわだかまっているようだ。気のせいかもしれないが、肌寒くなってきた。

 眠らなければ。眠れ。

 自分で思ったのか、そういわれているのか、急に眠気がやってきた。

たしかに相手はいる。それも、(人ではないやもしれぬ)


 学問はともかく、武芸や相撲の稽古には手を抜かずはげんできた虎之介は、丹田に力をいれ、その後あえて徐々に全身の力を抜いて行った。戦闘の前の姿勢だ。

 しばらく、ひりつくような怪しい感覚に身を任せる。

 そして眠りに落ちようとする瞬間、思いきって目を開け、文箱に飛びついて中の守り刀に手を触れた。

 物の怪を追い払うという三池典太は、刀役が大切に城に保管しており、ここへは持ち込んでいない。しかし吉備津丸は今夜もある。この守り刀は、真喜が母親から譲られたもので、ずっと昔に鬼退治に用いた脇差を摩り上げ小さくしたとの話が伝わっている。刃は短いが幅があり、包丁のようだった。

 袋ごと掴むと、橋の上でそうだったように、ほんのり温かくなっていた。

 部屋の隅に黒々としたなにかが凝集していく。いや、気のせいかもしれない。不寝番に声をかけるのが、ためらわれてならない。

 気のせいかもしれない。気のせいだ。

 そうだよな、気のせいだと心の声に応えつつ、紐を外して袋から刀を外に出す。柄を握りしめた。

「うしろ」

 彼を眠らせようとしたのとは違う声がして、とっさに虎之介は立ち上がって振り返り、抜刀した。

 雷が落ちたような白光が部屋に満ちた。

 獣のような咆哮が響いて、また静かになった。


 我に返った虎之介は部屋の隅を見、刀を持ったまま近づいた。

 なにもなかった。

 吉備津丸も、いまでは特に白く光ったりしてはいない。

 空耳だったのかな。戸がそっと開いた。

 「殿…」

 さっきの不寝番だった。「いかがなされましたか」

 「声がしたのかな」と、とぼけて聞いた。

 「いいえ、はたはたと音がしました。ただ、人の足音にしては軽く……」

 「い、居合の稽古をしたせいかもしれぬ」

 「はあ、それはご熱心な。指南役でも呼ばせましょうか」

 「いや、よい。もう休む。ああ、待ってくれ」

  退出しようとした不寝番を呼び止めて、行灯を持ってこさせた。そして隅においてずっと見ていたが、今度はなにも出て来はしなかった。


 


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