土地神様の花嫁御寮 01
目覚めてみると。体は意識を失う前と変わらず、叶の上に乗っていた。
半ば無理矢理にねじ込んだ楔までもがそのままで、じくじくとした痛みに息が詰まる。
「――ぬいて」
私の一方的な命令に、叶はすぐさま従った。
脇を掴んで持ち上げられた体からずるりと引き抜かれた叶自身。体を上手く動かせず、されるがままに項垂れる私の視線から生々しい劣情を隠すよう、這い上がってきた影が私と叶の体を覆う。
もう一度膝の上へと下ろされた体――叶を跨いで開いた足の間――からどろりと垂れ落ちてくるものの存在には、努めて気付かないふりをした。
「腕の骨を砕かれた時より痛い気がする……」
「無理矢理挿れたりするから……」
断りもなく近付けられた唇を、その意図に気付いて拒まずにいると。絡めた舌から伝う唾液が、あっという間に私の痛覚を駄目にしてくれる。
体の怠さも手伝い、口の中を舌で探られる感触の心地良さへ頭を空っぽにしながら浸る私へ、叶はくすぐったいほど丁寧に奉仕した。
歯の一本一本、その形や並びを確かめるようじっくりと。
私の口の中に、叶が触れたことのない場所なんて少しもなくなってしまってようやく。じれったくなるほどの時間をかけて離された唇は、どちらのものともつかない唾液で淫らに濡れている。
「最初からやりなおしていい?」
痛覚と同じくらい馬鹿になりかけた頭は、かけられた言葉の意味をすぐには理解できなかった。
「ちゃんと気持ち良くするから」
ぼんやり濡れた唇を見つめる私を、不思議と柔からな石棺の上へと横たえて。覆い被さってくる叶の手が、体を包む影の下へと潜り込む。
古傷だらけの素肌をなぞる手つきのみだりがましさに自然と乱されていく吐息は、気がつけば押しつけられる手の平と同じくらい――火傷しそうなほどの――熱を帯びていた。
「やめて――」
まるで自由にならない体を、与えられる快楽に震わせながら。私が今更のよう口にした拒絶に、叶はぴたりと動きを止める。
一度死に、叶の魔力で魂を繋ぎ止めている私にはもう、叶に対する強制力はないはずだった。
それでも――
「駄目……?」
叶がまるで、許しを請うよう見つめてくるから。私は殊更高慢に――それこそ自分が、未だに叶の主人であるかのよう――言い放つ。
「駄目」
それで不承不承、重なり合っていた体を離すと、叶は石棺の上に残される裸の私を、魔力を混ぜ込んだ影の衣で包み直した。
そのうえで、抱え起こした私にもう一度唇を近付けてくる。
「血を飲んでくれる
噛みつくような勢いで食まれた口から流し込まれる鮮血は、それまでの穏やかさが嘘のような勢いで、私の理性を滅茶苦茶にした。
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