第310話
昨日はずっと芽衣と電話で話していた。0時にお誕生日おめでとうと伝え、私の芽衣への気持ちをちゃんと言葉にした。
芽衣が好きで好きでたまらない。生まれて初めての恋が本当の恋で良かった。
そんな気持ちに浸りながら、私は芽衣を見つめる。可愛くて、小さくて可愛い。
小動物みたいな可愛さと隠れた凶暴さを持つ芽衣に翻弄されつつも、幸せを噛み締められるこの時間が凄く楽しい。
休み時間のたびに芽衣のそばに行き、ニコニコと笑う。同じ学校、同じクラスだから、ずっとそばに居れて幸せだ。
今日は芽衣の家にお泊まりをし、愛を沢山送る予定でワクワクして心が弾んでいる。
「水希…あんまり見つめないで///」
「芽衣が可愛い」
「ズルい…」
照れて恥ずかしそうにする芽衣の手を触り、指遊びをする。芽衣に触れたいという気持ちを抑えられず、気持ちが爆発しそうだ。
「芽衣〜」
「何…?」
「今日は部活中止だから沢山一緒にいれるね」
「そうだね///」
「こら、水希。芽衣から離れろー。戸惑ってるでしょ」
「やだ、離れない」
ごんちゃんが私の手を掴み、芽衣の手から遠ざける。さっきまで柔らかな肌を触っていたのにゴツゴツした手が私を離してくれない。
「ごんちゃん、離せー」
「このスケベめ。芽衣を困らせるな」
「ゴツゴツした手を離せー」
「ギターを弾くと指が固くなるの!」
ごんちゃんが私を芽衣から引き離す。今日は芽衣から離れたくなくて駄々をこねていると、ひかるが教室にやってきた。
「芽衣ちゃん、お誕生日おめでとう〜」
「ひかるちゃん、ありがとう〜」
「これ、お誕生日プレゼント。あのね、お菓子を焼いてきたんだ」
「えー。ありがとう!」
「ひかる、クッキー?クッキーなの?」
「水希、、これは芽衣ちゃんへのプレゼントだからね」
でも、ひかるの手作りお菓子はめちゃくちゃ美味しくて…私も食べたい。
結構量があるみたいだし、ひかるは優しいから私が食べることも想定しているはずた。
「水希、あげないからね」
「芽衣…そんな、、」
「はい、水希の分も余りの材料で作ってきたよ」
「流石、ひかる!」
「これ、朝倉さんの分」
「えっ…私の分もあるの?ありがとう///」
あれ…。空気が急にほんのりピンク色の雰囲気に変わった。ごんちゃんがモジモジして気持ち悪いし、嬉しそうにクッキーを見つめるごんちゃんが恋する乙女だ。
「あっ、ひかる!ごんちゃんの方が袋が大きいし、量も違う!」
「水希にはいつもあげてるからいいでしょ」
「やだ!ひかるのクッキー沢山食べたい」
「水希、我儘言わないの。私の分を少しあげるからそれでいいでしょ」
芽衣が子供を宥めるように私をあやす。甘い物が大好きな私はつい暴走してしまった。
ひかるは呆れ顔で…反省する。ごんちゃんはクッキーを守るために私から離れるし。
「じゃ、行くね」
「ひかるちゃん、ありがとう〜」
お菓子作りの天使が笑顔を振り撒き、教室に帰っていく。ひかるは良い子で優しくて、可愛くてとにかくモテる。
実はさわちんにひかるが他校の男子から何度か告白されているのを聞かされいた。でも、その都度断っているみたいで…。
うーん、ひかるは好きな人がいるのかな?それとも恋を今はしたくない感じ?
ひかると恋の話をしたことないから分からないや。でも、こんなに可愛い子が彼氏いないのは変だよね。何度も断ってるし。
「うわ〜。クッキー、美味しそう///」
ごんちゃんがクッキーを見つめ、ボソッと家に帰ったら食べようと嬉しそうに呟く。さっきより、ごんちゃんの周りの空気が濃いピンク色になっていく。甘い香りもするし。
辛い恋をして以来の優しい顔をし、嬉しそうな顔を見たら応援したくなる。
私はどうしたらいいのだろう…吉野ちゃんの恋を応援したい。だけど、ごんちゃんの気持ちも応援したい。
今はひかるの気持ち抜きで考えているけど、、私もひかるの相手がごんちゃんだったらいいなって思ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます