第393話

二学期の期末試験が終わるとあっという間にクリスマスが来て、年末が来て、お正月が来る。楽しい日々が続くと1日が終わるのが早く夜を迎え朝が来る。

そんな日々を送るはずだった私は風邪を引いた。期末試験が終わり、気が緩んだのかも知れない(お布団を蹴飛ばしていたのが原因)


でも、でも!ここ最近、ひかるとごんちゃんのことがあり大変重い心労があった。

ひかるに正座をさせられ、やっと芽衣に会えた時は私はあまりの嬉しさに甘えまくった。

そして、風邪を引いた私はお見舞いに来てくれた芽衣に猫のように甘えまくっている。



「へへへ、幸せ〜」


「こら、暴れるな」


「だって、芽衣に甘えたいの」



芽衣に風邪を移さないようにちゃんとマスクをして、キスは出来ないけど少しでも触れ合っていたい。一心不乱に芽衣のお腹に顔を埋め、フガフガと匂いと柔らかさを堪能した。



「水希は甘えん坊だね」


「うん!芽衣に沢山甘えたいもん」



好きな人に頭を撫でられた私は早く風邪を治さないといけないと決心する。芽衣にキスもできないし抱きつけない。

この忌々しい熱のお陰でこれ以上芽衣に触れることができなかった。



「あっ、膝の傷。だいぶ良くなったね」


「うん、やっとだよー」



あの日、ひかるにコンクリートの上で正座をさせられ、家に着いてホッとし気が抜けた私は玄関の前で派手に転んだ。

お陰で膝は擦りむき、お風呂でギャーと叫ぶ日々を過ごしていた。でも、やっと痛みから最近解放され傷が治ってきている。



「あっ、ひかるちゃんからLINEきた」


「えっ…」



前の私だったら芽衣の何気ない一言になんて眉をピクッと動かさなかった。でも、ひかるのLINEにトラウマを持ってしまった私はひかるの名前を出されると怯える。

ひかると芽衣は普段どんな話をしているのだろう?ごんちゃんはあの日以来ひかるの僕(しもべ)だし、恐ろしいよ。


強気なごんちゃんはいなくなり、常にひかるに体調などを眉毛をハの字にして心配している(心配しすぎるほど尽くし方が凄い)

でも、2人はラブラブみたいだから良いとは思うけどもう少し威厳があってもとも思う。けど、強気なごんちゃんより今の方がしっくりもくるから悩ましい。



「ひかるとごんちゃんって…主従関係だよねー」


「うーん、そうかな?ひかるちゃん、ごんちゃんのことちゃんと立ててるとは思うよ」


「そうなの?最近、ごんちゃんがひかるのペットに見えるけど」


「でも、ちゃんとリードするのはごんちゃんだし、その時々になるんじゃないかな」



リードって芽衣が言っているのはその…って想像するのはやめよう。そう言う想像はよくないし、恥ずかしい。



「ごんちゃんとひかるさ…関係が一気に進んだよね」


「あー、私と未来ちゃんがひかるちゃんに発破をかけ過ぎたから…ごんちゃんには悪いことをしちゃった」


「えっ…どういうこと」


「ひかるちゃんに誘惑の仕方を伝授したの。そしたら一回目でごんちゃんのたかが外れちゃってひかるちゃんも焦ったみたいだけど、、結果オーライかな…?」



2人が期末試験前に結ばれるなんておかしいなって思っていたら、まさかごんちゃんの暴走の原因に芽衣と未来ちゃんが関わっていたなんて、ある意味ごんちゃんも被害者だよ。

好きな人に誘惑されたら獣化を止めることなんてできないでしょ!絶対に狼になるよ。



「女の子って怖い…」


「水希も女の子でしょ」


「そうだけど、、芽衣や未来ちゃん、ひかる、3人とも小悪魔だもん」


「水希は小悪魔な女の子は嫌い?」


「好き…」



女の子は怖いって思うけど、小悪魔な芽衣に奈落に落とされてもいいと思うってしまう。一度ハマってしまうと抜け出せない沼だ。

だけど、このまま負けてしまうのは悔しい。いつか、さわちんとごんちゃんで彼女達をギャフンと言わせたい。願望は大事。



「水希、キスしたい」


「ダメだよ…芽衣に風邪が移っちゃう」


「水希と風邪も共有したいから、お願い」



私はとことん芽衣に弱い。弱過ぎてすぐに芽衣の手のひらの上で転がされる。芽衣の顔が近づき、私は芽衣のキスを受け入れる。

でも、キス以上のことは厳禁だ。芽衣の過酷すぎる修行で私は忍耐強くなった。



「水希、瞳が潤んでるよ」


「だって、我慢してる…」


「する?」


「できるはずないじゃん!芽衣に風邪を完璧に移すことになるし…」


「じゃ、沢山キスしよ」



芽衣の言葉に一気に体温が上がり、汗が出てくる。芽衣の言葉は発汗作用を起こし、私の心も湧き上がらせる。

これだから小悪魔な彼女を持つのは大変だ。上手く誘惑してくる彼女には敵わない。でも、必死に我慢したよ!誰か本気で褒めて!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る