第77話
お風呂で何度も冷たい水を被り頭を冷やした。叩かれた箇所を冷やす為と、煩悩を捨てるために滝行をする修行僧として。
今日を乗り切ったらきっと大丈夫と、必死に何度も復唱し目を瞑る。
今日は色々考えすぎて疲れていた。進んでいいのか、守ったほうがいいのか私にはこの問題は難しすぎる。
私も早いとは分かってるけど、、芽衣の行動の意味が分かれば楽になるのかも。
あのスキンシップはただ甘えたいだけなのか、進みたいと思っているのか知りたいよ。
好きな人にちょっかいを掛ける子供の心理に似ているような気がするけど、芽衣は甘えん坊だから違う可能性もある。
きっと、スキンシップ=私の思いに気づいて欲しいではないよね…。
「芽衣…上がったよ」
「長かったね」
「少し眠たくて…」
まだ夜の9時なのに疲れてしまった。天使と悪魔が戦うとかではなく、どちらかというと騎馬戦で両者互角で勝敗が決まらず押し合いになっている。
ハチマキなんて要らない、落したら勝ちの勝負になりなかなか決まらない。
「水希、もう寝る?」
「でも、まだ早いから…」
「ベッドに行こう」
芽衣に手を引かれ、大人しくベッドに横たわると本気で眠気が襲ってくる。昨日はあまり寝てないし朝も早かった。
それに、芽衣に横から抱きつかれ大好きな温もりに溶けてしまいそうだ。
「水希…腕枕して欲しい」
「うん」
芽衣の頭が私の鼻先に当たり、芽衣の香りが私を包みこんでいく。目を瞑ると簡単に夢の世界にいけそうで、今日は良い夢を見れそうだ。ほら、また唇にあの香りを感じる。
「えっ…?」
「ご、、ごめん…」
ずっと気になっていたあの香り。ミルマロのように甘くまた感じたいと思っていた匂いは芽衣の唇の香りだったのか。
芽衣とは何度もキスしてるのに、いつも緊張が上回っていて香りに気付かなかった。
「芽衣の香りだったんだね」
「えっ?」
「この香り、ずっと何だろうって思ってた」
この香りは確か2回感じたから芽衣に二度キスされた意味になる。そっか…だから幸せな夢を見れたのか。
「芽衣、ちゃんとキスしたい」
「うん…///」
芽衣の上に被さり唇を重ねる。唇の他に体の柔らかさを感じられ体が強張りそうだけど、キスを止めなかった。
だって止めたら終わってしまう。まだ、終わりたくない。もっと芽衣を感じたい。
「み、、水希…息ができない」
「あっ、ごめん」
やり過ぎた、、でも、暗くても分かる芽衣の表情を見ると体が熱くなる。もう少しだけと思いながら首元に甘噛みをすると、芽衣が強い力でしがみついてきた。
少し苦しいけど、仕返しも兼ねて私は何度も首や耳を甘噛みし遊ぶ。これでチャラかな、芽衣を堪能できたし十分に仕返しもできた。
「芽衣、寝ようか」
「ドキドキして寝れないよ…」
「じゃ、ずっとキスする?」
「もっと眠れない…」
芽衣の上から退く。私もこのままだと眠れそうにないし、芽衣との距離が近すぎる。
ドキドキしすぎて疲れた。キスする度に緊張で疲れ、いつか慣れるのかなと思った。今の感じだと一生慣れないような気がする。
「寝るの…?」
「このままだと心臓が持たないから…」
「水希もドキドキしてるんだ」
「当たり前でしょ」
芽衣の可愛さは罪だと思う。重罪すぎて、私は何度も天に召そうとした。腕の中で甘えてくる芽衣に対して、スローガンを守っている私って偉いと思う。
だから、せめてこの幸せな気持ちのまま眠りたい。今、目を瞑ったら朝まで起きることなく熟睡できるだろう。
「こら…芽衣。私の顔で遊ぶな。眠れない」
「だって、眠れないもん」
さっきから芽衣が私の顔を触ってくるから、目を瞑ってもなかなか眠れない。どうやったら芽衣は寝てくれるかな。
そろそろ寝ないと完全に目が覚めてしまう。
「きゃ」
「遊びすぎ」
「降ろして…」
「やだ」
横から芽衣を抱きしめ、芽衣が私の上に来るように体を回転させた。大人しくなった芽衣は顔を私の首元につけジッとしてる。
もし、これでも芽衣が私を起こすなら私にも考えがある。床で寝るしかない…!
「芽衣、おやすみ」
「降ろして…」
「このまま寝ようよ」
「やだ…重いでしょ。降りる」
「分かった、これでいい?」
「うん…」
やっと芽衣も一緒に寝ようとしてくれるのかなって思ったんだけどな、確かに寝ようとはしているけど反対を向かれて寂しい。
芽衣の後ろ姿を見ながら寝るなんて嫌だから、せめて後ろから抱きしめて寝ようとすると芽衣の体温が熱くてニヤけてしまった。
冷房つけてるのに、お風呂上がりのように熱い体を抱きしめると緊張が伝わってくる。
イタズラ心で芽衣の手を握ると、指を絡められ失敗したなって反省。
私まで眠れなくなってきた。それに、私の手が芽衣の指から離れ…芽衣のパジャマの方へ向かっている。
やっぱり床で寝たほうがよかったかもしれない。私の手が芽衣のパジャマのボタンに手を掛けてる。
ドキドキしながら一つ目のボタンを外し、二つ目のボタンを外そうとするとドアの方から階段を上がってくる足音が聞こえてきた。
隣からドアを開ける音がし、お姉ちゃんが寝るため部屋に入ったのだろう。
音のせいで手が止まり私達は息を潜めた。夜は音がよく響き、話し声さえ壁越しに聞こえてくる。
これ以上続けたら、きっとマズい結果になるのは分かっている。手をパジャマから離し、私はぎゅっと芽衣を抱きしめ目を瞑った。
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