第210話
家に着き、制服のままベッドに横になる。携帯を見ると芽衣から着信とLINEが来ていた。
何とか気力を振り絞り、LINEを見るとプレゼントはただのお礼で筒井君とは何もないって書いてあるけど、、いつのまにそんなに距離が縮まっていたの?それに名前、、
妹さんの誕生日プレゼントを一緒に選びに行ってあげたって説明してくれたけど、私は素直に受け入れられる大きな心を持っていない。
分かってる、芽衣からしたら大したことじゃないってことを。ただ、買い物に付き合ってあげただけだって。
でも、筒井君は芽衣が好きなことを知っている。二度、告白をしたぐらい好きなんだよ。
そんな相手と頼まれたからって買い物なんかに行ってほしくなかった。心が狭いって分かっているけど嫌なんだよ。
私もひかるや遠藤さんのことがあるから文句なんて言えない。でも、ひかるとは芽衣と交際する前だし…遠藤さんとはあれから話していない。私なりに気を使っていた。
大人になりたい。こんなことで嫉妬し怒る人間にはなりたくないけど苦しくて辛い。
私はいつも悩んでいた。芽衣の恋人が私でいいのかなって、いつも葛藤して幸せにするんだって奮起した。
でも、今は筒井君の方が芽衣にはお似合いで私が邪魔者に感じる。
「水希、、入るよ」
「お姉ちゃん…」
「あの男の子と芽衣ちゃんって、、友達みたいな感じなんでしょ」
「知らない…」
「ほら、男女の友情ってあるし、、」
お姉ちゃんも分かっている。きっと筒井君はまだ芽衣が好きなのを。だから、2人の間には友情なんて存在しない事を。
「ちゃんと…芽衣ちゃんと話しなさいね」
「うん…分かってる」
でも、今日は話す気になれないから今は眠りたい。食欲もないし、お風呂は明日入ろう。
私はパジャマに着替え、またベッドに横になり目を瞑る。今日は初めて芽衣の夢を見たくないと思った。何の夢も見たいくない。何も考えたくない。
次の日、早く寝たのに私は風邪を引いた。微熱だけど、この前大風邪を引いたから安静にするため学校を休む。
ごんちゃんから〈大丈夫ー?〉ってLINEが来て微熱だから大丈夫だよ送り返した。
私はまだ芽衣にLINEの返事を送っていない。早く《気にしてないよ》って送りたいけど、嘘の気持ちを返せなくて指が動かなかった。
私は芽衣とどんな話をしたらいいのかな?分かんないよ、、筒井君とプレゼント選んだ話なんて聞きたくないし話が思いつかない。
頭がガンガンする。今は安静にしないとまた寝込むことになりそうだ。きっと、芽衣が今日お見舞いに来てくれるはずだ。
だから、その時までに気持ちを落ち着かせちゃんと芽衣の言葉を受け止めたい。子供すぎる自分から脱却しないと。
夢を見た。芽衣が男の子と楽しそうに手を繋ぎデートする夢を。お似合いで、悔しかったな。夢がずっと私を苦しめる。
嫌な夢から目覚め、時計を見ると時間は夕方でお腹が空いたので台所に行きお母さんが作ってくれたお粥を食べる。
昨日から何も食べてないから胃が少しいたいけど、美味しい。早く薬を飲んで風邪を治さないと、、色んな人を心配させてしまう。
今日は晴菜さんが家庭教師に来る日だ。いつもくれる甘いいちご練乳の飴玉が欲しいな。
私にとって風邪薬の役割をしてくれるし、舐めているとホッとするんだ。甘さが体に染み渡り元気をくれる。
(ピーンポーン)
あれ?こんな時間に誰だろ…芽衣はまだ部活をしている時間だから違うはずだし、、
私はインターホンを見て、慌ててドアを開ける。芽衣がドアの前に立っていて驚いた。
「芽衣…」
「水希のバカ、、何でLINEを返さないの」
「ごめん…なんて送ればいいのか分からなくて」
「LINEにも書いた通り、私と筒井君はただ買い物に行っただけ。それ以外何もない」
「うん…」
そんなの、分かってるよ。だけど、自分を好きな人と買い物とか行って欲しくなかった。
それに、筒井君は芽衣への気持ちを強くさせたと思うよ。だって、好きな人とデートみたいな感じのお出掛けだし。
やっぱり、私からしたら良い気持ちはしない。私はタラシと言われたり、普通にしている行動でよく色んな人から怒られる。
だから、怒る権利はないのかもしれないけど、、難しいよ、何もないって分かってても嫌なものは嫌なんだ。芽衣に何でなの…って言いたくなる。
「怒ってるの…?」
「少し、、」
「はぁ、、」
あっ、芽衣にため息をつかれた。芽衣が呆れてる。私が子供っぽいから、、
「とにかく何もないから」
「分かってるよ…」
「まだ、拗ねてるくせに」
「・・・ごめん。まだ、風邪が治ってないし薬を飲んだばかりだから休んでいい?」
「仮病じゃなかったの、、?」
あっ、、芽衣の言葉にイライラする。私は子供みたいに拗ねていじけて仮病で学校を休んだと思われたの?
ダメだな、、完璧に心が弱っている。イライラして芽衣の顔をこれ以上見たくない。体が怠いし、頭が痛くなってきた。
「ごめん、頭が痛いから、、」
「具合、大丈夫なの、、」
「寝たら治るから…」
寝たら治るから、早く1人にしてほしい。頭が痛くて今は誰とも会話したくないし、早くベッドに横になりたい。
なのに、なかなか芽衣が帰ろうとしない。心配してくれるのは嬉しいけど、今は本気でキツいからそっとしてほしい。
お願いだから、今だけは1人にして。
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